吉原柄の法被と銀狐

mitokami

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03 吉原柄の法被と銀狐

033 所でアオマルは、何しに来ているのだろうか?

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 本物も偽物も入り交じる遊郭のいとし恋し、思いしたい、好いた惚れた。吉原遊郭の裏長屋生まれの私には、ドレもコレも嘘偽うそいつわりなのか本当なのかが区別が付かない今日この頃。

 午前中の見世での仕事の空き時間を利用して、最近、アオマルが引手茶屋まで頻繁ひんぱんに遊びに来ている。最初は私や私の身の回りの男達の様子をうかがう様な素振りもあったが…、今では、引手茶屋所属の護衛や幇間ほうかんの男達だけでなく、芸者の女性達にも愛想を振りまき…、前後左右に女性を侍らせハーレムを形成していた……。
見世の遊女や女中達だけでは飽き足らず。引手茶屋の方の女性達にも手を広げて囲いを広げるとは、流石、淫具淫薬専門の四ツ目屋からの派遣従業員。下ネタで男達だけでは無く、女の心をも掴むとは、凄いですねw他の女の気を引くのなら、もう、私に用事も無く話し掛けて来てくれるなよwと思っていたら、どうやら、前に私が担当し、孝造に頼んで失敗した。淫薬の薬の出所を追う仕事の為に人脈を広げていたらしい。

 私は一度、アオマルに話し掛けられ、素っ気なく返事をし、孝造の名前を出されて振り返り「ゴメン、今のは態度が悪かった」と謝罪して、その話を聞く。
アオマルの話を要約すると、追っていた薬の出所は、私の兄が通う小見世と、その小見世付きの薬屋に辿り着くらしい。その小見世は奉行所の人間を客に持ち。裁かれるべき者。毒殺を計画し、薬屋に実行犯と言う汚名を着せた遊女を奉行所の人間の許しを受け匿っていると言う。
その罪人とは言わずと知れた我が姉である。奉行所の人間の方は、小見世の客ではあろうけれど何者なのであろうか?私は担当を外れているが…、一度、茜様に連絡し…、[狩りの獲物にしても良い者なのか?]ソウセイ様に御伺いを立てて貰い確認しなければイケナイ……。まだ[狩ってはイケナイ人間]を罠に掛けるのは御法度。泳がせている場合も考えて、私の様な者は、仕事をしなければイケナイ。も、に成り時と言うモノがあるのだ。

 私はアオマルが調べた事は、アオマルが茜様に報告しているモノと考え、自分が引手茶屋で稼いだ金を幾らか酒屋に課金して、酒を餌に今居る場所で出来うる限りの情報を集め、奉行所の人間が誰かを特定し、アオマルから聞いた話から相手を特定するに至った経緯を添え、相手が獲物か?否か?を問う手紙をアオマルにたくし茜様に送った。

 その際「稼ぐ事に余念は無いのに、何故、稼いだ金に執着が薄いのか?」と、アオマルに問われる。引手茶屋での仕事仲間は、自分で貰った物を分ける事が無いのに…、私が客から貰った金を引手茶屋での同僚に均等に分配している事や…、アオマル経由で[兄が借金を作って迷惑掛けるかもしれないから]とアキノ兄さんに結構な金を預けている事…、情報をある意味、金を掛けて買っている事が…アオマルは気になるらしい……。
私は自嘲気味に笑い「実の父親から[嫁に行く事は出来ないだろう]って教えて貰った技術や、金をかせぐって事は…、唯一、実の父親から貰っったモノで、唯一、実の姉や実の父親に、総て取上げられなかったモノ…、でもね…、稼いだ金や貰った物は、必ず上前を撥ねられて来たんだ……。稼いだ金や貰った物に執着しないのは、その名残だよ。執着すると、悔しかったり悲しかったり辛いだけだろ?」と告げた。総てが殆ど真実で、一部分、偽りの感情を含んでいる。

 こう言っておけば、深入りしようとする者は少ない。アオマルの様に「そんなの悲し過ぎる」と憤り、詰め寄って来こられても「私が悪いのか?何もしていなくても、生きているだけで、こんな傷跡が残る怪我を負わされる環境だ。何の力も無い当時の私が抵抗して、殺されでもしていればオマエは満足なのか?」と、大きく残る紅い傷の話に話題を傾け持って行けば、傷痕が私を面倒な会話から護ってくれる。
その所為でアオマルは涙ぐみ、辛そうに黙り込んでしまったが…、私の精神に負担を掛けた償いだと思って欲しい……。後、私より年上だけど、素直で顔の綺麗なのが自分の人生を憂いてくれるのは悪い気がしないなw寧ろ、赤目達が良く言っている。何コレw可愛いww萌えるわぁ~♪ってヤツかもしれない。
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