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一部 同じ日のループ

6-①懐かしい瞬間に戻ってきました

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 やっとのことでリセットしたはずなのに、目の前に三浦がいる。

「……はい?」

 早退して、通りかかった公園で捕まって。茂みに連れ込まれて。目隠しと手錠をされてそのまま犯されたついさっきのあれは、全部なかったことになったはずだ。
 それなのに、なんで三浦がここにいるんだ?
 ついにリセットボタンが壊れたのだろうか。

 三浦がにこにこと笑う。
 その表情はどこかで見たことがある気がした。

「嬉しいよ、涼太」

 どこでだっけ?
 ずいぶん前に、あった。こんな状況が。


「そうだ、今日はうちに来ない?涼太の好きな紫陽花堂のショートケーキがあるんだ」


 紫陽花堂のショートケーキ。
 三浦の欲望になんて気づかずにそれを食べたのは、ただ一度、あの時だけ。


 ――最初に、三浦に告白された時だ!


「えっと、その……」


 三浦の家に行くのは危険すぎる。またあんなことになることは間違いない。

「俺、デートしたい!」

 とりあえず三浦の家以外の場所で。






 リセットはたしかにされていた。涼太の尻はまだ無事である。
 だが、今まで毎回戻っていたあの時間ではなく、今回戻ったのは放課後、校舎裏に呼び出されて三浦と向かい合っているところだった。
 それがリセットボタンの調子が悪いからなのか、それともボタンを押したときの涼太のイメージがいけなかったのかはわからない。

 とにかく、今日は健全なデートをして、無事に帰る。後日なんとかして穏便に別れる。これが今回の作戦だった。

 そうして、健全なデートをするためにゲームセンターに来ている。
 本当だったら女の子と初デートとかに来たかったのになあ。


「はい、涼太」
「おおっ。三浦ってうまいな!」


 三浦は涼太の欲しがっていたフィギュアを「これ、涼太の好きなキャラだよね?」と言って取ってくれる。
 イケメンな上にクレーンゲームもうまいって、女子にモテモテだろう。ズルい。
 それでも欲しかったフィギュアが手に入ってご機嫌な涼太は、ほんの少しだけ思ってしまった。

 三浦って意外といいやつかも、なんて。

 三浦とのデートも楽しいかも、なんて。





「涼太、プリクラ撮りたい」
「いいけど」




 まあ、だから、油断していたわけだ。
  
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