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きっと、ナオさんの仕業であろう。事故に遭い少し折れ曲がり飾り石が取れ装飾が削り取られた徹さんが持っていたキーホルダーに簡易な修復が成され、美鈴の元に届き、何時の間にか指輪と一緒に美鈴の腰元でキーホルダーの振りして揺れていた。
そして美鈴は「私の心の師匠が言うてはった。出会いや経験は、総て価値のある糧と成るて…、でもな…私…同じモンばっかは飽きてまうんよwあん人等からは、もう新しい糧得られへんやろ?」徹さんが言っていた事を曲解して語り笑っていた。
別の場所にも居場所を得ている美鈴が、アトリエに通う気が無い事を確信したナオさんは、僕だけに新しい居場所を与え、アトリエで活動していたサークルへの場所の提供を永久に停止する事と、サークルの脱退を宣言し、アトリエを閉じてしまう。
美鈴を不当に追い出したのがナオさんにバレてから、活動場所のオーナーであるナオさんとギクシャクしていたサークルメンバーは、これを機に解散するのだった。
消えた接点。ナオさんと会えない時間。美鈴は実家住まいで運が良ければ会えるけど、ナオさんとは暫く、全くと言って良い程に会えなくて、僕は拠り所を求める。
幸い。ナオさんから新たに与えられた居場所は、高校を卒業した後の就職に通じる場所で、大きな災害の後も何事も無く居続けられ、その場所は僕の就職先と成った。そこで僕は、この人生で最初の恋人[敏]と出会う。
当時の僕も、サトも未経験者で、普通の友達より仲良く成って次第に距離感は近付くも、互いの気持ちを聞き出せず。尋ねる勇気も愛を告白する勇気も無く戸惑うばかりで、結構長い間、関係が進展する事も無かった。つまりは、片思いだと思い込み、恋しく思い合う友人関係が続いた。
そんなある日、母親の訃報を受けて、僕は幼少期に住んでいた団地へと足を向ける。その帰りにナオさんのアトリエがあった場所へと足を向け、階段を上り、階段の踊り場から部屋の扉を見上げると、その隣の部屋から美鈴が現れた。どうやら、知人のコネをフル活用して、目的の部屋は駄目でも、トナリの部屋をゲット。高校卒業の少し前から、この部屋を借りて住んでいるらしい。
僕は「茶でも飲んで行きぃ~さ」と言う美鈴の言葉に甘え、想い出の部屋とは反転した作りの部屋へ足を踏み入れ、驚いた。
ナオさんのアトリエにて、美鈴が気に入っていた丸いテーブルセットと同型のモノが置いてある。アトリエ同様、襖は取り払われ、寝室に使っているであろう場所を区切るのはカーテン。青をベースにしてなければ、もっと、ナオさんのアトリエとソックリだったであろう。
僕は懐かしく思い。思い出話の序でに美鈴に対して同性愛者で有る事をカミングアウトするのと、会社の同僚で今の思い人[敏]の話をする。美鈴は何を今更?と言わんばかりの顔で僕を受け入れ「男同士がするんに必要な知識だけは持っとうよw」とその時持っていた私物の携帯の番号を教えてくれた。
アンテナが伸びたり、蓋が付いてたり、二つ折りだったり…ラジオが聴けるモノまであったmovaの時代、美鈴の知識に助けられ…、インターネット接続を可能にしたfomaの時代に僕が自分で情報を集められる様に成って、美鈴の知識を必要としなくなり…、美鈴に迷惑を掛けなくなったと言う過程は、今でも良い想い出だ……。
そして、現在スマホのアプリを見て思う。ポケベル時代に連絡を催促される事に対しトラウマを持った美鈴には、スマホ中毒者の多い現代は苦痛に満ちた世界であろう。「束縛嫌い。オハヨウからオヤスミまでとか有り得ない…」と言う美鈴定番の愚痴が聞こえてきそうだ。
因みに僕の恋は、カメラ付きが出始めた頃、僕等の元に完全に女性に成って帰って来たナオさんと美鈴の御陰で進展する。切っ掛けは…、面倒臭がり屋で、自分からは用事があっても「まぁ~いっかw今度会った時か連絡あった時で」と…気が向かないとギリギリまで連絡して来ない美鈴からの電話だった……。
待ち受け画面に表示される美鈴の名前、僕は美鈴からの電話に驚き、電話に出て要件に対して歓喜する。
それから隣で仕事をしていたサトに、昔馴染みの人間から飲み会の誘いがあった事、来週、久し振りに初恋の人に会う事を話した。この時、僕の言葉足らずな言葉で、サトが初恋の相手が美鈴だと誤解していたのは、今と成って笑い話だ。
僕はそんな誤解に気付か無いまま、強引にサトを誘い。美鈴の提案通り、サトを飲み会に連れて行って功を奏し、後々、後悔もする。
そして美鈴は「私の心の師匠が言うてはった。出会いや経験は、総て価値のある糧と成るて…、でもな…私…同じモンばっかは飽きてまうんよwあん人等からは、もう新しい糧得られへんやろ?」徹さんが言っていた事を曲解して語り笑っていた。
別の場所にも居場所を得ている美鈴が、アトリエに通う気が無い事を確信したナオさんは、僕だけに新しい居場所を与え、アトリエで活動していたサークルへの場所の提供を永久に停止する事と、サークルの脱退を宣言し、アトリエを閉じてしまう。
美鈴を不当に追い出したのがナオさんにバレてから、活動場所のオーナーであるナオさんとギクシャクしていたサークルメンバーは、これを機に解散するのだった。
消えた接点。ナオさんと会えない時間。美鈴は実家住まいで運が良ければ会えるけど、ナオさんとは暫く、全くと言って良い程に会えなくて、僕は拠り所を求める。
幸い。ナオさんから新たに与えられた居場所は、高校を卒業した後の就職に通じる場所で、大きな災害の後も何事も無く居続けられ、その場所は僕の就職先と成った。そこで僕は、この人生で最初の恋人[敏]と出会う。
当時の僕も、サトも未経験者で、普通の友達より仲良く成って次第に距離感は近付くも、互いの気持ちを聞き出せず。尋ねる勇気も愛を告白する勇気も無く戸惑うばかりで、結構長い間、関係が進展する事も無かった。つまりは、片思いだと思い込み、恋しく思い合う友人関係が続いた。
そんなある日、母親の訃報を受けて、僕は幼少期に住んでいた団地へと足を向ける。その帰りにナオさんのアトリエがあった場所へと足を向け、階段を上り、階段の踊り場から部屋の扉を見上げると、その隣の部屋から美鈴が現れた。どうやら、知人のコネをフル活用して、目的の部屋は駄目でも、トナリの部屋をゲット。高校卒業の少し前から、この部屋を借りて住んでいるらしい。
僕は「茶でも飲んで行きぃ~さ」と言う美鈴の言葉に甘え、想い出の部屋とは反転した作りの部屋へ足を踏み入れ、驚いた。
ナオさんのアトリエにて、美鈴が気に入っていた丸いテーブルセットと同型のモノが置いてある。アトリエ同様、襖は取り払われ、寝室に使っているであろう場所を区切るのはカーテン。青をベースにしてなければ、もっと、ナオさんのアトリエとソックリだったであろう。
僕は懐かしく思い。思い出話の序でに美鈴に対して同性愛者で有る事をカミングアウトするのと、会社の同僚で今の思い人[敏]の話をする。美鈴は何を今更?と言わんばかりの顔で僕を受け入れ「男同士がするんに必要な知識だけは持っとうよw」とその時持っていた私物の携帯の番号を教えてくれた。
アンテナが伸びたり、蓋が付いてたり、二つ折りだったり…ラジオが聴けるモノまであったmovaの時代、美鈴の知識に助けられ…、インターネット接続を可能にしたfomaの時代に僕が自分で情報を集められる様に成って、美鈴の知識を必要としなくなり…、美鈴に迷惑を掛けなくなったと言う過程は、今でも良い想い出だ……。
そして、現在スマホのアプリを見て思う。ポケベル時代に連絡を催促される事に対しトラウマを持った美鈴には、スマホ中毒者の多い現代は苦痛に満ちた世界であろう。「束縛嫌い。オハヨウからオヤスミまでとか有り得ない…」と言う美鈴定番の愚痴が聞こえてきそうだ。
因みに僕の恋は、カメラ付きが出始めた頃、僕等の元に完全に女性に成って帰って来たナオさんと美鈴の御陰で進展する。切っ掛けは…、面倒臭がり屋で、自分からは用事があっても「まぁ~いっかw今度会った時か連絡あった時で」と…気が向かないとギリギリまで連絡して来ない美鈴からの電話だった……。
待ち受け画面に表示される美鈴の名前、僕は美鈴からの電話に驚き、電話に出て要件に対して歓喜する。
それから隣で仕事をしていたサトに、昔馴染みの人間から飲み会の誘いがあった事、来週、久し振りに初恋の人に会う事を話した。この時、僕の言葉足らずな言葉で、サトが初恋の相手が美鈴だと誤解していたのは、今と成って笑い話だ。
僕はそんな誤解に気付か無いまま、強引にサトを誘い。美鈴の提案通り、サトを飲み会に連れて行って功を奏し、後々、後悔もする。
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