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No03 次期君主は山猫を飼い慣らしたい
027 山猫の住処 3
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シャンマオは、下山する時に持って行く背負れる木箱の調合済みの薬を入れた引き出しを開け「もう、無かったか…」と呟き…、部屋の薬棚の引き出しから、大鼻羚羊の角を取り出し、小さめな鍋に削り入れ…、隣の部屋へ行き、薬草の乾燥部屋から[甘草の根・桔梗の根・荊芥穂の花穂・牛蒡の実・スイカズラの蕾み・淡豆鼓・淡竹の葉・薄荷の葉・連翹の果実…]を迷い無く適量集め…、外に出て、薪にされたであろう離れの扉の残骸に対して溜息一つ目…、井戸の水を鍋に入れ、その周辺が水浸しで、地植えしていた薬草が馬に食い荒らされているのを目の当たりにして溜息二つ目…、精神的に自分で火を熾すのが面倒になって、ジエンに付き纏われながら居間へ…「使わせて貰う」と言って鍋を即席なカマドの火に掛け、そのカマドに使われた石の大きさと出所への心当たりから、溜息三つ目……。
最後にハオシュエンとハオユーの目線の位置、身体のラインを凝視するドウンに対して舌打ちし、シャンマオは不機嫌さを隠そうとはせず。皆に背を向け、火の近くで胡坐をかき、膝に肘を突き、頬杖をついた。
ジエンがシャンマオの横に屈み込み「何か、怒ってる?」と尋ねる。
シャンマオは「さぁ~な」と言った後、「軍部の人間や、領主の御家族様に対して何を言えと?」とジエンに向かって一瞬、冷たい視線を向け黙り込んでしまった。
その後…暫く、シャンマオに無視されるジエンを見て…、元凶を担う3名、ドウン、ハオシュエンとハオユーは…(((何故だろう?[兄さん・ジエン様]が、叱られた犬の様に見える……。)))と、それぞれ思うのであった……。
小さな鍋の湯は比較的早く沸き、薬草独特の臭いが室内を満たし始める。
ジエンが放置して来た粥を取りに行って、戻って来たハオユーが「シャンマオ?もしかして…、薬草を粉末にするの面倒になって煎じてる?」とシャンマオに話し掛けると、シャンマオは面倒臭そうに「まぁ~な」とだけ答えた。
「…、火加減、強過ぎない?」
「そだね」と言いながらシャンマオは両手に布を巻き鍋を火から下ろし…、瓶と椀を取りに行って来て…、鍋の蓋をずらして支え、煮汁だけを瓶と汁椀に移す……。
「シャンマオ…、僕等の所為で嫌な事があったんだよね?言ってくれないと、これから気を付けようもないんだ…、教えてよ……。」
「ハオユー…、今更だから良いよ……。私が無い物強請りしない主義なのは、知ってるだろ?」
「でも修理したり、元に戻す努力はさせてよw壊されたり、駄目にされた物って、シャンマオが大切にしていた物だったんだよね?」
ハオユーの言葉に少し躊躇しながらもシャンマオが小さく「それなりにね」と呟き、ジエンがハオユーに嫉妬の視線を送る。
ハオユーはジエンに対し苦笑いを浮かべつつ、何を大切にしていたか聞き出し、「それ飲む前に、粥を温め直すから、食べなよw」と粥を温め、汁椀によそった後に一手間加えた温かい粥をシャンマオに食べさせ、睡魔に襲われたシャンマオを「ジエン様w出番ですよ♪」とジエンに託した。
それで機嫌の直ったジエンと…、風邪の為に味覚や嗅覚が鈍り、手渡された物に一服盛られていた事に気付けなくて、げんなりとするシャンマオをその場に残して…、ハオユーは、居間に置いてあったランタンを借り、ドウンとハオシュエンを連れ出して、井戸のある場所まで移動する……。
そこでハオユーが「ドウン様、申し訳ありませんでした。ドウン様は彼方に御一緒したかったでしょ?」と言うと、ドウンは取り乱した様な様子を見せ「兄上の気に入っている御手付きの女に等に!・・・・」と、何か言い掛けて黙り込む。無意識成りに図星だったらしい。
ハオシュエンも思う事があったのだろう。「そもそも、ジエン様は手放すつもり無さそうだけど…アレは…、ドウン様に御勧めできない類いの普通に扱いが難しい危険なヤツです……。ドウン様が口下手だからって奥方にした様に、勢いで行ったり、無理強いしたら殺されかねません。冗談でなく、本気で殺しに来ると思うので、手を出さない方向で御願いします!」と宣言する。
ドウンが「手を出すつもりは無いから安心してくれ…、それにしても、殺しに来るとは大袈裟だなw」と言うと、ハオシュエンとハオユーは緩く笑い「大袈裟に言って、ソレなら可愛いモノです。」「実質、鳥の餌にされかけたって訴えも無くは無いんですよ」と言うのだった。
最後にハオシュエンとハオユーの目線の位置、身体のラインを凝視するドウンに対して舌打ちし、シャンマオは不機嫌さを隠そうとはせず。皆に背を向け、火の近くで胡坐をかき、膝に肘を突き、頬杖をついた。
ジエンがシャンマオの横に屈み込み「何か、怒ってる?」と尋ねる。
シャンマオは「さぁ~な」と言った後、「軍部の人間や、領主の御家族様に対して何を言えと?」とジエンに向かって一瞬、冷たい視線を向け黙り込んでしまった。
その後…暫く、シャンマオに無視されるジエンを見て…、元凶を担う3名、ドウン、ハオシュエンとハオユーは…(((何故だろう?[兄さん・ジエン様]が、叱られた犬の様に見える……。)))と、それぞれ思うのであった……。
小さな鍋の湯は比較的早く沸き、薬草独特の臭いが室内を満たし始める。
ジエンが放置して来た粥を取りに行って、戻って来たハオユーが「シャンマオ?もしかして…、薬草を粉末にするの面倒になって煎じてる?」とシャンマオに話し掛けると、シャンマオは面倒臭そうに「まぁ~な」とだけ答えた。
「…、火加減、強過ぎない?」
「そだね」と言いながらシャンマオは両手に布を巻き鍋を火から下ろし…、瓶と椀を取りに行って来て…、鍋の蓋をずらして支え、煮汁だけを瓶と汁椀に移す……。
「シャンマオ…、僕等の所為で嫌な事があったんだよね?言ってくれないと、これから気を付けようもないんだ…、教えてよ……。」
「ハオユー…、今更だから良いよ……。私が無い物強請りしない主義なのは、知ってるだろ?」
「でも修理したり、元に戻す努力はさせてよw壊されたり、駄目にされた物って、シャンマオが大切にしていた物だったんだよね?」
ハオユーの言葉に少し躊躇しながらもシャンマオが小さく「それなりにね」と呟き、ジエンがハオユーに嫉妬の視線を送る。
ハオユーはジエンに対し苦笑いを浮かべつつ、何を大切にしていたか聞き出し、「それ飲む前に、粥を温め直すから、食べなよw」と粥を温め、汁椀によそった後に一手間加えた温かい粥をシャンマオに食べさせ、睡魔に襲われたシャンマオを「ジエン様w出番ですよ♪」とジエンに託した。
それで機嫌の直ったジエンと…、風邪の為に味覚や嗅覚が鈍り、手渡された物に一服盛られていた事に気付けなくて、げんなりとするシャンマオをその場に残して…、ハオユーは、居間に置いてあったランタンを借り、ドウンとハオシュエンを連れ出して、井戸のある場所まで移動する……。
そこでハオユーが「ドウン様、申し訳ありませんでした。ドウン様は彼方に御一緒したかったでしょ?」と言うと、ドウンは取り乱した様な様子を見せ「兄上の気に入っている御手付きの女に等に!・・・・」と、何か言い掛けて黙り込む。無意識成りに図星だったらしい。
ハオシュエンも思う事があったのだろう。「そもそも、ジエン様は手放すつもり無さそうだけど…アレは…、ドウン様に御勧めできない類いの普通に扱いが難しい危険なヤツです……。ドウン様が口下手だからって奥方にした様に、勢いで行ったり、無理強いしたら殺されかねません。冗談でなく、本気で殺しに来ると思うので、手を出さない方向で御願いします!」と宣言する。
ドウンが「手を出すつもりは無いから安心してくれ…、それにしても、殺しに来るとは大袈裟だなw」と言うと、ハオシュエンとハオユーは緩く笑い「大袈裟に言って、ソレなら可愛いモノです。」「実質、鳥の餌にされかけたって訴えも無くは無いんですよ」と言うのだった。
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