僕と美鈴と思い人

mitokami

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 小学3年か4年生の頃だっただろうか?ナオさんのアトリエに入り浸る美鈴に、ナオさんを含む年長のメンバーが苦言を呈したのは?
その頃の美鈴は、自らもその女子と言う分類に含まれる性別だと言うのに「女子って嫌いなんよね…、クラス遊びのフルーツバスケットの時やとしても、好きな男子のトナリにセッカク座れてたんにジャマしいた…とか、メンドウクサイ事を言い出すし…、クツかくしたり、クツかくした犯人に私を仕立て上げたり…、人が何を大切にしいてるか知りもせぇ~へんで、人の机の中にゴミ入れて、大切にしてたんモロトモ全部グチャグチャにした後で、机の中のセイリセイトンして下さい~とか言って、クラスメイトに汚くなった机のんのモンを大公開してみたりするんよ?シットで、こっちにメイワクばっかかけて来る女子って生き物のドコを好きになれと?」と言い。「証拠を見せたるから、8ミリ貸して」と犯行現場を当時、まだ高価な物だったカメラで撮影。同級生本人には見せず。その母親に見て貰って「シツケ名目でイジメてるオバサンのセイだよwゼンアクの分らない子で、ほんまメイワクしてるねん」と被害以上に弁償させる。そんな…女嫌いな女の子だったのに……。

 高校に入る成り人生観でも変わったのか?既に何人か、彼女を連れてナオさんに会いに来ていたと耳にする。美鈴も僕と一緒で[ナオさん一筋]なのだと思っていた事も有り。当初、僕は初めて、美鈴と彼女のイチャラブ的な光景に出会でくわして、アトリエを汚してしまった[先日の件]並みに硬直した。
裏切られた様な気分で「美鈴…、女子が好きなのか?」と尋ねると「いや、綺麗なんが好きで、性別を気にしてないだけやけど?」と返された。
「は?」と言って驚く僕に美鈴は「この娘、めっちゃ可愛いやろ?」と言う。見目が総てと言う事だろうか?僕は少し気に成り心配する。ナオさんも美鈴の交友関係に手当たり次第感を感じ、同じ様な気持ちだったらしい。

 その翌週…、ナオさんのアトリエに久し振りに来た美鈴の彼女は替わっていた……。前の相手とは破局したとの事だった。美鈴は当時流行していたポケベルを取り出し「毎朝、0840って打つん面倒臭ぁ~成ってさぁ~」と笑っていた。それはその後、数字だけで無く、割り当て番号で仮名を送れる様に成ってから、更に悪化の一途を辿る。「束縛嫌い。オハヨウからオヤスミまでとか有り得ない…」のだそうだ。ナオさんは何故か破局の度に嬉しそうに笑っていた。

 最新機種情報の広告がポケベルからPHSメインに移る頃、ポケベルの時と同様、ナオさん契約で僕と美鈴はPHSを手にしていた。その頃に美鈴が初の彼氏をナオさんのアトリエに連れて来る。
「「レズじゃ無かったのか?」」と、その場に居合わせた皆の声が揃う。
「え?今まで彼氏も連れて来いた事あったよ!」
「嘘?!」と言って、何故かアトリエに置いてある。美鈴の歴代の恋人との写真が入れてあるアルバムを数人掛かりで再確認し、その中に良く見たら分る…今で言う男の娘の存在に気付く……。皆それぞれ複雑な気持ちになった事であろう。先入観とは怖い物だ。
そして、美鈴が今まで連れて来た恋人とは毛色の違う男に皆が興味津々だった。

 興味を引かれ合う男女が揃えば、間違いも起きる。それは体の性別が男同士でも…、心が興味を引かれ合った場合、間違いが起きてしまうモノなのかもしれない……。
今回、美鈴が選んだ恋人[トオルさん]は、今思えば、歴代のナオさんの恋人と雰囲気が似ていて、ナオさんの好みのタイプであったのは確かだった。

 俗に言う[腐女子・腐男子]の園に迷い込んだ彼は、[ト~さん・オトウサン]と呼ばれ親しまれながら、不思議そうに[腐女子・腐男子]が生み出す世界を毎日、覗き見に来ていた。

 そんなある日、何かの拍子に間違いが起きてしまったのだろう。
雨降るアトリエまでを通う道。美鈴と偶然会い。傘を差してナオさんのアトリエに向かう。扉を開けると2組の靴。ナオさんの淡い色合いのパンプスと徹さんのゴツイ派手目なスニーカー。キッチンへの扉を開くと風呂場から激しいシャワーの水音が聞こえ、衣服が無造作に椅子に掛けられていた。部屋にも寝室にも人影は無い。
今まで度々、こう言う事に遭遇する事は少なからずあった。でも、今回は胸の辺りが凄く重く成り痛くも感じる。風呂場からはシャワーの水音に紛れ、激しい息遣いと、時々、手を叩く様な音も聞こえて来る。僕が、僕自身が裏切られた訳では無いけど、何だかとても悲しくて苦しくて辛かった。

 それなのに美鈴は、何事も無いかの様に、椅子に掛けられた濡れている衣服をハンガーに掛けて干し、指輪を外しテーブルの真ん中に置いて、キッチンのシンクに放置されていた洗い物を片付け始める。僕は、この時の美鈴の表情を僕は見る事が出来なかった。何時もと変わらない美鈴の行動が僕はどうしようも無く痛々しく思え、見てはイケナイモノの様に感じたのだった。
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