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02 私と、それなりの日常
013 私の周囲の不協和音 種
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意外と忘れがちだが…、寛政4年に身売りの仲介業をする[女衒]への規制が発布され…、女を遊郭に売って良いのは、父親と兄、叔父、又は伯父、夫と言う女の保護者だけと成り…、女衒は単に、奉公先の口入れのみとなったのだが……。その女の保護者が字が書け、読めの専門知識を持たないと、物理的に年季奉公の前借金渡しの加印の有る証書を取り交わすのが難しく…、結局、悪い女衒が蔓延る天保年間。
それでも…昔の吉原から受け継いだ…元和3年からの3つの約束事の内の2つ[偽られて売られてきた娘は、調査して親元に返す。][犯罪者などは届け出る。]は、健在で…、私は女衒や犯罪者に関する情報を集める任務も担っていた……。
その仕事に、一緒に行動すると煩わしさが、ホント冗談抜きで、この上無いのだが、兄の友人の孝造が思いの外、意外と役に立つ。私が仲良くなれないタイプの見世の姐さん等とか、商家の御嬢等までもが、孝造の気を引こうと何でも良く喋るのだ。
そこに、女に対して口下手な我が兄が、私の仕事を気にして必要な情報を得る為のアシストをしてくれる。私は仕事をしながら会話に耳を傾け、時にメモを取り、必要となれば絵を描いて、見て貰い。今までよりも情報量が多く、良い仕事が出来ている。
更に、仕事帰りに大門の左手に有る面番所に立寄り…、茜様から預かった根付けを見せ…、奉公所から派遣され交代で常駐している同心や岡っ引きに人相書きリストと照らし合わせて貰って…、結果を基本は、報告書を作成し茜様に提出するのだが…、時々、絵を複製して面番所から小銭を貰う事がある……。
その絵に寄る収入も孝造の御陰で増え、3分割しても、孝造が一緒に付いて来ていなかった頃より良い金額が貰えているのが解せない。今まで私が必死に情報を集め描き上げていた頃の苦労は一体全体、何だったんだ?腹立たしい。ホント、マジでズルイぞ!コミュニケーション能力高いイケメンめ!!
そして、我が兄には、見るに堪えないから、自らの友人を見習って、コミ力強化に勤しんで欲しい。実の兄が耳まで真っ赤にして少し震えながら女性と話してるのを目の当たりにする妹である私の気持ちも考えて欲しいものだ。どうしても、居たたまれない気持ちになる。
そんな悩みの有る…とある日…、我が兄と、その友人である孝造が…、私の表向きの仕事に同伴する事が通常運転化して…日常的な事に成った頃の事……。
私達は仕事に出た筈の父親が、切見世から出て来るのに出会し、その背後に我が兄に似た面差しの女性の姿を見た。その女性は私に気付くと一瞬、背筋に悪寒が走る程に醜い表情を作り、次の瞬間、甘える様な仕草で父の腕に絡み付き妖艶に微笑んでいた。
彼女が我が姉、御本人様であるか如何かは現在不明だが…、その切見世で低い確率、可能性、その女性と自分の父親が会話を楽しんだだけなのか?切見世と言うシステムに従い、普通に遊んだのか如何かだって、実質は分からない……。でも、父親の事をキモイと思うに十分な事案である。
それに想像力が意外と豊かだったらしい私は、嫌な想像をしてしまい。その日から、父親の姿を見るだけでも身の毛もよだつレベルで存在そのものが受け入れられなくて、隣に住むユメ姐さんの家に泊めて貰い。その日の内に父親の事を話し…、茜様経由で、父親の見世への出入り記録を調べて貰い…、我が家の収入を考え…、将来的に自分が、父親の借金の形に売り飛ばされてしまわない為に兄を巻き込み…、[秋之丞]の養女と言う形式で完全に、私の所有権を血縁者から茜様へと移した……。これで[私を借金の形に…]と言う話しが出ても奉行所に持ち込めば大丈夫。私を売る権利は茜様の所有物であるアキノさんのモノ。我が父が私を売ろうとしたら詐欺罪で捕まる事確定。
更にアキノさんが我が兄にも、同じ様な提案をしてくれたけど、兄は「父親の知らぬ間に、自分まで見限る様なマネをするのは忍びない」と「妹を頼みます」と言うに留まった。
その選択は残念極まりない事に、虚しい結果と相成る。父[鉄男]は…、私の思っていた通り、私に値段を付け…、残りの年季分に当たる身請け金相当を差し引き、裏で非公認の女衒をしている高利貸しと結託して…、私を見世物小屋へ売る算段を付けていた……。
風紀を乱した女の罪人を受け入れても、男の罪人は受け入れない花街。茜様曰く、遠くない未来、吉原遊廓の町屋の並ぶ商業区で居住区である揚屋町に鉄男が居られなく成る可能性は、既に濃厚だったらしい。
その言葉通り…、私がアキノさんの養子養女が住む部屋の子に成った数年後…、何時の間にか腕の関節より下に2本線の入墨が彫られ、大門から入れず…、嘗て、私の父親だった者が、物理的に吉原遊廓から消えていた……。
それでも…昔の吉原から受け継いだ…元和3年からの3つの約束事の内の2つ[偽られて売られてきた娘は、調査して親元に返す。][犯罪者などは届け出る。]は、健在で…、私は女衒や犯罪者に関する情報を集める任務も担っていた……。
その仕事に、一緒に行動すると煩わしさが、ホント冗談抜きで、この上無いのだが、兄の友人の孝造が思いの外、意外と役に立つ。私が仲良くなれないタイプの見世の姐さん等とか、商家の御嬢等までもが、孝造の気を引こうと何でも良く喋るのだ。
そこに、女に対して口下手な我が兄が、私の仕事を気にして必要な情報を得る為のアシストをしてくれる。私は仕事をしながら会話に耳を傾け、時にメモを取り、必要となれば絵を描いて、見て貰い。今までよりも情報量が多く、良い仕事が出来ている。
更に、仕事帰りに大門の左手に有る面番所に立寄り…、茜様から預かった根付けを見せ…、奉公所から派遣され交代で常駐している同心や岡っ引きに人相書きリストと照らし合わせて貰って…、結果を基本は、報告書を作成し茜様に提出するのだが…、時々、絵を複製して面番所から小銭を貰う事がある……。
その絵に寄る収入も孝造の御陰で増え、3分割しても、孝造が一緒に付いて来ていなかった頃より良い金額が貰えているのが解せない。今まで私が必死に情報を集め描き上げていた頃の苦労は一体全体、何だったんだ?腹立たしい。ホント、マジでズルイぞ!コミュニケーション能力高いイケメンめ!!
そして、我が兄には、見るに堪えないから、自らの友人を見習って、コミ力強化に勤しんで欲しい。実の兄が耳まで真っ赤にして少し震えながら女性と話してるのを目の当たりにする妹である私の気持ちも考えて欲しいものだ。どうしても、居たたまれない気持ちになる。
そんな悩みの有る…とある日…、我が兄と、その友人である孝造が…、私の表向きの仕事に同伴する事が通常運転化して…日常的な事に成った頃の事……。
私達は仕事に出た筈の父親が、切見世から出て来るのに出会し、その背後に我が兄に似た面差しの女性の姿を見た。その女性は私に気付くと一瞬、背筋に悪寒が走る程に醜い表情を作り、次の瞬間、甘える様な仕草で父の腕に絡み付き妖艶に微笑んでいた。
彼女が我が姉、御本人様であるか如何かは現在不明だが…、その切見世で低い確率、可能性、その女性と自分の父親が会話を楽しんだだけなのか?切見世と言うシステムに従い、普通に遊んだのか如何かだって、実質は分からない……。でも、父親の事をキモイと思うに十分な事案である。
それに想像力が意外と豊かだったらしい私は、嫌な想像をしてしまい。その日から、父親の姿を見るだけでも身の毛もよだつレベルで存在そのものが受け入れられなくて、隣に住むユメ姐さんの家に泊めて貰い。その日の内に父親の事を話し…、茜様経由で、父親の見世への出入り記録を調べて貰い…、我が家の収入を考え…、将来的に自分が、父親の借金の形に売り飛ばされてしまわない為に兄を巻き込み…、[秋之丞]の養女と言う形式で完全に、私の所有権を血縁者から茜様へと移した……。これで[私を借金の形に…]と言う話しが出ても奉行所に持ち込めば大丈夫。私を売る権利は茜様の所有物であるアキノさんのモノ。我が父が私を売ろうとしたら詐欺罪で捕まる事確定。
更にアキノさんが我が兄にも、同じ様な提案をしてくれたけど、兄は「父親の知らぬ間に、自分まで見限る様なマネをするのは忍びない」と「妹を頼みます」と言うに留まった。
その選択は残念極まりない事に、虚しい結果と相成る。父[鉄男]は…、私の思っていた通り、私に値段を付け…、残りの年季分に当たる身請け金相当を差し引き、裏で非公認の女衒をしている高利貸しと結託して…、私を見世物小屋へ売る算段を付けていた……。
風紀を乱した女の罪人を受け入れても、男の罪人は受け入れない花街。茜様曰く、遠くない未来、吉原遊廓の町屋の並ぶ商業区で居住区である揚屋町に鉄男が居られなく成る可能性は、既に濃厚だったらしい。
その言葉通り…、私がアキノさんの養子養女が住む部屋の子に成った数年後…、何時の間にか腕の関節より下に2本線の入墨が彫られ、大門から入れず…、嘗て、私の父親だった者が、物理的に吉原遊廓から消えていた……。
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