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二部 セーブ地点変更後
3-①恋人のフリを頼みました
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リセットした後はいつも、直前のことを思い出して頭を抱える。
林より玩具より三浦の方がマシとか、そんなことがあるはずがない。どれも嫌だ。そこは入れるところじゃなくて出すところだ。気持ちよくなんてない。
自分によく言い聞かせる。
今回こそは逃げ切る。途中で諦めない。絶対に流されない。
「……よし、」
そして、作戦を実行することにした。
「ストーカーに追われてるから恋人のフリしてほしい……?」
「そうなんだ」
柴田に頼んで恋人のフリをしてもらい、付き合ってる人がいるんじゃ諦めるしかないか、作戦!
三浦のことは名も知らぬストーカー男ということにしておいた。完璧な作戦だ。
「え、お前にストーカーとか……そんなやついるの?あ、でも男か。なんか女は絶対なさそうだけど、たしかに男ならありそう」
柴田はそのように失礼なことを呟きながらも、涼太が真剣だとわかって協力してくれることになった。
お前だって男に掘られたくせに。喉元まで出かかった言葉を飲み込んだ。
付き合っているフリをするといっても普段と何ら変わりなかった。
とりあえず放課後はボディーガードを兼ねて一緒に帰ってもらうことにしたくらいで。
ストーカーが見てるなら手でも繋ぐかと提案されたが、あまりの気色悪さに断った。
柴田はあまり元気がないが、ストーカーに怯える涼太を励まそうとして、明るく振舞っているように見える。
いいやつだなー。凛ちゃんのことで悩んでて可哀想に。
リセットボタンを拾った日は、あっさり彼女とデートだからと右に曲がっていったことがムカついたけど。その彼女が実は男の子で、昨日ケツを掘られたのだと思えば、優しくなれる。イケメンにもそういう苦労があるのだ。
こうしてボディーガードもしてくれていることだし、今回も相談に乗ってやってもいいかもしれない。
「柴田、あのさ……柴田?」
涼太が隣を見ると、柴田がスマホの画面を見つめながら顔を青ざめさせているところだった。
何かあったのだろうか?
「ごめん、涼太。俺、行かないと」
「へ?」
柴田はそう謝ると、あの分かれ道を右に曲がって……右に曲がって?
「柴田!俺を見捨てるのか!?」
「だからごめんって!」
そうしてあっさり柴田は涼太を置いて去っていった。恋人のフリをしてくれるって、ストーカーから助けてくれるって言ったのに。
いいやつだと思ったのは間違いだった。柴田という男は薄情なやつだ。
どうせ凛ちゃんに呼び出されたから涼太を置いていったのだ。また掘られるがいい。
ひとしきり怒り終わると、急に背後が不安になる。
……そして、その不安は当たった。
「涼太、捕まえた」
「ひいっ!」
そうして今回もあっさりと捕まってしまうのだった。
林より玩具より三浦の方がマシとか、そんなことがあるはずがない。どれも嫌だ。そこは入れるところじゃなくて出すところだ。気持ちよくなんてない。
自分によく言い聞かせる。
今回こそは逃げ切る。途中で諦めない。絶対に流されない。
「……よし、」
そして、作戦を実行することにした。
「ストーカーに追われてるから恋人のフリしてほしい……?」
「そうなんだ」
柴田に頼んで恋人のフリをしてもらい、付き合ってる人がいるんじゃ諦めるしかないか、作戦!
三浦のことは名も知らぬストーカー男ということにしておいた。完璧な作戦だ。
「え、お前にストーカーとか……そんなやついるの?あ、でも男か。なんか女は絶対なさそうだけど、たしかに男ならありそう」
柴田はそのように失礼なことを呟きながらも、涼太が真剣だとわかって協力してくれることになった。
お前だって男に掘られたくせに。喉元まで出かかった言葉を飲み込んだ。
付き合っているフリをするといっても普段と何ら変わりなかった。
とりあえず放課後はボディーガードを兼ねて一緒に帰ってもらうことにしたくらいで。
ストーカーが見てるなら手でも繋ぐかと提案されたが、あまりの気色悪さに断った。
柴田はあまり元気がないが、ストーカーに怯える涼太を励まそうとして、明るく振舞っているように見える。
いいやつだなー。凛ちゃんのことで悩んでて可哀想に。
リセットボタンを拾った日は、あっさり彼女とデートだからと右に曲がっていったことがムカついたけど。その彼女が実は男の子で、昨日ケツを掘られたのだと思えば、優しくなれる。イケメンにもそういう苦労があるのだ。
こうしてボディーガードもしてくれていることだし、今回も相談に乗ってやってもいいかもしれない。
「柴田、あのさ……柴田?」
涼太が隣を見ると、柴田がスマホの画面を見つめながら顔を青ざめさせているところだった。
何かあったのだろうか?
「ごめん、涼太。俺、行かないと」
「へ?」
柴田はそう謝ると、あの分かれ道を右に曲がって……右に曲がって?
「柴田!俺を見捨てるのか!?」
「だからごめんって!」
そうしてあっさり柴田は涼太を置いて去っていった。恋人のフリをしてくれるって、ストーカーから助けてくれるって言ったのに。
いいやつだと思ったのは間違いだった。柴田という男は薄情なやつだ。
どうせ凛ちゃんに呼び出されたから涼太を置いていったのだ。また掘られるがいい。
ひとしきり怒り終わると、急に背後が不安になる。
……そして、その不安は当たった。
「涼太、捕まえた」
「ひいっ!」
そうして今回もあっさりと捕まってしまうのだった。
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