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三部 賭け

【番外編】結婚ルート

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 大学に入ったばかりの頃だった。それまでほとんど話したことのなかった三浦海斗が声をかけてきたのは。

「ルームシェアの相手を探してるんだけど、池田どうかな?」

 確かに高校も一緒だったけれど、それまでほとんど話したこともない相手だ。それがどうして涼太なんかに声をかけてきたのか不思議だった。
 最初は警戒していたものの、話してみれば三浦とは趣味も合ったし、だんだんと三浦とだったらしてみてもいいかなと思えてきた。ちょうど家を出たかったところでもあるし。
 何故三浦がルームシェアしたがったのかと言うと広い部屋に一人でいることが寂しいからだなんて言っていた。どうも家が金持ちのようでそれなりに高そうなマンションに一人で住んでいるのだとか。なんて贅沢なんだろうか。
 まあまあ仲良くなって、三浦の家に招かれた時は、確かにこの家に一人だったら寂しいだろうなと思った。リビングも綺麗で、大きなソファーがあって。部屋も二つあるらしいが、一つは使っていないのだとか。
 三浦といるのは楽しかったし、確かに寂しいだろうなと同情したのもある。家賃はだいぶ安くしてくれるし、何より遊びに行ったときに食べた三浦の手料理に胃袋を掴まれた。
 三浦は時々思い出したように「そろそろ一緒に住まない?」と誘ってくる。涼太の他にいくらでも誘う相手はいただろうに、他の誰かを誘っている様子はなかった。彼女とか、作ればいいのに。

「俺、料理好きなんだよね。掃除も苦にならないから涼太は家事あんまりしなくてもいいよ」
「いや、それ俺にだけ良いことばっかりだよな」
「そんなことないよ。一人でいるよりずっと楽しいし。あ、あと俺朝苦手なんだよね。涼太が起こしてくれるとすごく助かるんだよね」

 そんな風に言われると、ああそうなのかなと思ってしまう。
 何事も完璧なイケメンが、朝が弱いというギャップもなかなか面白かった。

「うん、ルームシェアするか」

 何度目かの誘いでそう答えると三浦は笑顔で涼太を抱きしめた。ペットと目覚まし時計を同時に手に入れたのが嬉しかったのだろうか。




 さて、そうやって三浦……海斗と暮らし始めるとますます居心地がいいことに気づいた。一緒にいて気を使わなくていいし、話していて楽しいし、すぐ涼太の好物を作ってくれるし。家事はだいたい海斗がしてくれて、このままではダメ人間になるということにも気づいた。

「でも料理は俺がしたいし、掃除も洗濯も趣味みたいなものだから……あ、じゃあお皿とお風呂洗うのは涼太にしてもらおうかな」
「わかった!」

 そうやってなんとか仕事を手に入れ、後は最初から言われていた目覚ましだ。海斗は本当に朝に弱いらしく、毎朝涼太が部屋まで行って起こしてやることになった。

「海斗、海斗、もう朝だってば」

 名前を呼びながら揺さぶるが、なかなか目を覚まさない。

「ん~……あと五分だけ」

 そんな風に言い出すものだから笑いそうになった。今日は休日だからまだ起きなくてもいいのだけど、以前そう思って昼まで寝かせてやった時は盛大に拗ねられたものだ。「涼太と遊びたかったのに」って、子供みたいに。
 だから起こしてやろうと思ったのに、布団の中からぬっと伸びてきた手が涼太の腕を掴む。驚く間もなく布団の中に引きずり込まれる。

「涼太も、一緒に寝よ……」

 涼太を抱きしめて、それだけ言ったかと思うと、海斗はまた眠ってしまった。腕の中でさてどうしたものかと考えている間に涼太もまた眠りに落ちていった。ミイラ取りがミイラになるってやつだな、なんて思いながら。
 そんな風にゆっくりと日々は過ぎていく。だんだんと休日に海斗と二度寝することが当たり前になって、もう朝起こしに来るの面倒だから夜も一緒に寝ない?なんて冗談を言われて腹を抱えて笑った。



 四月も終わり、連休が始まった。涼太にも海斗にも特に予定はなかったから、まあ今まで通りのんびりと家で過ごすことになるんだろうなと思っていた。一回実家に帰っても良かったが色々根掘り葉掘り聞かれそうだし、夏休みには帰るからそれまではいいかなと先送りにした。海斗も家にいるみたいだし。
 もしかして連休中は毎日一緒に二度寝することになるのだろうか。海斗に抱きしめられて眠ると何だかいい匂いはするし安心するし、癖になったらまずいよなあと思ってはいるのだが。それでもまた布団に引きずり込まれれば眠ってしまう。ううん、連休の間ずっとそれはまずい。
 二度寝から目覚め、自分を抱きしめたまま眠る海斗を揺り起こす。しっかりと抱きしめて放そうとしないのでとにかく起こすしかないのだ。

「ん……涼太」

 ぱちりと海斗が目を開ける。間近で見るイケメンの顔はいつまで経っても慣れない。ちょっとドキドキするのでやめて欲しい。

「おはよう、涼太」
「おはよう、海斗」

 そう言ってまたぎゅっと抱きしめられる。ハグってやつだろうか。

「……今日から連休だね」
「そうだな。どっか行く?」
「ううん、どこも行かない」

 まだ寝ぼけている様子の海斗は子供っぽくて可愛い。ぎゅうぎゅうと涼太を抱きしめたまま、今までの寂しさを埋めているようだ。

「涼太、今日から夜も一緒に寝ようね」

 ――がちゃんっ

 冷たい金属が右足に触れる。あれ、何だろう、何かヤバいことが起きている気がする。

「……海斗?」

 恐る恐る覗き込んだ涼太の右足には足枷が。足枷から伸びた長い鎖はベッドの下へと消えていた。

「か、海斗?」

 冗談はやめろと言いたいのに、体に力が入らない。何故だろう……海斗が怖い。

「我慢するの辛かったけど、涼太を傷付けたくなかったから……やっとこの時が来たね」
「な、何?」
「涼太は小悪魔なんだから……夫婦がすることと言ったら一つだよ?」
「ふーふ?」

 海斗の言っていることが理解できない。もしかしたら海斗は宇宙人だったんじゃないだろうか。
 頭の中が疑問符でいっぱいで。海斗が何をしようとしているのか全然わからない。
 ただものすごく嫌な予感だけがして、どうしようどうしようと焦り続けている間に、海斗の顔がぶつかりそうな程近くにあった。反射的に目を閉じると、唇に何か柔らかなものが触れた。

 それが海斗の唇だとわかった時、ふーふって夫婦のことだったのかと気づいたのだけど、もう涼太のファーストキスは海斗に奪われた後だった。



「……や、やだっ、かいと……」

 パジャマのボタンを外されると下に着ていたシャツを捲り上げられ、乳首を抓られる。嫌なのにきちんと抵抗できないのは、海斗が何を考えているのかわからなくて怖かったからだ。右足の枷を外すすべも無いのだから逃げられるはずもない。
 乳首なんて触られても何も感じるはずがないのに、爪先でつんつんとつつかれると女のような甘い声が漏れてしまう。

「やっ、やだっ♡……だめだってば……んっ♡」

 乳首を弄られて、またキスされる。今度は口内に生あたたかいものが入り込んでくる。ビックリして舌を引っ込ませるが、乱暴に奥まで入り込んで来たそれに絡め取られる。
 唾液を送り込まれ、ちゅぱちゅぱと舌を吸われる。舌を吸われる度に腰が甘く痺れて、頭がぼうっとしてくる。そんなタイミングでまた乳首を摘まれると嫌でも感じてしまう。

「あっ♡やだ、ちくびやだぁ……♡」

 男なのにそんな所で気持ちよくなりたくなんてないのに。海斗の指は的確に涼太の弱い所を暴いてしまう。

「気持ちいい?今度はここ吸ってあげるね」
「あんっ♡♡やだ、やだってば……」

 海斗がぱくりと乳首を口に含むと、はむはむと唇で挟まれたり、唾液をたっぷりと塗り付けられたり。かと思えばもう片方の乳首は乳輪部分に軽く触れるだけで焦らされる。

「……ちゅぱっ。ぷっくりして真っ赤になって、すごくいやらしいね」
「も、やだ…………あっ♡♡なんでこんな……やんっ♡♡」
「涼太は乳首だけでイケるよね。ほら、いっぱい扱いてあげるから乳首だけでイッて?」
「あんっ♡♡や、やだっ♡♡イクのやだ♡♡♡だめぇえええっ♡♡♡」

 海斗の言葉通り、乳首への刺激だけで達してしまう。
 パジャマの中で、ペニスに下着が張り付くのが気持ち悪い。そう思った次の瞬間にはズボンと下着を下ろされた。

「ひっ」

 涼太の吐き出した精液でドロドロに汚れたそれらは足枷についた鎖を通って床に落とされる。鎖はそれなりに長そうだが、ベッドの支柱に繋がっているようだった。
 海斗は枷のついた方の足を掴むと、大きく開かせた。そのまま、白く汚れたペニスを口に含まれる。

「やっ♡♡はなしてっ♡♡♡」

 イッたばかりでそんなことをされたら気が狂いそうだ。泣きながら訴えるが離してもらえず、射精したばかりのペニスがまた硬くなっていく。

「あっ♡♡だめ、またイク♡♡♡やだっ♡♡♡」

 そうして立て続けにイカされて、精液を飲み干された。

「……涼太の精液、美味しい」

 海斗はうっとりと呟くと、またそこに顔を近づけた。まだイカされるのかと恐怖に身をすくませるが、ペニスには触れられず、もっと奥に唇が触れる。

「ひっ」
「こっちも舐めたいな……」
「やっ、やだ。海斗……許して」

 何も悪いことはしてないはずなのに、ただ海斗に許しを乞う。触れるだけのキスをするみたいに、海斗の唇がアナルに触れる。ちゅっちゅと音を立ててキスされたかと思うと、生あたたかいものが表面を撫でる。

「やっ♡♡だめ、だめだってば♡♡♡」

 気持ち悪いだけのはずなのに、背筋がゾクゾクする。海斗の舌がそこをなぞる度に、力が抜ける。たっぷりと唾液で濡らされて勝手にそこが緩んでいく。
 つん、と海斗の舌がそこを突く。涼太の体はただそれを受け入れようとしてしまうのだ。

「やっ♡♡なんで……だめっ♡♡」
「すごいね、ちょっと舐めただけでとろとろ。いやらしくてすっかりおまんこみたいだね」
「ちが……ひんっ♡♡♡」

 つんつんと舌で突かれて、先端が僅かにめり込む。いつの間にかまた勃起したペニスの先に透明な液体がじわりと溢れ出す。

「やっ、やだっ!入れないで……あんっ♡♡」

 少しだけとはいえ舌を挿入され、優しく出し入れされる。柔らかなもので内側から広げられ、送り込まれる唾液で濡らされていく。おぞましい行為のはずなのに甘い声が漏れて抑えられそうにない。
 たっぷりと唾液で濡らされたかと思うと、今度はローションを纏わせた指が挿入される。

「あっ♡♡♡」
「涼太はここをいじめられるのが好きだもんね」
「やっ♡♡こわい……っ♡♡なにこれ……」

 じゅぷじゅぷと淫らな音を立てながら体内を指が暴れ回る。海斗の指が内壁を擦る度に目の前がチカチカして、もはや快楽なのか苦痛なのかさえもわからない何かに体が悲鳴をあげる。
 おかしい。普通じゃない。海斗のしてくる行為も、それを勝手に受け入れて気持ちよくなってしまう涼太の体も、何もかもが異常だ。

「ここはね、前立腺って言うんだよ。涼太の大好きな所」
「やっ♡♡すきじゃな……やめてってば……」
「指もほら、ズプズプ入っちゃうよ?もう三本入っちゃった……でも指で届かない所も弄られたいよね?」
「あんっ♡♡ズプズプやだっ……やぁっ♡♡♡」

 海斗の指が内壁を刺激する度に甘い声が止まらなくなる。指が三本?そんなに尻に入るはずがない。
 どうしてこんなことに……いつも通り海斗を起こしに来ただけなのに。
 今までただ楽しくルームシェアしていたのに。海斗と仲良くなれたと……そう思っていたのは涼太だけだったのだろうか。

「涼太……ずっとこうしたかった……」

 指が抜かれ、耳元で囁かれる。まるで愛を語るように言うのだから変な気分になる。

「――ひっ!」
「大丈夫……ちゃんと今までゆっくり慣らしてたから、力抜いて?」

 やっと指が抜けたそこに、今度はもっと太いものが押し当てられる。それが何なのか理解したくなかった。
 恐怖と、海斗が何を考えているのかわからず悲しくて、涙が止まらない。ぽろぽろとみっともなく涙を流し続ける涼太の頬に生暖かいものが触れる。涙を舐め取られたのだ。

「やだ、やだ……ぬいて、かいと……」

 嗚咽を上げながら訴えても、海斗は止まってくれない。ゆっくりと涼太の中にペニスを挿入していく。

「何でこんなこと…………っく、……やだ」

 痛みはない。内臓を押しつぶされそうな圧迫感はあるが、裂けたりもしていないと思う。
 だが本来そんなものを入れる器官ではない。そこを無理やり暴かれて、女のように扱われることが酷く屈辱的だった。
 対等な、友達だと思っていたのに。

「……涼太、愛してる。やっと繋がれたね……ずっとずっと、こうしたかった」

 はあはあと荒い息を耳元に吹きかけられる。

「やっ、やだっ♡♡やだってばぁ♡♡♡」
「すごい、涼太の中がいやらしく俺のちんこをしゃぶってくれてる……気持ちいいよ」
「あんっ♡♡♡ぬいて、ぬいてっ♡♡♡」
「寝てる時もいっぱい練習したもんね。早く繋がりたくて頑張ったもんね」

 寝てる時?練習?

 海斗の言葉を理解しようとしても、体内をペニスに抉られて集中できない。

「お尻の穴もすっかりおまんこだもんね。俺のちんこ専用おまんこ、いっぱい種付けしてあげる。毎日子作りセックスしようね。とりあえず今日は一日ハメっぱなしでいようね」
「あっ、あっ……あっ♡♡♡ちが、やだっ♡♡♡♡」
「やだやだ言ってるのも可愛いけど、もっと素直になって欲しいな。中に出したら素直になれるかな?」
「やっ!!中、やだ!」

 体内に同じ男のものを受け入れさせられて、更に射精なんてされたら、どうなってしまうのか。

「ダメだよ、旦那様の精子を受け止めるのがお嫁さんのお仕事なんだから……ほら、出すよ」
「やっ♡♡あっ、あんっ♡♡♡ひぁっ……だめぇええっ♡♡♡♡」

 嫌がっても容赦なくペニスを叩きつけられて、少し抜けたかと思うとまた再奥まで貫かれる。肌と肌とがぶつかってパンッと乾いた音と、結合部からは水音とが聞こえてきて、とにかく耳を塞ぎたくなる。
 最奥を何度も叩くようにされて、こんなの本当は痛くないとおかしいはずなのに。涼太の口からは女のような甘い声がひっきりなしに漏れる。

「あっ♡だめ、やだっ♡♡」
「涼太、涼太……かわいい、涼太」
「あぁあああっ♡♡♡♡」

 また奥に叩きつけられた瞬間、体の中で何かが弾けた。ドクドクと尻の中に熱いものが注ぎ込まれている感覚で、射精されてしまったのだと気付く。

「あっ♡や、……なか、あつい」

 海斗の射精は長く、どんどん中が満たされていってしまう。腹がパンパンになってしまうのではないかと恐ろしくて、そっと自分の腹を撫でてみる。少し膨らんでいるような気がするが、気のせいだと思いたい。

「――あんっ♡」

 体内のものがズルリと引き抜かれ、広げられた尻穴が勝手にヒクヒクと震える。閉じきらないそこから、中にたっぷりと出された精液が逆流してくる感覚が、垂れ流しているようでひどく恥ずかしい。
 ぼんやりと腹を撫でながらそんなことを考えていると、海斗がぐるりと涼太の体を反転させ、俯せに、尻を突き出すポーズを取らせてきた。

「んっ♡♡」

 動いた拍子にまた中からとろりと精液が溢れ出す。体中ベタベタして気持ち悪くて、早くシャワーを浴びたい。そう考えた次の瞬間には、また体内を熱いもので埋められていた。

「――ひぁあああっ♡♡♡」
「すごい、もう入れられただけでイケるようになったんだね。いやらしくて可愛い」
「や、うごかないでっ♡♡まだ、イッて♡♡イッてるからっ♡♡♡」
「うん、中がうねうねして気持ちいいよ」

 挿入されたと同時に涼太は射精していた。トコロテンというらしい。そんな余計な知識を得ている間にも海斗は容赦なく中を抉ってくる。イッたばかりで辛いのに、涼太の腰はペニスが気持ちいいところに当たるように動いてしまう。

「動かないでって言って、自分が動いてるよ?えっちだね……」
「あんっ♡♡♡やだ、やだぁ♡♡♡」
「お尻ふりふりして俺のちんこ咥えこんでるのに、やだじゃないでしょ?」

 ――パンッ

「――ひんっ♡♡」

 子供にするみたいに尻を叩かれる。音は大きいが、痛みはほとんどない。ただ叩かれた後がひりひりと熱を持つ。屈辱的な行為なのに、今度は叩かれた所を優しく撫でられると気持ちがいい。

「お尻叩かれるの気持ちいい?さっきキュンって締まったね」
「や、たたくのやだ……あんっ♡♡」

 涼太が嫌と言うとまた尻を叩かれる。確かに海斗の言う通り、叩かれると尻穴がペニスを締め付けてしまう。そうすると中で脈打つものが更に大きくなって涼太を圧迫してくる。

「気持ちいい?」
「よくな、…………ひんっ♡♡♡」
「お尻叩かれて気持ちいいね。もっと俺のちんこの形覚えるまでセックスしようね」
「や、ぁああんっ♡♡♡」
「涼太のお尻、赤くなっちゃって可愛い」

 否定の言葉を漏らす度に尻を叩かれ、どんどん追い込まれていく。ヒリヒリと痛む尻を撫でられ、また叩かれる。

「あ、きもちいいっ♡♡♡海斗のちんこ気持ちいい♡♡♡」
「うんうん、素直な涼太は可愛いね」
「あんっ♡♡♡」

 これ以上叩かれたくなくて、ただ叩かれないように言っているだけなはずなのに、だんだんとそれが自分の本心のような気がしてくる。気持ちいい。そうだ、実際気持ちいい。射精だってしたし。嫌じゃない。
 ……何が嫌だったんだっけ。

「涼太、俺のお嫁さん……愛してる」

 そう囁かれて、また中出しされる。
 このまま流されていたら大変なことになる。そう気づきながらも、涼太は意識を手放した。


 ※※※


 海斗は朝が弱い。確かにそれは事実なのだけど、別に目覚まし時計があれば起きることは出来る。可愛らしいお嫁さんはそんなことにも気づかず毎朝海斗を起こしに来てくれる。

 高校時代からずっと好きだった涼太を手に入れたのは最近の事だった。大学に入ってからようやく近づいて、一緒に暮らせるようにまでなった。
 本当はもっと早く欲しかったのだが、準備に手間取ったせいだ。
 涼太は怖がりだから最初はプラトニックなお付き合い。甲斐甲斐しく世話をして、海斗無しには生きていけないようになればいいなと思った。

「んー……」

 最近は休日に一緒に二度寝するのが習慣になっていた。起こしに来た涼太を海斗が布団に引きずり込んで、抱き締めて眠る。涼太のいい匂いを胸いっぱいに吸い込んで、思わず本当に寝そうになる。
 本当は二度寝なんてしなくてもいい。涼太が起こしに来てくれたという事実だけで目覚めはバッチリである。だが、海斗には涼太を寝かしつける必要があった。

「ん…………んんっ」

 すやすやと眠る涼太の尻を、パジャマの上から揉む。時折服の上からアナルを軽く突く。
 涼太は一度眠ると滅多なことでは目を覚まさない。それをいいことに海斗は休日の度に涼太にイタズラをしていた。

 しばらく揉んでいると涼太の頬が僅かに赤くなる。感じているのだろうか。ズボンの中に手を突っ込むと、今度は直接そこを撫でる。

「んっ……」

 ふにふにと尻を揉んで、その狭間に指を這わす。最初は一本から始めたのに最近ではもう三本入れても物足りなそうに締め付けてくるようになった。
 もうそろそろ海斗のペニスも入るだろう。だが、せっかくなら起きている時にしたい。
 次の連休まで我慢しよう。眠る涼太の尻にペニスを擦り付けて、その日は我慢した。


 ※※※

 連休中は大変だった。最初は宣言通りずっと海斗のペニスを中に入れたまま過ごす羽目になった。このまま尻穴が開きっぱなしになるのではないかと恐怖したが、何とか大丈夫のようだ。
 その後も、抜いてもらえる時間は増えたが、服を着る機会はほとんどなかった。
 逃げ出そうかとも思ったが、右足の枷はずっとついたままだった。そうして連休のほとんどを海斗の部屋で過ごすことになった。

 ところが問題はまだ続いていて、連休が終わり、今日から大学だというのに涼太の右足にはまだ枷があったのだった。
 海斗は涼太を置いて大学へ行ってしまった。足枷についた鎖はそこそこ長く、台所、風呂、トイレと家の中ならわりと自由に行動できる。ただ玄関には届かない。

 これでは監禁ではないか。だが涼太が消えて心配する人間が、絶対助けに来てくれるはずだと思った。たとえば両親だとか。

 そう思って仕方なく暮らしているのだが、なかなか助けが来ない。

 どうやら海斗が巧妙に根回ししていたせいなのだと気づいた時にはもう海斗のペニスなしではイケなくなっていたのだった。



――――――――――
「リセットしてもヤンデレに犯される俺の話」は初投稿日から今日で1年になります。のんびりペースで続けていましたがまさか1年続くとは……
そんなわけで今回のifは1周年記念のお話でした!

1年追いかけてくださった方、最近読んでくださっている方、たまに覗いてくださる方、皆様ありがとうございます。次回はハピエンルートに進む予定ですのでよろしくお願いいたしますm(_ _)m

いつも感想やリクエストくださる方もありがとうございます。皆様のおかげで1年続きました。2年目もお付き合いお願いします(*˙˘˙)♡

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