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プロローグ
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「彼女ほしー」
「涼太はいつもそれだよな」
「お前はいいよな、他校に彼女いるし。イケメンだし。モテるし。俺は平凡だし、モテないし、彼女いたことないし」
「まあまあ、涼太もモテる日が来るって」
「バカにしやがって」
池田涼太は友人の柴田とそんな会話をしながら歩いていた。
涼太はいままで誰とも付き合ったことがない。可愛い女の子にはすぐ惚れて、すぐ告白して、すぐ振られ続けていたから。告白されたことなんてない。
平凡な見た目に、特に取り柄があるわけでもない中身。平均点をうろうろしてるしスポーツが飛び抜けてできるわけでもない。嫌われこそしないが、好かれるわけでもない。
俺だって可愛い女の子と付き合いたいのに。告白する度に下心がバレてしまうのか振られてしまう。もう少し慎重になれればいいのだが、つい、口が滑ってしまうのだ。
「じゃあ、俺、彼女とデートだから」
柴田はそう言って、分かれ道を右に曲がっていった。残された涼太は仕方なく一人で帰ることにする。
裏切り者め。俺に彼女ができたら覚えてろよ。
イライラした気分のまま、歩いていると、不思議なものを見つけた。
一時間に一本しかバスが来ないバス停の、ベンチ。その上に箱に入った何かが置かれている。「ご自由にお持ちください」ねえ?
怪しげなそれを持ち上げる。プッシュ式のボタンのようだが、ボタンの部分がドクロマークになっている。これを押すとどうなるのだろうか?
箱の中には一緒に説明書も入っていた。
「これはリセットボタンです……?」
説明書によると、このボタンを押すと、時が戻るらしい。
面白いオモチャだなあ。やっぱり押すときは「ポチっとな」と言うのだろうか。
「戻る、ねえ…………どれどれ」
じゃあ柴田と別れる前に、なんて呟きながらボタンを押してみる。押してはいけない危険なボタンみたいで、ドキドキして面白い。
「まあまあ、涼太もモテる日が来るって」
気がつくと手にあったボタンはなくなっており、目の前には柴田がいた。あれ、さっき別れたよな。
ひどい夢でも見ていたような気持ちになる。
「お前、彼女とデートなんだろ」
「あれ、言ったっけ?」
「とっとと行けよ。じゃあな」
そう言うと、柴田は首をかしげながら右の道に進んでいく。
涼太は走って、バス停に向かった。
「これがあれば……俺にも彼女ができる」
リセットし続ければ、きっと女の子とフラグを立てることもできる。
涼太はリセットボタンを大事に持ち帰ることにした。
「涼太はいつもそれだよな」
「お前はいいよな、他校に彼女いるし。イケメンだし。モテるし。俺は平凡だし、モテないし、彼女いたことないし」
「まあまあ、涼太もモテる日が来るって」
「バカにしやがって」
池田涼太は友人の柴田とそんな会話をしながら歩いていた。
涼太はいままで誰とも付き合ったことがない。可愛い女の子にはすぐ惚れて、すぐ告白して、すぐ振られ続けていたから。告白されたことなんてない。
平凡な見た目に、特に取り柄があるわけでもない中身。平均点をうろうろしてるしスポーツが飛び抜けてできるわけでもない。嫌われこそしないが、好かれるわけでもない。
俺だって可愛い女の子と付き合いたいのに。告白する度に下心がバレてしまうのか振られてしまう。もう少し慎重になれればいいのだが、つい、口が滑ってしまうのだ。
「じゃあ、俺、彼女とデートだから」
柴田はそう言って、分かれ道を右に曲がっていった。残された涼太は仕方なく一人で帰ることにする。
裏切り者め。俺に彼女ができたら覚えてろよ。
イライラした気分のまま、歩いていると、不思議なものを見つけた。
一時間に一本しかバスが来ないバス停の、ベンチ。その上に箱に入った何かが置かれている。「ご自由にお持ちください」ねえ?
怪しげなそれを持ち上げる。プッシュ式のボタンのようだが、ボタンの部分がドクロマークになっている。これを押すとどうなるのだろうか?
箱の中には一緒に説明書も入っていた。
「これはリセットボタンです……?」
説明書によると、このボタンを押すと、時が戻るらしい。
面白いオモチャだなあ。やっぱり押すときは「ポチっとな」と言うのだろうか。
「戻る、ねえ…………どれどれ」
じゃあ柴田と別れる前に、なんて呟きながらボタンを押してみる。押してはいけない危険なボタンみたいで、ドキドキして面白い。
「まあまあ、涼太もモテる日が来るって」
気がつくと手にあったボタンはなくなっており、目の前には柴田がいた。あれ、さっき別れたよな。
ひどい夢でも見ていたような気持ちになる。
「お前、彼女とデートなんだろ」
「あれ、言ったっけ?」
「とっとと行けよ。じゃあな」
そう言うと、柴田は首をかしげながら右の道に進んでいく。
涼太は走って、バス停に向かった。
「これがあれば……俺にも彼女ができる」
リセットし続ければ、きっと女の子とフラグを立てることもできる。
涼太はリセットボタンを大事に持ち帰ることにした。
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