28 / 55
No03 次期君主は山猫を飼い慣らしたい
028 闇夜の襲撃
しおりを挟む
二人きりと言っても、禿鷲のドゥイジャン同伴。ジエンの膝枕で寝かし付けられる形となったシャンマオは…、ハオユーに毛布を掛けられ、ドゥイジャン添い寝の上、背中側から翼で抱き寄せられ…、安心しきって寝息を立てていた……。
ジエンは斜め後ろから、ドゥイジャンに見詰められ、片手の置き場に困り「髪を撫でるのも、肩に手を置くのも駄目なのか?」とドゥイジャンに話し掛けている。
この時、ハオシュエンとハオユーが緩く笑って言った事に感化され、ドウンがジエンの無事を祈っていた事など、ジエンは知らないであろう。
天井が崩れ、茨に侵食され、今回、ハオシュエンの所為で扉まで失った離れ…、ハオユーが井戸に設置された屋根の柱に馬を繋ぐ事を提案した為に4頭もの馬に食い荒らされ、水捌けの悪い場所でドウンが水浴びし、更に馬とドウンが踏み荒らした為、再起不能になった薬草は、もう既に、その場を掘り返しても、太い根すらも駄目になり復旧の可能性は皆無であった。それ以前の問題で、何が植わっていたかすら、ドウンやハオシュエンとハオユーには、判断できないモノとなっている。
そんな訳で…、彼等が諦めて、ジエンとシャンマオの居る居間の方へ戻ろうとしたのと…、慌てた様子のドゥイジャンが扉を開け、その勢いそのままで飛び立ち、大きく一声鳴いたのは…、ほぼ同時だったかもしれない……。
次の瞬間、火矢が何処からとも無く廃村に降り注ぐ。廃村近くの雑木林から再び、何本も火矢を放たれ、周囲が火矢の炎で明るくなって行く。廃村に住む禿鷲達が飛び立ち非難する様に声を上げた。燃えやすい禿鷲の巣に引火したのであろう、雛や親鳥の悲痛な叫びも聞こえ始める。
その瞬間瞬間で、どうして良いか分からず立ち竦むドウンを余所に…、ハオシュエンとハオユーは怯えた馬達を鎮めて、逃げる準備を始める……。
建物の中からジエンと一緒に出て来たシャンマオは、外の光景を目の当たりにし、一度戻って、剣を携え弓を担ぎ、また出て来て「居間にある隠し通路を開けて来た、馬は諦めて、そこから逃げると良い」と言い、壁の出っ張りに足を掛け、建物の上に登ろうとする。屋根へと登り掛けたシャンマオに「行くな!戻って来い!!」とジエンが怒鳴り、少し登ってシャンマオの腰を掴み、引き摺り下ろして、その事に怒って怒鳴るシャンマオの頬をジエンは思いっきり叩いた。
それから肩を掴み、強く揺すりながら「頼むから、冷静になってくれ」と訴え掛け「取り敢えず、状況が悪すぎる。逃げるぞ!」とジエンは宣言した。
その場にいた全員で居間の方へ戻り、持ち上げられた床下の部屋に入って、蓋となる床を戻して閉めた。シャンマオ以外、この先がどうなっているのか?辿り着く先が何処なのかを知らない通路の入り口も、その床下に存在し口を開けている。
頬を強く叩かれ過ぎた為、脳震盪の様な立ち眩みを起こし、抵抗できなくなったシャンマオに確認を取る手間を省き、ランタンを持ったハオユーが先んじて通路の先、急な下り坂を滑り降りる。続いてシャンマオを抱えたジエン…、ドウン……。
ハオシュエンが念の為、殿として皆がある程度滑り降りるのを待ち、最後に隠し通路の蓋を閉じ、坂を滑り降りた。
無駄に長く、不安を禁じ得ない距離を滑り降りた先は、縄梯子だけが存在する天井の低い土壁の空間。その場所に最初に辿り着いたハオユーは、ランタンの灯火で木製の天井にランタンを掛けられる場所を見付け、そこにランタンを掛けて、縄梯子が設置された場所の天井を押し開け、先に上を確認する。
月明かりの下、そこが外から丸見えになってしまっている廃屋である事に気付く。遠くに怒れる肉食の鳥達の叫び声が聞こえて来る…この場所にハオユーは、心当たりがあり、先行きの不安の一つが解消され、胸を撫で下ろした……。
ハオユーはハオシュエンが到着するのを待って、全員で地上へ上がり。昔、まだ幼いとも言えるシャンマオが、自分達の村を拠点とした理由を確証して、少し笑ってハオシュエンと共に2人だけで頷き合う。
そして、近場にあった重たい廃材で、避難通路の蓋が開けられないようにと、シャンマオはを省く4人で完全に通路の出口を封鎖した。
その後に向かう先は、森を越えた場所に存在するハオシュエンとハオユーの故郷。幼き日、シャンマオが戦い方を覚えた小さな村だった。
ジエンは斜め後ろから、ドゥイジャンに見詰められ、片手の置き場に困り「髪を撫でるのも、肩に手を置くのも駄目なのか?」とドゥイジャンに話し掛けている。
この時、ハオシュエンとハオユーが緩く笑って言った事に感化され、ドウンがジエンの無事を祈っていた事など、ジエンは知らないであろう。
天井が崩れ、茨に侵食され、今回、ハオシュエンの所為で扉まで失った離れ…、ハオユーが井戸に設置された屋根の柱に馬を繋ぐ事を提案した為に4頭もの馬に食い荒らされ、水捌けの悪い場所でドウンが水浴びし、更に馬とドウンが踏み荒らした為、再起不能になった薬草は、もう既に、その場を掘り返しても、太い根すらも駄目になり復旧の可能性は皆無であった。それ以前の問題で、何が植わっていたかすら、ドウンやハオシュエンとハオユーには、判断できないモノとなっている。
そんな訳で…、彼等が諦めて、ジエンとシャンマオの居る居間の方へ戻ろうとしたのと…、慌てた様子のドゥイジャンが扉を開け、その勢いそのままで飛び立ち、大きく一声鳴いたのは…、ほぼ同時だったかもしれない……。
次の瞬間、火矢が何処からとも無く廃村に降り注ぐ。廃村近くの雑木林から再び、何本も火矢を放たれ、周囲が火矢の炎で明るくなって行く。廃村に住む禿鷲達が飛び立ち非難する様に声を上げた。燃えやすい禿鷲の巣に引火したのであろう、雛や親鳥の悲痛な叫びも聞こえ始める。
その瞬間瞬間で、どうして良いか分からず立ち竦むドウンを余所に…、ハオシュエンとハオユーは怯えた馬達を鎮めて、逃げる準備を始める……。
建物の中からジエンと一緒に出て来たシャンマオは、外の光景を目の当たりにし、一度戻って、剣を携え弓を担ぎ、また出て来て「居間にある隠し通路を開けて来た、馬は諦めて、そこから逃げると良い」と言い、壁の出っ張りに足を掛け、建物の上に登ろうとする。屋根へと登り掛けたシャンマオに「行くな!戻って来い!!」とジエンが怒鳴り、少し登ってシャンマオの腰を掴み、引き摺り下ろして、その事に怒って怒鳴るシャンマオの頬をジエンは思いっきり叩いた。
それから肩を掴み、強く揺すりながら「頼むから、冷静になってくれ」と訴え掛け「取り敢えず、状況が悪すぎる。逃げるぞ!」とジエンは宣言した。
その場にいた全員で居間の方へ戻り、持ち上げられた床下の部屋に入って、蓋となる床を戻して閉めた。シャンマオ以外、この先がどうなっているのか?辿り着く先が何処なのかを知らない通路の入り口も、その床下に存在し口を開けている。
頬を強く叩かれ過ぎた為、脳震盪の様な立ち眩みを起こし、抵抗できなくなったシャンマオに確認を取る手間を省き、ランタンを持ったハオユーが先んじて通路の先、急な下り坂を滑り降りる。続いてシャンマオを抱えたジエン…、ドウン……。
ハオシュエンが念の為、殿として皆がある程度滑り降りるのを待ち、最後に隠し通路の蓋を閉じ、坂を滑り降りた。
無駄に長く、不安を禁じ得ない距離を滑り降りた先は、縄梯子だけが存在する天井の低い土壁の空間。その場所に最初に辿り着いたハオユーは、ランタンの灯火で木製の天井にランタンを掛けられる場所を見付け、そこにランタンを掛けて、縄梯子が設置された場所の天井を押し開け、先に上を確認する。
月明かりの下、そこが外から丸見えになってしまっている廃屋である事に気付く。遠くに怒れる肉食の鳥達の叫び声が聞こえて来る…この場所にハオユーは、心当たりがあり、先行きの不安の一つが解消され、胸を撫で下ろした……。
ハオユーはハオシュエンが到着するのを待って、全員で地上へ上がり。昔、まだ幼いとも言えるシャンマオが、自分達の村を拠点とした理由を確証して、少し笑ってハオシュエンと共に2人だけで頷き合う。
そして、近場にあった重たい廃材で、避難通路の蓋が開けられないようにと、シャンマオはを省く4人で完全に通路の出口を封鎖した。
その後に向かう先は、森を越えた場所に存在するハオシュエンとハオユーの故郷。幼き日、シャンマオが戦い方を覚えた小さな村だった。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
元男爵令嬢ですが、物凄く性欲があってエッチ好きな私は現在、最愛の夫によって毎日可愛がられています
一ノ瀬 彩音
恋愛
元々は男爵家のご令嬢であった私が、幼い頃に父親に連れられて訪れた屋敷で出会ったのは当時まだ8歳だった、
現在の彼であるヴァルディール・フォルティスだった。
当時の私は彼のことを歳の離れた幼馴染のように思っていたのだけれど、
彼が10歳になった時、正式に婚約を結ぶこととなり、
それ以来、ずっと一緒に育ってきた私達はいつしか惹かれ合うようになり、
数年後には誰もが羨むほど仲睦まじい関係となっていた。
そして、やがて大人になった私と彼は結婚することになったのだが、式を挙げた日の夜、
初夜を迎えることになった私は緊張しつつも愛する人と結ばれる喜びに浸っていた。
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
伏して君に愛を冀(こいねが)う
鳩子
恋愛
貧乏皇帝×黄金姫の、すれ違いラブストーリー。
堋《ほう》国王女・燕琇華(えん・しゅうか)は、隣国、游《ゆう》帝国の皇帝から熱烈な求愛を受けて皇后として入宮する。
しかし、皇帝には既に想い人との間に、皇子まで居るという。
「皇帝陛下は、黄金の為に、意に沿わぬ結婚をすることになったのよ」
女官達の言葉で、真実を知る琇華。
祖国から遠く離れた後宮に取り残された琇華の恋の行方は?
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
未亡人メイド、ショタ公爵令息の筆下ろしに選ばれる。ただの性処理係かと思ったら、彼から結婚しようと告白されました。【完結】
高橋冬夏
恋愛
騎士だった夫を魔物討伐の傷が元で失ったエレン。そんな悲しみの中にある彼女に夫との思い出の詰まった家を火事で無くすという更なる悲劇が襲う。
全てを失ったエレンは娼婦になる覚悟で娼館を訪れようとしたときに夫の雇い主と出会い、だたのメイドとしてではなく、幼い子息の筆下ろしを頼まれてしまう。
断ることも出来たが覚悟を決め、子息の性処理を兼ねたメイドとして働き始めるのだった。
私はただ一度の暴言が許せない
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
厳かな結婚式だった。
花婿が花嫁のベールを上げるまでは。
ベールを上げ、その日初めて花嫁の顔を見た花婿マティアスは暴言を吐いた。
「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。
そして花嫁の父に向かって怒鳴った。
「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは!
この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。
そこから始まる物語。
作者独自の世界観です。
短編予定。
のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。
話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。
楽しんでいただけると嬉しいです。
※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。
※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です!
※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。
ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。
今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、
ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。
よろしくお願いします。
※9/27 番外編を公開させていただきました。
※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。
※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。
※10/25 完結しました。
ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。
たくさんの方から感想をいただきました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
ヤンデレ悪役令嬢は僕の婚約者です。少しも病んでないけれど。
霜月零
恋愛
「うげっ?!」
第6王子たる僕は、ミーヤ=ダーネスト公爵令嬢を見た瞬間、王子らしからぬ悲鳴を上げてしまいました。
だって、彼女は、ヤンデレ悪役令嬢なんです!
どうして思いだしたのが僕のほうなんでしょう。
普通、こうゆう時に前世を思い出すのは、悪役令嬢ではないのですか?
でも僕が思い出してしまったからには、全力で逃げます。
だって、僕、ヤンデレ悪役令嬢に将来刺されるルペストリス王子なんです。
逃げないと、死んじゃいます。
でも……。
ミーヤ公爵令嬢、とっても、かわいくないですか?
これは、ヤンデレ悪役令嬢から逃げきるつもりで、いつの間にかでれでれになってしまった僕のお話です。
※完結まで執筆済み。連日更新となります。
他サイトでも公開中です。
アラサーですが、子爵令嬢として異世界で婚活はじめます
敷島 梓乃
恋愛
一生、独りで働いて死ぬ覚悟だったのに
……今の私は、子爵令嬢!?
仕事一筋・恋愛経験値ゼロの アラサーキャリアウーマン美鈴(みれい)。
出張中に起きたある事故の後、目覚めたのは 近代ヨーロッパに酷似した美しい都パリスイの子爵邸だった。
子爵家の夫妻に養女として迎えられ、貴族令嬢として優雅に生活…… しているだけでいいはずもなく、婚活のため大貴族が主催する舞踏会に 参加することになってしまう!
舞踏会のエスコート役は、長身に艶やかな黒髪 ヘーゼルグリーン瞳をもつ、自信家で美鈴への好意を隠そうともしないリオネル。
ワイルドで飄々としたリオネルとどこか儚げでクールな貴公子フェリクス。
二人の青年貴族との出会い そして異世界での婚活のゆくえは……?
恋愛経験値0からはじめる異世界恋物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる