リセットしてもヤンデレに犯される俺の話

一部 同じ日のループ

3-①逃亡しました

　池田涼太は靴箱を開けているところだった。上履きの上に手紙が乗っている。

　またここか。

　前回――二回目の三浦の話しぶりでは、三浦はこの時涼太のことをどこかで見ているはずだ。手紙を読まずにいたことはどうも不味かったようなので、仕方なく手紙を手にする。
　中身は知っている。放課後に校舎裏に呼び出されているのだ。
　差出人は書いてないが、三浦に間違いない。

　さて、どうするべきか。

　手紙の中身も一回目の時と変わりない。

　一回目は校舎裏で三浦に告白され、はいと答えたと勘違いされて、三浦の家に招かれた。そしてそのままそこで犯された。

　二回目は手紙を無視した結果、放課後にトイレで捕まった。何だか怒っていた三浦に、トイレで犯されるなんて最悪すぎる展開だ。しかも続きはうちでしようねと言っていたのでリセットできなければ家に連れ込まれてまた犯されたことだろう。

　三回目はどうするべきか。

　これ以上犯されたくないし、リセットし続けたくもない。ならば最善策を考えるしかない。


　……涼太が手紙を読んだわけだから、三浦は放課後までは大人しくしているはずだ。
　ならば、放課後になる前に逃げる！
　体調悪くなったとかで帰ったなら、放課後の呼び出しに行けなくても仕方ないはずだ。




　それからすぐに担任を捕まえて、体調が悪いから帰ると告げて(三浦への恐怖から実際に顔色が悪かったためあっさり信じてもらえた)、学校の最寄り駅まで戻ってきた。
　ここから電車で三駅目が涼太の家だ。ここまで来れば大丈夫。明日からのことは帰ってからゆっくり考えよう。

　ちょうどやって来た電車に乗り込む。
　まだ思ったより混んでいて、人と人とが密着するほどではないが、すぐ隣や後ろに人がいる程度には混んでいる。
　まあ三駅くらいだし、いいか。いつまでも学校のそばにいて三浦に捕まりたくもない。

　吊革に掴まり、心地よい揺れに身を任せる。
　一回目からずっと気を張っていたので疲れがたまっていた。いくらリセットボタンで時間は戻っても、それまで起きたことの記憶は残っている。

　……これ以上あんな目には遭いたくないし、できれば今夜はゆっくり眠りたい。


　そう思って軽く目を閉じたとき、尻をむにむにと掴まれる感覚があった。