71 / 203
二部 セーブ地点変更後
2-④欲しかったもの(林視点)
しおりを挟む
「せんせい……?」
不安そうにこちらを見上げる池田に伸し掛る。そんな仕草も甘えるように、誘うように見えた。
僅かに残る理性が止めてくるのだが、池田の表情を見ると崩壊してしまう。
不安そうに、期待したように、こちらを見てくる潤んだ瞳。
「だめ、……せんせい」
「ダメっていう顔じゃないですよ」
悪い大人になった気分だ。でも、相手もまた大人を誘惑する悪い子供だろう。
誘われるままにそこにペニスを押し当てて、挿入しようとした時、
――ガラッ
「涼太、大丈夫?」
保健室に、また別の男子生徒が入ってきた。
さあっと血の気が引く音がする。
――教師が、生徒に手を出しているのを、見られた。
相手が誘ってきたとかそんなみっともない言い訳をしたところでただ林が犯罪をおかしただけだ。言い逃れできるような状況でもない。
もちろん池田に押し当てていたペニスも萎えている。
「み、みうら……」
池田も顔面を蒼白にして男子生徒の方を見ている。こんな恥ずかしい場面を見られたら当然だろう。
「涼太、行こう」
男子生徒が、池田に服を着せて、手を引いて歩き出す。
こんな場面を前にも見たような気がする。生徒に手を出そうとしたことなんて今まで一度もなかったはずなのに。
――三浦の方がいい
そう言って、自分はここに置き去りになったような。昔夢で見たみたいに曖昧な靄のかかった、記憶のような何かが脳裏にチラつく。
あと少し。あと少しだけ男子生徒が来るのが遅ければ。池田を手に入れることができただろうか?
自分は池田涼太を手に入れたかったのだろうか?
誰もいなくなった保健室で一人、そんなことを考えた。
※※※
「恥ずかしくて逃げちゃったの?」
強く腕を引いて歩いていた三浦が、ふいに呟く。
そんなはずがない。涼太は三浦が戻ってくる前に逃げ出したし、これ以上三浦に犯されたくなんてなかった。
それなのに、少しだけ、安心ししてしまった。
……もう少しで林に挿入されそうだった。
もしも三浦以外の人間に、挿入されて、気持ちよくなってしまったら?
三浦に犯されるだけならまだ三浦のせいにできるけれど、もしも別の誰かでも気持ちよくなってしまえばそれは涼太の体のせいということになる。
それが怖かったのだと、思う。きっと。
そうでなけば三浦が助けに来てくれて良かったなんて思うはずがないのだから。
不安そうにこちらを見上げる池田に伸し掛る。そんな仕草も甘えるように、誘うように見えた。
僅かに残る理性が止めてくるのだが、池田の表情を見ると崩壊してしまう。
不安そうに、期待したように、こちらを見てくる潤んだ瞳。
「だめ、……せんせい」
「ダメっていう顔じゃないですよ」
悪い大人になった気分だ。でも、相手もまた大人を誘惑する悪い子供だろう。
誘われるままにそこにペニスを押し当てて、挿入しようとした時、
――ガラッ
「涼太、大丈夫?」
保健室に、また別の男子生徒が入ってきた。
さあっと血の気が引く音がする。
――教師が、生徒に手を出しているのを、見られた。
相手が誘ってきたとかそんなみっともない言い訳をしたところでただ林が犯罪をおかしただけだ。言い逃れできるような状況でもない。
もちろん池田に押し当てていたペニスも萎えている。
「み、みうら……」
池田も顔面を蒼白にして男子生徒の方を見ている。こんな恥ずかしい場面を見られたら当然だろう。
「涼太、行こう」
男子生徒が、池田に服を着せて、手を引いて歩き出す。
こんな場面を前にも見たような気がする。生徒に手を出そうとしたことなんて今まで一度もなかったはずなのに。
――三浦の方がいい
そう言って、自分はここに置き去りになったような。昔夢で見たみたいに曖昧な靄のかかった、記憶のような何かが脳裏にチラつく。
あと少し。あと少しだけ男子生徒が来るのが遅ければ。池田を手に入れることができただろうか?
自分は池田涼太を手に入れたかったのだろうか?
誰もいなくなった保健室で一人、そんなことを考えた。
※※※
「恥ずかしくて逃げちゃったの?」
強く腕を引いて歩いていた三浦が、ふいに呟く。
そんなはずがない。涼太は三浦が戻ってくる前に逃げ出したし、これ以上三浦に犯されたくなんてなかった。
それなのに、少しだけ、安心ししてしまった。
……もう少しで林に挿入されそうだった。
もしも三浦以外の人間に、挿入されて、気持ちよくなってしまったら?
三浦に犯されるだけならまだ三浦のせいにできるけれど、もしも別の誰かでも気持ちよくなってしまえばそれは涼太の体のせいということになる。
それが怖かったのだと、思う。きっと。
そうでなけば三浦が助けに来てくれて良かったなんて思うはずがないのだから。
16
お気に入りに追加
4,482
あなたにおすすめの小説
言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、
臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話
八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。
古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる