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三部 賭け

5-①外は怖いです

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 リセットボタンがあって本当に良かった。まず自分のスマホを見て、あの恐ろしい録音が入っていないことに安堵した。おしっこのキレも問題なかった。

「……外、怖い」

 外というか主に三浦海斗が怖い。何であんなことをするのだろう。冷静に考えてもそうじゃなくても変態だ。
 やはりあの変態から何とかして逃げなければならない。遭遇しただけで詰むのだから、今日は外には出ないで家の中にいることにした。これなら安全……なのだろうか?
 やつが乗り込んでくることもあったが、実際一日会わずに済んだこともあるので、これはそこまで悪くない作戦のはずだ。

 リセットし続けて忘れそうになったが、今のセーブ地点の前日は仮病で休んだあの日だ。なのでまだ少し具合が悪いということにして今日も休むことにした。


「子供じゃないんだから自分で病院行きなさいよね」

 そう言いながらも「パート休もうか?」と心配してきた母を送り出して、家に一人。
 海斗のことを思い出して嫌な汗をかいたのでシャワーでも浴びることにするのだった。





 体を洗って泡をシャワーで流すだけでだいぶスッキリする。広い湯船に浸かりたい気分で、今度スーパー銭湯にでも行こうかなと考える。
 そのためにはまず、今日を無事に終えなければならない。今はいいが母が帰ってきてしまえばまた海斗を招き入れるだろう。それをどうやって回避するか。このまま家にいると逃げ場がないから、海斗が来た瞬間を見計らって家を出るというのはどうだろう。うん、今日の俺は冴えてる。

 じゃあそろそろ出ようかなとシャワーを止めて、振り返ったところで、フリーズした。
 何故かそこに海斗がいたからだ。

「……な、なんで」

 やっとのことで口から音が出るが、海斗はにっこりと笑ったまま答えようとしない。母が出かけたのはだいぶ前だから、母に入れてもらったということはないと思う。もしそうだとしたら今まで家のどこに潜んでいたのかと恐ろしい。
 だが、そうじゃないならどうやってここに?
 やはり家は安全では無いのか?

 ちなみに海斗はシャツとズボンというラフな格好ではあるが、裸ではなかった。シャワーで水でもぶっかけて怯んだ隙に逃げるというのはどうだろう。いや、こっちは裸だから服を着るのにどうしたって時間がかかるし……。

 悩んでる間に海斗は距離を詰めてきて、抱き締められる。

「捕まえた」

 海斗の服は濡れてしまったけど、逃げられないのだからもう関係ないのだと。涼太が気づいた時にはもう遅かった。



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