お酒の力を借りまして~隠れイケメン陰キャの俺がお酒の力を借り、大学一の美人な酒豪彼女が出来ました~

小鳥遊

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2章瓶 お酒の力を……

19杯目 愛理ちゃんは忙しい

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 突然ですが私、鈴本 愛理は忙しない大学生活を送ってます。と言うのも、大学でお悩み相談サークルなるサークルを立ち上げたからです。

 お悩み相談サークルとはなんだ? と思ったそこのあなた。いいですか? 普通に大学生活を送っていれば、いろいろな悩みが出てくるでしょう。恋愛? 人間関係? 勉学? どれもあるでしょう。私達お悩み相談サークルは、そんな人達の悩み相談を率先して受けているのです!

 とまあ、前置きはこのくらいにして、いつも通りサークル活動中にある一つのメッセージが飛んできた。

〔(大好きなセンパイ♡)愛理? 今ちょっといいか? 今から言うところに来て、仲裁してほしい〕

 ほほぉ。センパイからの悩み相談(?)ですかぁ。仕方ありませんねぇ。行きますかぁ。

 私は心の中でそう言いながら、返信をする。

〔(愛理)了解です!〕

 送信ボタンを押したのを確認してからセンパイの元へと走った。
 
 センパイのいる講義室についた私は、勢いよく扉を開く。それにより、その講義室にいた全員がこちらを向くが、私は気にせず元気よく言う。

「センパイ~! お待たせしました~! あなたのためにどこまでも。センパイ専属後輩・愛理ちゃん登場で~す☆」

 その瞬間、講義室内は静まり返った。あちゃー。滑ったねー。ごめんね、センパイ。と心の声で唱えながらセンパイの方を見る。するとセンパイは、頭を抱え呆れた顔をしていた。なんか、うん。やらかした。ここに来て急に冷静さを取り戻し、自分のやらかした事について反省をして、陽華さんに近づく。

 陽華さんの前についた私は、耳元で囁く。

「陽華さん。センパイの前でそんなに怒って大丈夫ですか?」

 それを聞いた陽華さんは、我に帰ったのか顔が真っ赤になっていく。そんな陽華さんを見て、顔がにやけてるセンパイに向かい一言。

「センパイ~! 今日の依頼料は、私とのデートでいいですからね~!」
「依頼料ねー。わかっ…………今なんて言った? デートとか言ったか?」
「はい~! これは決定事項です! では、私はこの辺で~!」
「…………おい! ちょ、ま……」

 センパイが何か言いかけてたが、まぁいいだろう。デートはもうすでに決まってる決定事項なんだし。私はそんなことを自分に言い聞かせて、サークルの部室へと戻っていく。
 
 部室に到着し、扉を開けて戻ってきた報告をする。

「ただいま戻りました~! …………お帰りなさい!」

 はぁ。もうお分かりだろうか。私の所属している、お悩み相談サークルのメンバーは、私一人なのだ。そのせいで、最近は本当に忙しすぎる。あっち行って、こっち行って依頼を次から次へとこなさなければならない。

 もう、センパイ引き込むかぁ。どうせあの人、バイトもしてないだろうし……
 
 私はそんなことを、部室で一人呟いた。

◇◇◇

「センパイ~! 今日の依頼料は、私とのデートでいいですからね~!」

 愛理のこの一言で、講義室が再び荒れたのは言うまでもなく。今度は陽華さんまで、僕と対立してしまった。よし。愛理に次会ったら、バーゲンダッツ奢らせよう。我ながら名案だろう。よし。今日はもう帰るか。

 と、荷物をまとめていると陽華さんが近づいてくる。え? ついに……ついに……愛の告白を? …………な訳なく。
 彼女は僕に向けて笑顔殺気混じりで耳元に囁く。

「陰雄くん。いや、根暗さん? 愛理さんとのデート楽しんできてくださいねくれぐれも背後には気をつけてね!」
「…………ひぇっ!?」

 うん。なんだろう。殺気を感じるし、楽しんできてに聞こえないのは気の所為だろうか。さっきから怖すぎて、ちびっちゃいそうなんだよね。何がとは言わないけどさ……20歳になった男が、ちびるのは流石に……

 などと思うが、反論を受け付ける雰囲気ではなく諦めて頷く。いやまじで僕何されるの!?

 その後少しして、講義が始まり皆ギスギスした空気のまま講義を受けた。僕めっちゃヘイト溜まってね? と思うが、まぁいいか。とりあえず今日は酒でも飲みに行って忘れよう。

 そして僕は講義を聞くよりも、今日お酒を飲みにいく店を探すのであった。

◇◇◇

 大学も終わり、講義の最中調べて隠れた名店。みたいな雰囲気のバーを見つけたのでそこに向かっていた。大学から、徒歩圏内にあるそのバーは一見なんの変哲もないビルの地下にあった。

「……ここか。よし。入るか」

 僕は覚悟を決め、扉を開ける。

――カランカラン

 結構古くからあるお店なのか、扉が少し重かったが、開けると綺麗な鈴の音が聞こえる。目に入る店の雰囲気は、アニメなどで、凄くダンディなマスターのいるかっこいいバーの様だった。僕がきたのに気づいたのか、マスターらしきガタイの良いおっさん(?)がこちらに歩いてくる。

 そしてそのおっさん(?)は僕の前に立つや否や口を開いた。

「あらぁ~! 初めてみる子ねぇ~! さ、さ! こちらへおいで~! 歓迎するわぁ~!」

 うん、前言撤回。おっさんじゃ失礼だ。オネェさんだ。とりあえず、僕はそのオネェさんに着いて行き、カウンター席に腰をかける。そしてオネェさんは言う。

「きみぃ~! 名前はなんて言うのかしら?」
「……ね、根暗 陰雄です」
「なら陰雄ちゃんね! それでぇ、陰雄ちゃん。何飲みたいかしら~?」

 僕はそう言われ、メニュー表を見る。やばい……知ってる名前のお酒がない……そう思った僕は、適当にカッコ良さそうなのを選んだ。

「じゃ、じゃあ、マンハッタンってやつで……」
「あら、こう言うとこは初めて? 本当にそれでいいの?」

 初めてだが、何か問題でもあるんだろうか? 初見の方は飲んだらダメみたいな? わからない僕はとりあえず問う。

「……えっと、だめ? ですか?」
「いいや、そんなことはないわよ! マンハッタンね。少々お待ちを」

 バーでカクテル作ってるの生で見てみたかったんだよなぁ。僕は、生のバーテンダーのカクテル作りをしばらく見ていた。やがて出された、そのカクテルは、ミステリアスな赤い色が魅力的なカクテルだった。

 初めてのカクテル。僕は期待を胸に、飲み始めた。
 
 …………そして僕は後悔することになる。
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