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No01 プロローグ 天葬の一族の最期

001 鳥葬を生業とする一族

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 とある架空の世界での出来事。皇帝が住まう中央の後宮を真似て、皇帝から領地を預かる領主達も後宮を作り[女]を囲っていた。この物語は、幼き日に領主の息子『ジエン』と、男の子の格好をした『マオ』が出会い…、紆余曲折の末、一つの一族が滅ぼされ…、『シャンマオ』と間違って、双子の兄『シーツー』が宦官かんがんにされ…、間違いや勘違いの果て…、後宮にて『ジエン』と再会した『シャンマオ』が…、『ジエン』の嫁に成るまでの御話である……。


 かつて、山間部の辺境の地にて存在していた『プラヴァシ』と言う鳥の神様を掲げた『火を祭る寺院』と、葬儀場である二棟一対の『沈黙の塔ダフマ』が、領主の葬儀をも受け持つ『鳥葬を生業とする一族で象徴』だった。

・・・あの時、私だけが…、私と双子の兄が生まれる少し前の時期に…、当時5歳であった姉の『鹿ルー』が先代の領主の葬儀で、天からの[御迎えの鳥]を呼ぶ鎮魂歌ちんこんかを歌ったが為に気に入られ…、「縁起の良い名前でもあるから」と…、上級妃[四妃・十八ひん]合計22名の下の位、下級妃に当たる『正三品・婕妤しょうよ』として召し上げると言う名の[人攫い]に遭っていた…と言う……。一族共通の情報を知らなかった。・・・

 この一族が生業としていた宗教は昔、三夷教さんいきょうの一つとされ、王朝に保護されていた時代もあったのだが…、時代は移り変わり、鳥葬を生業とする者達も近親婚を繰り返して数を減らし…、近年では、皇帝からも苦言を呈され、忌避される文化となりつつあって…、当時、既に何か問題を起こせば、禁止され兼ねない状態にあったらしい……。

・・・村長兼神官長である父親の命令で、自分と双子の兄『獅子シーツー』だけが、全員参加しなければいけない筈の[位の高い人間の葬儀]に、参加しない事が決定する。皆が知る情報を私だけが知らなかったので…、自分達が何故、身を隠さなければ駄目だった理由を…私は考え付きもしなかったのだ……。・・・

 偉くても偉くなくても、人の死は当然で、その日は唐突にやって来る。

 葬儀の依頼は早馬で知らされ…、その日の内に何の準備も無く…、神官長の命令とやらで、神官長の子供…、双子の兄妹は、「他の大人が迎えに来ても出て来てはイケナイ」「神官長が迎えに来るまで隠れていなさい」とだけ言われ…、二人ボッチで人里離れた山中へ、肉食の鳥の保護区の小さな小屋へと追い遣られてしまう……。

 事情を理解出来なかったシーツーの双子の妹『山猫シャンマオ』は「マジでか!何時までだよ!ここ、水も食料も無いんですけど?」と怒りに怒りを重ね、髪を覆い隠す為の薄い大きな一枚布[ヒジャブ]を怒り任せに脱ぎ捨てる。
シャンマオと一緒に連れて来られたシャンマオの双子の兄シーツーは、神官に成る為に必要な不思議な力『マギ』を手に入れる為の連日の厳しい修行の為に疲れ果て、先日から熱を出していた。そこに至っての家から人里離れた肉食の鳥の保護区の小さな小屋への移動。
今現在、無理な移動が祟り、シーツーは脱水まで起こして顔色の悪くしている。普段住んでる家の場所より標高が高く環境が悪い、空気が乾燥し、こんな薬どころか飲み水すら手に入らない場所で放っておけば、風邪と脱水症状を悪化させて死んでしまうかもしれない。

 早速、シャンマオは「私はまだ5歳で[7歳~12歳まで掛けて行う儀式]を受けていないから、怒られても許されるはず!」と言い切り…、身動きし辛いからと、双子の兄の簡易的なターバンを真似てか?ヒジャブをハチマキの様に頭に巻き直して、シーツーと見分けが付かない姿を作り上げた……。
そして「役人が来てた事を考慮して要約するに…『大人に存在を知られちゃ駄目』って事だよね?じゃ、何とかなるな…、こっそり家に帰って何か取ってくるよ♪これ、シーの為じゃ無いぞ!私がオナカ空いて仕方ないからだからね!」と説明の様な言い訳をシーツーに伝え、出てはイケナイ小屋から出て、村まで水と食料を調達に行ってしまう。

 シーツーは、クスクス笑って見送り「マオは、何時でも落ち着き無いなぁ~…(腹なんて空いてないクセに…私の為に行動する気なら…)無事に帰って来てくれよ……。」と呟き、思う様に動けない体に舌打ちして、冷たい石造りの据え置きの椅子の上で寝転がり、大きく溜息を吐いた。
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