リセットしてもヤンデレに犯される俺の話

多崎リクト

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5-①後でするから後悔なんですけどね

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 正直、前回自分の晒した醜態を思い出したくはない。

(……何故俺の記憶もリセットされてくれないんだろう)

 それでも勝手に脳内に再生されていく様々な場面に頭を抱える。何故。何故あんなことをしてしまったのか。死にたい。
 あんな事したらそりゃあ誘ってると思われるだろう。射精する時にイクイク言ってしまうのは完全に前々回にされた『躾』のせいで、これはまあ、海斗のせいにしていいはずだ。

 そんな風に蘇る記憶に蓋をしながら授業を受けて、気がつけばとっくに放課後。ちらほらと帰り支度を始めるクラスメイトたちはいるが、まだ殆どの生徒が教室内に残っていた。



「涼太も合コン行こうぜ」


 クラスメイトにそんな風に声をかけられた。

 なるほど、それはいい手かもしれない。涼太に彼氏がいた場合は海斗がキレるけど、彼女がいた場合は身を引くかもしれない。だって海斗の平たい胸では女の子の柔らかいボディに適うはずがないのだ。

 そうすればヤツは涼太を諦めて、適当にその辺の女子と付き合うだろう。それはそれでムカつくが、仕方がない。自身の尻の平和のためだ。

「行く」

 真剣に頷く涼太に、そういえばお前いつも彼女欲しいって言ってたもんなとクラスメイトは笑う。


「――涼太、合コン行くの?」


 突然現れた海斗が、やけに冷たい声で聞いてくる。クラスメイトは海斗のキレた様子にも気づかず「え、三浦はダメだからな。お前が来たら女の子総取りだろ」などと呑気なことを言っている。

 たしかに、ダメだろう。海斗が合コンとか。参加した女子が全員海斗にしか興味を示さなくなるだろう。

 だが、そういうことじゃない。

 ニコニコと笑っている割に、突き刺さるような声が怖い。
 ああ、キレてる。これはまた監禁かもしれない。

「嫉妬して欲しいのはわかるけど、そうやって人のこと試すのは良くないと思うよ」
「はあ…」
「?まあ三浦に嫉妬なんて世界が違うのはわかるよ。俺らなんてド平凡だからな。嫉妬とか馬鹿らしくはなるけど」

 状況を把握出来ていないクラスメイトが訳の分からない返答をする一方で、海斗の距離がまた近くなる。



「……涼太は、俺のものなんだから」


 あ、近すぎる、と思った時にはもう遅くて。
 息がかかるほど近くに海斗の顔があって、そのまま唇を塞がれる。


「んっ……んんっ♡♡」


 触れるだけではなくて、舌が口内に入り込んでくる。
 思わず目を閉じてもわかる。ザワつく教室内が自分たちに注目していることも、クラスメイトがあんぐりと口を開いたまま固まっているのも。

 後悔は後でするから後悔と言うのだけど、やっぱり後悔せずにはいられなかった。

 ――その後もっと大変なことになるとはまだ知らなかったのだが。

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