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壊れた音
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しおりを挟む カビルや他の王国兵たちも合流して中央に集まっていた。
ルークたちは今までの事を聞かれ、包み隠さずに全ての事を伝えていた。
また、唯一捕らえた黒いローブを来た奴は王国兵が魔道具で拘束していた。
「経緯は理解した。再度整理して考えると、拘束されている第一王子の方が偽者と言った者たちは逃げたが、拘束されていない第一王子は残っていると」
「そうです。俺も何故フェルトたちが逃げ出したかは分からなくて」
拘束されていないオービンがエスそう答えるが、拘束されているオービンは未だ黙っていた。
既に声は出せる様になってはいるが、ただ見守っているだけであった。
「その話を信じるならば、拘束されている方が偽者って事だな」
「カビル、結論を急ぐな。私たちは先程合流したばかりで、偽者がいると分かった事でこの場にいる第二王子たちも偽者かもしれないんだ」
「っ!?」
エスの発言にルークとトウマが反応しエスの方を向く。
すぐさま自分たちは偽者ではないとトウマが先に反論するも、エスは「本物である証明が出来るのですか?」と返すとトウマは黙ってしまう。
「すいません。少し言い過ぎましたが、要は私たちでさえも見極められないのですよ。ひとまず皆さんを確保させていただき、サスト隊長に判断を求めます」
「そうだな。俺たちだけで判断する事ではないな」
「珍しく意見が合いますね、カビル」
「うるせぇ」
「あぁ~あのサスト隊長の部隊の方ですか。そしてその王国軍の服装の胸についているマークから、貴方たち2人は中隊長ですね」
「っ!」
拘束されていないオービンの発言に、カビルとエスは驚いた表情で見つめた。
そんなに驚かれると思っておらず拘束されていないオービンは、恐る恐る「変な事を言いましたか?」と問い返す。
するとカビルとエスは一瞬目を合わせた後、エスが首を横に振った。
「いえ。まさか言い当てられるとは思わなかったもので、驚いただけです。それで私の名前を彼の名前が分かりますか?」
「?」
拘束されていないオービンは軽く首を傾げながら、エスとカビルの名前を口に出した。
するとカビルは「なるほど」と呟いた。
続いてエスも口を開いた。
「どちらが偽者の第一王子か分かりましたよ、皆さん」
「えっ!? どう言う事ですか?」
トウマが動揺しつつエスに問いかけた直後、カビルが拘束されていないオービンの両腕を掴み地面へと倒した。
「な、何をするんですか!?」
「何をするもないですよ。貴方が偽者ですよね」
エスが倒れたオービンへと近付き言葉を掛けると、オービンは反論する。
だがエスとカビルは聞く耳を持たずに地面へと倒したままであった。
「理由はなんだ! 先程君たちは見極められないと言って、サスト隊長に判断を求めると言っていたじゃないか? それなのにどうして?」
「それですよ」
「え?」
理解出来ていない倒されたオービンに対して、エスが説明し始めた。
偽者と見極めた理由は、サストやエスやカビルの事を知っていたからであった。
王国軍に所属しかつ、役職持ちとなる者はある程度名が知れ渡っている。
それは第一王子や第二王子にも例外ではない。
その為王国では、今回の様な事態が発生した場合を考慮し国王の子供には王国軍に所属する者たちに関する記憶を限定的に封印しているのであった。
封印は自身では解けず王国軍の誰かが直接、部隊名と役職そして名前を告げる事でその封印が一時的に解除されると言うものであった。
それにも関わらず、オービンはまだエスやカビルからその条件を満たす言葉を聞いてもいない状態で、サストの事を知った様な口で話していた為であった。
「っ……」
「仮に分かるとしたら、それは何者かに操られた時か記憶を見られた時だけだ」
「なので、今の貴方はそのどちらであると判断出来るので、偽者だと判断したのですよ」
「そ、そうなのかルーク?」
ルークはトウマの言葉に軽く首を傾げていた。
ルークやオービン自身は王国軍の存在自体は知っていたが誰が居るかまでは知らない状態の為、言われても分からなかったのである。
直後捕らえられたオービンがスイッチが切れたように動かなくなると、体が突然泥の様に溶け始める。
まさかの出来事にカビルが驚いていると、その後方で捕らえた黒いローブを来た奴も気付かれない様に魔法を音で唱えると、拘束していた魔道具が破壊される。
そのまま両手を自分の顔に向け、自害をしようとしていると分かったエスが行動に出た。
エスは低い姿勢で黒いローブを来た奴に近付き、相手の顔の目の前で突然両手を叩き猫だましを仕掛ける。
「っ! ……」
すると黒いローブを来た奴は動きを止め、その場で固まってしまう。
そこを他の王国兵が再度魔道具で拘束をし、更に両腕両足と完全に動けない様に拘束したのだった。
「カビル、そっちは?」
「……ダメだ。完全に泥になっちまった。こんな事が出来るとはな」
「確かに予想外だな。でも、それをあれこれ言っても仕方ないな」
「あぁ、まずはサスト隊長との合流だな」
その後ルークたちは、カビルとエスが率いる王国兵たちと行動を共にする事になるのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「……ぅっん」
私が次に顔にかけられた袋を取られて見た景色は、まだ洞窟の中であった。
腕の拘束も解かれていないまま、目の前には黒いローブを来た奴が2名おり、後ろにも1名立っていた。
すると遠くからローブを被っていない人物が現れた。
その人物は、男性で短い髪で紺色の髪をしており右目の目元にほくろがあるのが特徴的な人物であった。
「やぁ? 初めまして」
「?」
「警戒するのは分かるけど、まずは会話からと思ってね」
誰? と言うか、話し掛けて来たのはどうして? それにオービン先輩がいない。
分けられた? またさっきとは別の場所だし、ひとまずはこの人から聞けることを聞いてみる作戦にする?
私は目の前の男性も黒いローブを来た奴らの仲間だと決めつけ、話していいものかと思っていると相手はそんな事関係なく、何故か物凄く気さくに話し掛け続けて来た。
「名前は何て言うのか? あっ、こういう時は俺から言うのが礼儀だよね。俺はバベッチ・ロウ。こう見えても今の国王と同い年なんだよ」
「っ!?」
その言葉に私は衝撃を受けた。
目の前にいるのは、どう見ても20代でアバンと同い年位だと思っていたがまさかの国王と同じ歳と言う事に驚いてしまった。
国王とお母様は同級生なので、目の前の相手も自然と40代と言う事になる。
が、信じられない程若い姿であった。
「まぁ、そう言う反応だよね。驚いたよね? あっ、嘘じゃないからね」
「……」
私は少し口をとんがらせながら、バベッチの方を見つめた。
簡単に警戒を解くべきではないと私は改めて思った為、口をとんがらせて話さないようにとしていたのだ。
「そう簡単には話す訳ないよね。仕方ないか。それじゃ、これからの話をしようか」
そう言ってバベッチは私の方に一歩近付いて来て笑顔で話し始めた。
「これから君には、うちのボスに会って貰います。そして軽く話した後に、君はボスの次の器になります」
「……へぇ?」
「うんうん。当然の反応だよね~器って言うのは、簡単に言うと依代? いや、ボスの次の体になると言った方が分かりやすいか」
「どういう……」
バベッチの言葉を聞いても私は直ぐに理解出来ずに、少し放心状態であったが徐々に理解し始め事の深刻さに血の気が引き始めた。
「要はね、君と言う存在がこれから消えるって事さ」
ルークたちは今までの事を聞かれ、包み隠さずに全ての事を伝えていた。
また、唯一捕らえた黒いローブを来た奴は王国兵が魔道具で拘束していた。
「経緯は理解した。再度整理して考えると、拘束されている第一王子の方が偽者と言った者たちは逃げたが、拘束されていない第一王子は残っていると」
「そうです。俺も何故フェルトたちが逃げ出したかは分からなくて」
拘束されていないオービンがエスそう答えるが、拘束されているオービンは未だ黙っていた。
既に声は出せる様になってはいるが、ただ見守っているだけであった。
「その話を信じるならば、拘束されている方が偽者って事だな」
「カビル、結論を急ぐな。私たちは先程合流したばかりで、偽者がいると分かった事でこの場にいる第二王子たちも偽者かもしれないんだ」
「っ!?」
エスの発言にルークとトウマが反応しエスの方を向く。
すぐさま自分たちは偽者ではないとトウマが先に反論するも、エスは「本物である証明が出来るのですか?」と返すとトウマは黙ってしまう。
「すいません。少し言い過ぎましたが、要は私たちでさえも見極められないのですよ。ひとまず皆さんを確保させていただき、サスト隊長に判断を求めます」
「そうだな。俺たちだけで判断する事ではないな」
「珍しく意見が合いますね、カビル」
「うるせぇ」
「あぁ~あのサスト隊長の部隊の方ですか。そしてその王国軍の服装の胸についているマークから、貴方たち2人は中隊長ですね」
「っ!」
拘束されていないオービンの発言に、カビルとエスは驚いた表情で見つめた。
そんなに驚かれると思っておらず拘束されていないオービンは、恐る恐る「変な事を言いましたか?」と問い返す。
するとカビルとエスは一瞬目を合わせた後、エスが首を横に振った。
「いえ。まさか言い当てられるとは思わなかったもので、驚いただけです。それで私の名前を彼の名前が分かりますか?」
「?」
拘束されていないオービンは軽く首を傾げながら、エスとカビルの名前を口に出した。
するとカビルは「なるほど」と呟いた。
続いてエスも口を開いた。
「どちらが偽者の第一王子か分かりましたよ、皆さん」
「えっ!? どう言う事ですか?」
トウマが動揺しつつエスに問いかけた直後、カビルが拘束されていないオービンの両腕を掴み地面へと倒した。
「な、何をするんですか!?」
「何をするもないですよ。貴方が偽者ですよね」
エスが倒れたオービンへと近付き言葉を掛けると、オービンは反論する。
だがエスとカビルは聞く耳を持たずに地面へと倒したままであった。
「理由はなんだ! 先程君たちは見極められないと言って、サスト隊長に判断を求めると言っていたじゃないか? それなのにどうして?」
「それですよ」
「え?」
理解出来ていない倒されたオービンに対して、エスが説明し始めた。
偽者と見極めた理由は、サストやエスやカビルの事を知っていたからであった。
王国軍に所属しかつ、役職持ちとなる者はある程度名が知れ渡っている。
それは第一王子や第二王子にも例外ではない。
その為王国では、今回の様な事態が発生した場合を考慮し国王の子供には王国軍に所属する者たちに関する記憶を限定的に封印しているのであった。
封印は自身では解けず王国軍の誰かが直接、部隊名と役職そして名前を告げる事でその封印が一時的に解除されると言うものであった。
それにも関わらず、オービンはまだエスやカビルからその条件を満たす言葉を聞いてもいない状態で、サストの事を知った様な口で話していた為であった。
「っ……」
「仮に分かるとしたら、それは何者かに操られた時か記憶を見られた時だけだ」
「なので、今の貴方はそのどちらであると判断出来るので、偽者だと判断したのですよ」
「そ、そうなのかルーク?」
ルークはトウマの言葉に軽く首を傾げていた。
ルークやオービン自身は王国軍の存在自体は知っていたが誰が居るかまでは知らない状態の為、言われても分からなかったのである。
直後捕らえられたオービンがスイッチが切れたように動かなくなると、体が突然泥の様に溶け始める。
まさかの出来事にカビルが驚いていると、その後方で捕らえた黒いローブを来た奴も気付かれない様に魔法を音で唱えると、拘束していた魔道具が破壊される。
そのまま両手を自分の顔に向け、自害をしようとしていると分かったエスが行動に出た。
エスは低い姿勢で黒いローブを来た奴に近付き、相手の顔の目の前で突然両手を叩き猫だましを仕掛ける。
「っ! ……」
すると黒いローブを来た奴は動きを止め、その場で固まってしまう。
そこを他の王国兵が再度魔道具で拘束をし、更に両腕両足と完全に動けない様に拘束したのだった。
「カビル、そっちは?」
「……ダメだ。完全に泥になっちまった。こんな事が出来るとはな」
「確かに予想外だな。でも、それをあれこれ言っても仕方ないな」
「あぁ、まずはサスト隊長との合流だな」
その後ルークたちは、カビルとエスが率いる王国兵たちと行動を共にする事になるのだった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「……ぅっん」
私が次に顔にかけられた袋を取られて見た景色は、まだ洞窟の中であった。
腕の拘束も解かれていないまま、目の前には黒いローブを来た奴が2名おり、後ろにも1名立っていた。
すると遠くからローブを被っていない人物が現れた。
その人物は、男性で短い髪で紺色の髪をしており右目の目元にほくろがあるのが特徴的な人物であった。
「やぁ? 初めまして」
「?」
「警戒するのは分かるけど、まずは会話からと思ってね」
誰? と言うか、話し掛けて来たのはどうして? それにオービン先輩がいない。
分けられた? またさっきとは別の場所だし、ひとまずはこの人から聞けることを聞いてみる作戦にする?
私は目の前の男性も黒いローブを来た奴らの仲間だと決めつけ、話していいものかと思っていると相手はそんな事関係なく、何故か物凄く気さくに話し掛け続けて来た。
「名前は何て言うのか? あっ、こういう時は俺から言うのが礼儀だよね。俺はバベッチ・ロウ。こう見えても今の国王と同い年なんだよ」
「っ!?」
その言葉に私は衝撃を受けた。
目の前にいるのは、どう見ても20代でアバンと同い年位だと思っていたがまさかの国王と同じ歳と言う事に驚いてしまった。
国王とお母様は同級生なので、目の前の相手も自然と40代と言う事になる。
が、信じられない程若い姿であった。
「まぁ、そう言う反応だよね。驚いたよね? あっ、嘘じゃないからね」
「……」
私は少し口をとんがらせながら、バベッチの方を見つめた。
簡単に警戒を解くべきではないと私は改めて思った為、口をとんがらせて話さないようにとしていたのだ。
「そう簡単には話す訳ないよね。仕方ないか。それじゃ、これからの話をしようか」
そう言ってバベッチは私の方に一歩近付いて来て笑顔で話し始めた。
「これから君には、うちのボスに会って貰います。そして軽く話した後に、君はボスの次の器になります」
「……へぇ?」
「うんうん。当然の反応だよね~器って言うのは、簡単に言うと依代? いや、ボスの次の体になると言った方が分かりやすいか」
「どういう……」
バベッチの言葉を聞いても私は直ぐに理解出来ずに、少し放心状態であったが徐々に理解し始め事の深刻さに血の気が引き始めた。
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