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一部 同じ日のループ
11-①脅迫に屈しました
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「涼太のことが好きなんだ」
リセットして戻ってきたのはちょうど三浦に告白されている場面だった。わけがわからず「はい?」と答えて勘違いされる直前。口が「は」の音に開きかけて、言葉を飲み込む。
「無理。男同士で付き合うとか絶対無理。俺は可愛い女の子と付き合いたい」
尻の穴を弄られて気持ちよくなるようになりたくない。可愛い女の子と付き合って童貞を卒業したい。そのためには三浦に捕まる訳にはいかない。
震えそうになるのをなんとか抑えながら、なるべく気丈に振る舞う。
三浦は捨てられた子犬みたいな目でこちらを見てくる。そうすると涼太の罪悪感が刺激されて、そんな風に言わなくても良かったのではないかと思えてくる。もう少し優しく言ってあげても良かったんじゃないか。
「そうか」
――ミシッ
何の音だろう。見れば校舎の壁に三浦の拳が触れていて、その周囲がへこんでいる。大きな塊が壁からゴロッと落ちた。
え、校舎ってそんなに脆いの?
正直言って漏らしそうだった。それに足が震えて上手く立っていられない。
「震えないで。俺は涼太は傷つけないよ」
「……ひっ」
「でも、フラれたらショックすぎて涼太の友達とか家族とか、周りの人に何かしちゃうかも」
マジか。俺は脅されているのか。
いや、いくら三浦でも、そんなことはないだろうと思いたいが。拘束されて床に転がされた柴田の姿を思い出すと、本気かもしれない。
「彼女なんてできたらそいつにも何をするかわからないなあ」
顔には笑顔を浮かべながら、のんびりと、少し困ったように呟かれる。
「な、何かってたとえば何を?」
「そうだなあ。涼太の大事な人が誰もいなくなったら、俺も涼太の特別になれるよね…………やだな、冗談だよ」
「そ、そうか」
冗談だよと最後に付け加えたけど、絶対冗談じゃない。
「あ、あのさ。やっぱり俺、三浦と付き合ってみよーかなー」
結局、脅しに屈するしかないのだ。
そうでないと涼太自身もどんな目に遭わされるかわかったものじゃない。
「付き合ってみるじゃなくて、付き合ってくださいでしょ?」
「……付き合ってください」
あれ、なんで俺が頼んでるんだろう。三浦が告白してきたくせに。
「うん、でも、証拠見せて」
「証拠?」
嫌な予感しかしない。
リセットして戻ってきたのはちょうど三浦に告白されている場面だった。わけがわからず「はい?」と答えて勘違いされる直前。口が「は」の音に開きかけて、言葉を飲み込む。
「無理。男同士で付き合うとか絶対無理。俺は可愛い女の子と付き合いたい」
尻の穴を弄られて気持ちよくなるようになりたくない。可愛い女の子と付き合って童貞を卒業したい。そのためには三浦に捕まる訳にはいかない。
震えそうになるのをなんとか抑えながら、なるべく気丈に振る舞う。
三浦は捨てられた子犬みたいな目でこちらを見てくる。そうすると涼太の罪悪感が刺激されて、そんな風に言わなくても良かったのではないかと思えてくる。もう少し優しく言ってあげても良かったんじゃないか。
「そうか」
――ミシッ
何の音だろう。見れば校舎の壁に三浦の拳が触れていて、その周囲がへこんでいる。大きな塊が壁からゴロッと落ちた。
え、校舎ってそんなに脆いの?
正直言って漏らしそうだった。それに足が震えて上手く立っていられない。
「震えないで。俺は涼太は傷つけないよ」
「……ひっ」
「でも、フラれたらショックすぎて涼太の友達とか家族とか、周りの人に何かしちゃうかも」
マジか。俺は脅されているのか。
いや、いくら三浦でも、そんなことはないだろうと思いたいが。拘束されて床に転がされた柴田の姿を思い出すと、本気かもしれない。
「彼女なんてできたらそいつにも何をするかわからないなあ」
顔には笑顔を浮かべながら、のんびりと、少し困ったように呟かれる。
「な、何かってたとえば何を?」
「そうだなあ。涼太の大事な人が誰もいなくなったら、俺も涼太の特別になれるよね…………やだな、冗談だよ」
「そ、そうか」
冗談だよと最後に付け加えたけど、絶対冗談じゃない。
「あ、あのさ。やっぱり俺、三浦と付き合ってみよーかなー」
結局、脅しに屈するしかないのだ。
そうでないと涼太自身もどんな目に遭わされるかわかったものじゃない。
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「……付き合ってください」
あれ、なんで俺が頼んでるんだろう。三浦が告白してきたくせに。
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嫌な予感しかしない。
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