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No04 次期君主も飼ってるからには山猫に愛されたい

055 言った者勝ち、行動した者勝ちに続く最終話w

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 初恋をこじらせ、初恋の相手の娘を手に入れ、傷付け、恨まれ薬物を盛られ、初恋の相手の息子にまで手を出し、色々と、どうかしていた領主ダオレンは、貴妃の看護により正気を持ち直したが、仕事を4人の息子に押し付けたまま、閉経をまだ迎えていない貴妃宅を中心に、昔から馴染みのある淑妃と徳妃の屋敷に渡り歩いて、4人の息子の弟か妹かを孕ませる可能性を示唆される状態となっている。
そのダオレンに傷付けられた側、婕妤とその弟は暫くの間、領主の次男ドウン預かりと成り…、何時の間にか、ドウンが初恋の相手婕妤と恋を実らせたらしく…、婕妤も性的にでは無く、心を求めてくるドウンに射止められ…、仲睦まじくドウンの離宮にて、幸せに暮らしているらしい……。
三男のジアンは四男のゴンに過保護に管理されながら仕事をし、息抜きに新しく出来た妓楼等に2人で通い、妻と妾と子供達に冷たくされていると言う話がジエンとシャンマオの元にも届くようになった。

 気付けば月日は流れ、シャンマオの体型も日に日に変わりつつある。
妊娠しているか?していないか?が、分からない時期に情緒不安定に陥ったシャンマオも…、「後を継ぐまで俺は自由だ!それまでは確実に俺はシャンマオだけのモノだから、シャンマオも俺だけのモノでいろ!」と「何なら、父上には無理にでも長生きして貰って、後継者は孫から選ぶようにさせるから!」と言うジエンの説得と…、ジエンに寄る暑苦しい程の甘やかし…、その後にやって来た酷い悪阻つわりを経て、落ち着きを取り戻していた……。

 そんな、とある日の事、仕事に出掛けた筈のジエンが宦官達に木箱を運ばせ、女官長のモンファを連れて戻って来る。
「シャンマオ…、結婚式を挙げようw」
「は?唐突だな!にしても、無理だろ!私は一応、幽閉されているんじゃなかったか?」
「え?鎖で繋がなくなった日から、俺は閉じ込めてる積もり無かったんだけどな…」
「そうだったんだ…」
「で、シャンマオは、どの花嫁衣装が着たい?」と、ジエンは木箱から次々と真っ赤な花嫁衣装を数着取り出し、シャンマオに見せる。シャンマオは(白じゃないんだ…)と子供の頃に一度だけ見た自分の一族の花嫁衣装との違いに戸惑い「…結婚式って、決定事項?」と質問し掛けて、ジエンの満面の笑顔から決定である事を察する。
シャンマオはジエンと御揃いで同じ場所に身に付けている薬指の指輪に触れ(ややこしい事に成りそうだなぁ~…)と苦笑いを浮かべた。
実質、ジエンは知らないのだが…ジエンとシャンマオは結婚式で初めて付ける筈の指輪を互いに先に身に付け…、婕妤と、その弟であるシャンマオの双子の兄は既に、ジエンとシャンマオが結婚していると、思い込んだままである可能性をシャンマオは気にしている……。

 今も、姉と兄が思い込んだままであるのか?どうか?を確認する事が出来ないシャンマオは(次の相手に心を移しているとは言え、私の姉は複雑だろうなぁ~…)と他にも理由はあるが、その所為で人を殺し、大暴れした婕妤の事を思い。自分に対して「フヴァエトヴァダタを破算にした女は、選別者の橋でミスラに橋から落とされて、地獄で蛇にさいなまれるぞ」と言った近親婚を求めていた双子の兄を思った上で、腹の中で育つ子の事を思う。
「衣装が派手だな…結婚式って派手にやったりするのか?」
「大丈夫だw財源はある!」
「そうなんだ…(心配してるのソコじゃね~よw)…、私の身内が祝福してくれると良いんだけどな……。」
「少なくとも、お義兄さんシーツーだけは、子を含めて喜んでくれてるぞw」
「え?本当に?」

 シャンマオが驚いているとジエンは「本当だぞw」と言って「誰よりも、女の子が生まれる事を希望してはいるんだけどなw」と笑っていた。
(それって…、私が娘を産んだら、その娘を嫁に寄越せと言う事だろうか?)シャンマオは、自分から生まれてくるかもしれない娘に乗り換える事にしたっぽい兄に対して、物凄く複雑な気持ちに成り(もう、一族の仕来しきたりを気にする者は他に居ないんだから、シーツーも一族の仕来りを忘れて、違う方面に気持ちを向ければ良いのに)と思うのだった。

 そこでやっと、シャンマオは一つの疑問を持つ。
「そう言えば、ジエンって官位の無い家の者と結婚式なんてして大丈夫なのか?」
「あれ?知らなかったっけ?シャンマオ、オマエの兄は官持ちだw」
「マジでか!」
「意外と官僚の事に関しては無知だったんだなw宦官になった方が出世しやすいんだぞw」
「え?でも、婕妤がやらかした罪はどうなったよ?」
「父上の領主権限で無罪放免w姉弟揃って、外国客の接待で実績があるからな…」
「えぇ~…」
「って、シャンマオ?姉と兄が今まで遊び暮らしていたとでも思っていたのか?」
「…いや、だって、後宮の妾の皆様、何にもしてない人率だけ見たら…ね?」
「確かに、そうだけどもw」
ジエンとシャンマオは少しの間、笑い合い。「そろそろ式の時間だよ?花嫁衣装はどれにするんだい?」と言うモンファの一言で黙り込み「「え?今から?!」」と2人とも驚く。ジエンも知らなかったらしいが、総て息子の為を思った貴妃が手配させたらしい。
モンファは笑顔で「沃盥よくかんの綺麗な水、|同牢の料理、合卺ごうきんの酒、安定期に入った事だし、坊ちゃんが準備していた新居に閨の準備もできているよw」と言ってシャンマオを脱がし始め「坊ちゃんも早く着替えてしまって下さいねw早くしないと手伝いますよw」と言った。

 こうして慌ただしく行われた結婚式。
2人は真っ赤な衣装で着飾り、派手に飾り立てられた祭壇にて手を清め、料理を食べさせ合い、シャンマオが妊婦の為に加熱して酒気をと飛ばした酒を酌み交わし、周囲に祝福されながら閨に向かう。
「シャンマオ?緊張してる?」
「…、これからしますよって知られてするのは、何て言うか…恥ずかしくね?」
2人は手を繋ぎ並んで歩き、照れ笑いを浮かべ「今日から改めてよろしく」「こちらこそw」と言い合い。この日、何時もより沢山の会話をして、この夜、夫婦の誓いを交わしあった。
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