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二部 セーブ地点変更後

2-④欲しかったもの(林視点)

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「せんせい……?」

 不安そうにこちらを見上げる池田に伸し掛る。そんな仕草も甘えるように、誘うように見えた。

 僅かに残る理性が止めてくるのだが、池田の表情を見ると崩壊してしまう。
 不安そうに、期待したように、こちらを見てくる潤んだ瞳。

「だめ、……せんせい」
「ダメっていう顔じゃないですよ」

 悪い大人になった気分だ。でも、相手もまた大人を誘惑する悪い子供だろう。

 誘われるままにそこにペニスを押し当てて、挿入しようとした時、


 ――ガラッ



「涼太、大丈夫?」


 保健室に、また別の男子生徒が入ってきた。
 さあっと血の気が引く音がする。

 ――教師が、生徒に手を出しているのを、見られた。

 相手が誘ってきたとかそんなみっともない言い訳をしたところでただ林が犯罪をおかしただけだ。言い逃れできるような状況でもない。

 もちろん池田に押し当てていたペニスも萎えている。


「み、みうら……」

 池田も顔面を蒼白にして男子生徒の方を見ている。こんな恥ずかしい場面を見られたら当然だろう。

「涼太、行こう」

 男子生徒が、池田に服を着せて、手を引いて歩き出す。
 こんな場面を前にも見たような気がする。生徒に手を出そうとしたことなんて今まで一度もなかったはずなのに。

 ――三浦の方がいい

 そう言って、自分はここに置き去りになったような。昔夢で見たみたいに曖昧な靄のかかった、記憶のような何かが脳裏にチラつく。

 あと少し。あと少しだけ男子生徒が来るのが遅ければ。池田を手に入れることができただろうか?
 自分は池田涼太を手に入れたかったのだろうか?

 誰もいなくなった保健室で一人、そんなことを考えた。



 ※※※


「恥ずかしくて逃げちゃったの?」

 強く腕を引いて歩いていた三浦が、ふいに呟く。
 そんなはずがない。涼太は三浦が戻ってくる前に逃げ出したし、これ以上三浦に犯されたくなんてなかった。
 それなのに、少しだけ、安心ししてしまった。

 ……もう少しで林に挿入されそうだった。

 もしも三浦以外の人間に、挿入されて、気持ちよくなってしまったら?
 三浦に犯されるだけならまだ三浦のせいにできるけれど、もしも別の誰かでも気持ちよくなってしまえばそれは涼太の体のせいということになる。

 それが怖かったのだと、思う。きっと。

 そうでなけば三浦が助けに来てくれて良かったなんて思うはずがないのだから。



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