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No03 次期君主は山猫を飼い慣らしたい
015 後悔の日 1
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暇つぶしに本棚の御伽話を読み、シャンマオも薄々そうではないか?程度には気付いていたが…、後宮内、正一品[貴妃]の屋敷にあるシャンマオが最初に連れられてきた部屋は…、今でもジエンが使用している、子供の頃からのジエンの私室だそうだ……。
本当は私室として他に、ジエンも離宮を持っているらしいが、気付けば総ての部屋が執務室や会議室、作業場や倉庫になってしまって、寝る場所が無くなり、結果、この私室に寝に帰って来ていると言う。
それを赤飯で小豆粥を作って貰って食べた昼に耳にした時、シャンマオは嫌な予感しかしなかった。勿論、予想は当然の事の如くに当たる。
「坊ちゃんが帰ってくる前に御風呂に入りましょうね♪」
「風呂は吝かでは無いが、一人で入っては駄目だろうか?」
「駄目です。規則ですからねw」
シャンマオは服を脱ぐのも、体を洗うのも、拭くのも、着るのも総て手伝われ…、濃い匂いの香油や着る物に香を焚きしめられる事だけは阻止したが…、着慣れない薄く柔らかい寝間を着付けられ、羞恥心と手伝われ慣れなさで精神的に耐えられなくなってしまい……。部屋の隅、固く閉ざされた窓際の背もたれのある堅い木の椅子に、もたれ鎮座し、薬で痛めた胃に蓄積したストレスを加えた結果、体調不良が悪化したのだろう、頭から毛布に包まり縮こまり、慣れない晒無し状態に、自分の胸を抱き、目尻に涙を滲ませ「大丈夫だから、放っておいてくれ」と繰り返し、食事も拒否してモンファ達を困らせていた。
父親への報告だけで戻って来れず、仕事をして帰って来たジエンは、帰って早々、その場面を目の当たりにし…、事情を聞いて、今朝のジルイとの会話を思い出し(精神的に追い込んで救いを与えるのが、一般的な恋愛戦術と言っていたが…、御伽話のアレとコレとでは、違う様な気がするぞ…)と、御伽話の偶然設定、擬似的吊り橋効果なアレと、陥れる的なコレの違いに気付くのだが…、ココで救いの手を差し伸べないのも駄目だと思い…結局、ジルイとモンファの策略に乗り込み、シャンマオに救いの手を差し伸べた……。
妓楼の老板娘からの手紙の情報に従い。ジエンはローズウォーターを少量手に取り、手の中で温め馴染ませた両手で「本当に大丈夫なのか?」とシャンマオの両頬に触れる。シャンマオにとっての使い馴染んだ物の香りには落ち着く効果があるのだろう。さっきまでの刺々しかった空気感が落ち着いて行き…、ジエンが左手で頬から耳を掠め首の後ろ後頭部へ…右手で顔に掛かった髪を掻き上げながら被った毛布を退けても大人しく、されるが儘になっている……。それが嬉しくてジエンは、思ってたより柔らかい肌や髪の質感を楽しむように首筋から頬に戻って唇、髪から頬、瞼、目尻に滲んだ涙に触れていた。
暫くして「坊ちゃん?」とモンファに声を掛けられ、ジエンは正気に戻り、頬を染め、シャンマオから、さっと手を放す。気付けばシャンマオを包んでいた柔らかく暖かい毛布はシャンマオを包んでおらず。薄衣と不揃いながら意外と長い髪だけが、女性らしい体のラインをピッタリと包む普段とは違う雰囲気のシャンマオが目の前に居たのだ。
シャンマオは、化粧をしている訳では無い。押さえ込んだ胸を晒から解放し、男物の服で武装しないだけだった。でも、ここまで変わるとは思っていなかったジエンは動揺してしまい。シャンマオに真摯に謝ってから「自分の御手付きって事にしておけば、他の誰より父上に対する牽制になるから…」と馬鹿正直に、ジルイに勧められた策略を誰が企てたモノかだけは言わず話してしまう。
シャンマオは驚き(ホント、馬鹿だなぁ~)と思いながら、吹き出す様に笑い出し、
「領主様の初恋ネタか…、既に1人、そう言うのを妾に持っていてるだろ?流石に私にまでは来ないんじゃないか?」と言って、後で後悔する。
ジエンは反対に表情を堅くし「1人じゃない、2人だ!それが誰だかわかるよな?シャンマオにも手を出す可能性は零じゃない。だから、シャンマオは[俺のだ]と宣言して来た。」と言った。
シャンマオは「2人って…」と呟き悪寒を走らせ、掠れた声で「それ、何の冗談?」と言ってしまう。
危険性を理解して欲しいジエンは信じて欲しくて内心、必死で「今まだ、証拠はこの窓の外にあると思う。事実を受け止める覚悟はあるか?」と反発するかの様に強めに言った。シャンマオの方も性格上引けなくて、信じたくない気持ち半分で、指先から冷たくなって行くのを感じながら、覚悟も無いのに「ある。早く証拠を見せろ!」と言ってしまうのだった。
本当は私室として他に、ジエンも離宮を持っているらしいが、気付けば総ての部屋が執務室や会議室、作業場や倉庫になってしまって、寝る場所が無くなり、結果、この私室に寝に帰って来ていると言う。
それを赤飯で小豆粥を作って貰って食べた昼に耳にした時、シャンマオは嫌な予感しかしなかった。勿論、予想は当然の事の如くに当たる。
「坊ちゃんが帰ってくる前に御風呂に入りましょうね♪」
「風呂は吝かでは無いが、一人で入っては駄目だろうか?」
「駄目です。規則ですからねw」
シャンマオは服を脱ぐのも、体を洗うのも、拭くのも、着るのも総て手伝われ…、濃い匂いの香油や着る物に香を焚きしめられる事だけは阻止したが…、着慣れない薄く柔らかい寝間を着付けられ、羞恥心と手伝われ慣れなさで精神的に耐えられなくなってしまい……。部屋の隅、固く閉ざされた窓際の背もたれのある堅い木の椅子に、もたれ鎮座し、薬で痛めた胃に蓄積したストレスを加えた結果、体調不良が悪化したのだろう、頭から毛布に包まり縮こまり、慣れない晒無し状態に、自分の胸を抱き、目尻に涙を滲ませ「大丈夫だから、放っておいてくれ」と繰り返し、食事も拒否してモンファ達を困らせていた。
父親への報告だけで戻って来れず、仕事をして帰って来たジエンは、帰って早々、その場面を目の当たりにし…、事情を聞いて、今朝のジルイとの会話を思い出し(精神的に追い込んで救いを与えるのが、一般的な恋愛戦術と言っていたが…、御伽話のアレとコレとでは、違う様な気がするぞ…)と、御伽話の偶然設定、擬似的吊り橋効果なアレと、陥れる的なコレの違いに気付くのだが…、ココで救いの手を差し伸べないのも駄目だと思い…結局、ジルイとモンファの策略に乗り込み、シャンマオに救いの手を差し伸べた……。
妓楼の老板娘からの手紙の情報に従い。ジエンはローズウォーターを少量手に取り、手の中で温め馴染ませた両手で「本当に大丈夫なのか?」とシャンマオの両頬に触れる。シャンマオにとっての使い馴染んだ物の香りには落ち着く効果があるのだろう。さっきまでの刺々しかった空気感が落ち着いて行き…、ジエンが左手で頬から耳を掠め首の後ろ後頭部へ…右手で顔に掛かった髪を掻き上げながら被った毛布を退けても大人しく、されるが儘になっている……。それが嬉しくてジエンは、思ってたより柔らかい肌や髪の質感を楽しむように首筋から頬に戻って唇、髪から頬、瞼、目尻に滲んだ涙に触れていた。
暫くして「坊ちゃん?」とモンファに声を掛けられ、ジエンは正気に戻り、頬を染め、シャンマオから、さっと手を放す。気付けばシャンマオを包んでいた柔らかく暖かい毛布はシャンマオを包んでおらず。薄衣と不揃いながら意外と長い髪だけが、女性らしい体のラインをピッタリと包む普段とは違う雰囲気のシャンマオが目の前に居たのだ。
シャンマオは、化粧をしている訳では無い。押さえ込んだ胸を晒から解放し、男物の服で武装しないだけだった。でも、ここまで変わるとは思っていなかったジエンは動揺してしまい。シャンマオに真摯に謝ってから「自分の御手付きって事にしておけば、他の誰より父上に対する牽制になるから…」と馬鹿正直に、ジルイに勧められた策略を誰が企てたモノかだけは言わず話してしまう。
シャンマオは驚き(ホント、馬鹿だなぁ~)と思いながら、吹き出す様に笑い出し、
「領主様の初恋ネタか…、既に1人、そう言うのを妾に持っていてるだろ?流石に私にまでは来ないんじゃないか?」と言って、後で後悔する。
ジエンは反対に表情を堅くし「1人じゃない、2人だ!それが誰だかわかるよな?シャンマオにも手を出す可能性は零じゃない。だから、シャンマオは[俺のだ]と宣言して来た。」と言った。
シャンマオは「2人って…」と呟き悪寒を走らせ、掠れた声で「それ、何の冗談?」と言ってしまう。
危険性を理解して欲しいジエンは信じて欲しくて内心、必死で「今まだ、証拠はこの窓の外にあると思う。事実を受け止める覚悟はあるか?」と反発するかの様に強めに言った。シャンマオの方も性格上引けなくて、信じたくない気持ち半分で、指先から冷たくなって行くのを感じながら、覚悟も無いのに「ある。早く証拠を見せろ!」と言ってしまうのだった。
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