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03 吉原柄の法被と銀狐
021 異なる正義 3
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独身者5割強。親から継ぐ仕事、又は暖簾分けをして貰い自分で稼ぐ事の出来る職業、[身を立てる仕事]を持たないと結婚できない御時世。
私と春男の血縁の父親[鉄男]の塗り職人の仕事は、仲之町通りや大門、吉原内外の神社等の独占的で大掛りな仕事が定期的にあって、時に大工から防腐の塗りの仕事を受注する事から、ギリ結婚できる職業。跡取りである春男がサエさんを娶る事は可能で、周囲が本人達の気持ちを無視して祝い事だと盛り上がっていた。
ここでサエさんが、茜様の提示する[自らの行動を悔い改めた未来]を選んでくれるなら…、多少、ハル兄が乗り気で無くても…、御近所様の勝手気儘な結婚のゴリ押しを見守っている所だったのだが…、サエさんは自分の正義を貫く為、嘘や偽りの言葉でハル兄や近所の人を騙し…、ハル兄や近所の人達に罪を被せて…、見世物小屋に入れられた妹を吉原遊郭から足抜けさせようとしているのが、言葉や行動の端々から透けて見えている……。
そもそも、サエさんも元は遊女だったのに、忘れてしまったのだろうか?女は吉原遊郭から出る手続きを事前にして、その事が記された木札を所持していなければ、吉原遊郭に簡単に入る事が出来ても、出る事は出来ない。吉原遊郭の地で生まれた女も同様、吉原遊郭から出る事は基本的に出来ないのだ。出る為には大金と、それ相応の伝手とコネが必要と成るのだ。
サエさんは簡単に言うけど、サエさんの妹の為に、吉原遊郭から出る事が出来る木札を手に入れる手伝いをしたら、手伝った人は罪人になるよ?
皆が、優しそうに笑っているから…、話を聞いて親身になってくれるから…、見世物小屋に入れられたサエさんの妹の事に対して、本当に同情的だから…と、サエさんは皆から勧められるが儘に酒を口にし…、無防備に「妹を助け出したい」と言って、色々と語り過ぎていた……。
壁が薄く、声が隣近所に筒抜けな長屋に張り込んでいたサエさんを見張る若い衆が節穴のある板壁の向こうから「ニシキ、話は通しておく。今から秋之丞様の所へ自分の兄貴を連れて行け」と私に言う。内心それはそれで、女が苦手なハル兄を女の多い場所に住む秋之丞の所に連れて行って大丈夫なのだろうか?と言う疑問もあったが…、若い衆に「ありがとう」と返して…、「ハル兄!ちょっと買い出しに付き合って」と前祝いと酒を呷る鉄男を家に残してハル兄を連れ出し、裏長屋から揚屋町に出てからハル兄の服の袖を強く掴み「今からアキノ兄さんの所まで一緒に行って欲しい」と懇願し…、その夜、見世の奥の縁起棚と言う神棚を飾る場所のある内証と呼ばれる所にて、私はハル兄の服の袖を放さず、楼主と茜様とアキノ兄さんにハル兄を酒で潰して貰い…ハル兄を家に帰らせなかった……。
翌朝、水死体が上がり。奉行所の同心が雇う岡引きがユメ姐さんを伴って見世の方にやって来た。
その対応にアキノ兄さんが出て「春男君は来てるけど…タエって?」と、一瞬、私の本名を忘れていたのだろう。戸惑いの表情を見せ、ユメ姐さんに「アンタさんがニシキて呼んではる娘や」と言われ、話は中断せずに進んだらしい。
そして、アキノ兄さんは「寄子の身内やからて…、庇うつもりは、あらへんけど…」と言いつつ「ウチの寄子のニシキが我が儘ゆうて、ほんま一晩中、春男君を困らせとったよw嘘や思うなら、皆に訊いてみwwニシキがずっと、春男君の服の袖掴んで春男君にくっついとったて言う思うでw」とハル兄と私のアリバイを証言してくれた。
それから私とハル兄は岡引きと会った訳だが…ハル兄付添う私を見て「あ…銀狐!」と、岡引きが驚きの声を上げ…、「銀狐がタエ…」と頭を抱え「銀狐が男と仲睦まじく歩いてたって目撃証言があったけど、それだったかぁ~」と……。どうやら、私の呼び名の所為で捜査が無駄に攪乱されていたらしい。
その後[銀狐]の目撃証言は簡単に集まって私とハル兄はシロと判定された。
昨晩の営業終了後…、私とハル兄は、その場で寝入ってしまい掛け布団を掛けて貰っていたが…見世と、内証を仕切る簾を上げ…、広々とした場所で楼主と茜様とアキノ兄さんがまだ、酒を酌み交わしていた為…、その席に、何時の間にか楼主と顔馴染みの見世の泊まり客数人も何時の間にか加わっており…「俺は見た。銀狐は添い寝する程、自分の兄ちゃんが大好きだぞw」と言う証言があったと言う……。
(誤解だ!アレは、偶然そう成っただけで、それ程までハル兄を好きと言う訳ではないぞ!!)私の真意を無視して、その噂は、私とハル兄が無罪となったと同期には、真しやかに流れていた。
私と春男の血縁の父親[鉄男]の塗り職人の仕事は、仲之町通りや大門、吉原内外の神社等の独占的で大掛りな仕事が定期的にあって、時に大工から防腐の塗りの仕事を受注する事から、ギリ結婚できる職業。跡取りである春男がサエさんを娶る事は可能で、周囲が本人達の気持ちを無視して祝い事だと盛り上がっていた。
ここでサエさんが、茜様の提示する[自らの行動を悔い改めた未来]を選んでくれるなら…、多少、ハル兄が乗り気で無くても…、御近所様の勝手気儘な結婚のゴリ押しを見守っている所だったのだが…、サエさんは自分の正義を貫く為、嘘や偽りの言葉でハル兄や近所の人を騙し…、ハル兄や近所の人達に罪を被せて…、見世物小屋に入れられた妹を吉原遊郭から足抜けさせようとしているのが、言葉や行動の端々から透けて見えている……。
そもそも、サエさんも元は遊女だったのに、忘れてしまったのだろうか?女は吉原遊郭から出る手続きを事前にして、その事が記された木札を所持していなければ、吉原遊郭に簡単に入る事が出来ても、出る事は出来ない。吉原遊郭の地で生まれた女も同様、吉原遊郭から出る事は基本的に出来ないのだ。出る為には大金と、それ相応の伝手とコネが必要と成るのだ。
サエさんは簡単に言うけど、サエさんの妹の為に、吉原遊郭から出る事が出来る木札を手に入れる手伝いをしたら、手伝った人は罪人になるよ?
皆が、優しそうに笑っているから…、話を聞いて親身になってくれるから…、見世物小屋に入れられたサエさんの妹の事に対して、本当に同情的だから…と、サエさんは皆から勧められるが儘に酒を口にし…、無防備に「妹を助け出したい」と言って、色々と語り過ぎていた……。
壁が薄く、声が隣近所に筒抜けな長屋に張り込んでいたサエさんを見張る若い衆が節穴のある板壁の向こうから「ニシキ、話は通しておく。今から秋之丞様の所へ自分の兄貴を連れて行け」と私に言う。内心それはそれで、女が苦手なハル兄を女の多い場所に住む秋之丞の所に連れて行って大丈夫なのだろうか?と言う疑問もあったが…、若い衆に「ありがとう」と返して…、「ハル兄!ちょっと買い出しに付き合って」と前祝いと酒を呷る鉄男を家に残してハル兄を連れ出し、裏長屋から揚屋町に出てからハル兄の服の袖を強く掴み「今からアキノ兄さんの所まで一緒に行って欲しい」と懇願し…、その夜、見世の奥の縁起棚と言う神棚を飾る場所のある内証と呼ばれる所にて、私はハル兄の服の袖を放さず、楼主と茜様とアキノ兄さんにハル兄を酒で潰して貰い…ハル兄を家に帰らせなかった……。
翌朝、水死体が上がり。奉行所の同心が雇う岡引きがユメ姐さんを伴って見世の方にやって来た。
その対応にアキノ兄さんが出て「春男君は来てるけど…タエって?」と、一瞬、私の本名を忘れていたのだろう。戸惑いの表情を見せ、ユメ姐さんに「アンタさんがニシキて呼んではる娘や」と言われ、話は中断せずに進んだらしい。
そして、アキノ兄さんは「寄子の身内やからて…、庇うつもりは、あらへんけど…」と言いつつ「ウチの寄子のニシキが我が儘ゆうて、ほんま一晩中、春男君を困らせとったよw嘘や思うなら、皆に訊いてみwwニシキがずっと、春男君の服の袖掴んで春男君にくっついとったて言う思うでw」とハル兄と私のアリバイを証言してくれた。
それから私とハル兄は岡引きと会った訳だが…ハル兄付添う私を見て「あ…銀狐!」と、岡引きが驚きの声を上げ…、「銀狐がタエ…」と頭を抱え「銀狐が男と仲睦まじく歩いてたって目撃証言があったけど、それだったかぁ~」と……。どうやら、私の呼び名の所為で捜査が無駄に攪乱されていたらしい。
その後[銀狐]の目撃証言は簡単に集まって私とハル兄はシロと判定された。
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(誤解だ!アレは、偶然そう成っただけで、それ程までハル兄を好きと言う訳ではないぞ!!)私の真意を無視して、その噂は、私とハル兄が無罪となったと同期には、真しやかに流れていた。
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