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しおりを挟む「今日はブーツなんだね」
「う、うん。今日は仕事だったし、長靴は車には入れてなくて」
「さて、それじゃあ」
ヒロさんはにっと笑うと、私の手を取った。
「こっち来て」
「え?あの?」
私は手を引かれながら、彼の後を着いていく。その大きな手の感触に、また胸がどきどき言い出した。
並木道の真ん中で立ち止まると、彼は言った。
「ここに立ってくれない?」
「ええと?」
困惑している私に、彼は頬のあたりを指先でかくような仕草をしながら言った。
「急に言って申し訳ないんだけど、モデルになってもらえないかな?顔出しがだめなら、顔は写さないように撮るから」
「え……どうして私?」
すると彼は照れくさそうな顔をした。
「本当はこの景色を撮るだけの予定だったんだけど……。今日のリナさんがイメージ通りだったから」
「え?」
「それにね。白状すると、湖で会った時から思ってたんだ。モデルをお願いできないかなって」
どきどきが止まらなくなっている。その理由は、憧れのヒロさんの写真のモデルになれるから、なのか……?
「だめ、かな」
「えぇと、私でいいのかな……」
「うん。リナさんがいい」
ドクンと鼓動が跳ね上がる。
そういう意味じゃない、モデルとしてという意味だ――。
私は呪文のように心の中で唱える。この時間を早くやり過ごさないと、勘違いを起こしてしまいそうだ。私は急いで頷いた。
「分かった。顔を写さないならいいよ」
「ありがとう!」
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