お酒の力を借りまして~隠れイケメン陰キャの俺がお酒の力を借り、大学一の美人な酒豪彼女が出来ました~

小鳥遊

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1章瓶 彼女との出会い

11杯目 陽華と愛理の邂逅

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 私が根暗くんに助けられた日から、1週間ほど経った。音音ねおんとは、もう関わりを切ることに。まあ、あんな事があった訳だし友達のままで……なんていられる訳もなく。 

 あそこに助けに来てくれた、根暗くんは……と言うと、音音達の流した悪い噂で注目されたが、私が音音達のやった事を暴露したことにより、噂は消えた。

 あの時、うっすらと記憶にある「迎えに来たよ。陽華」と言ってくれて以降、彼は何処かよそよそしくなってしまっている。いつも通り、根明さん呼びに戻ってしまったし……ずっと陽華って呼んでくれていいのに……

 そんな事を思いながら、彼にメッセージを送る。

〔(陽華)根暗くん! 今日遊びに行ってもいい?( ˘• ₃ • )ダメカナ....?〕
〔(陰雄)今日は幼馴染が来るので……〕
〔(陽華)え! 私も会いたい(*゚O゚*)〕
〔(陰雄)えぇ。あいつ失礼だから、根明さんに迷惑かけるかも……〕
〔(陽華)大丈夫(*•̀ᴗ•́*)و ̑̑ こう見えて、年下には好かれるんだよ、お姉さんは!〕
〔(陰雄)わかった〕

 やった! また根暗くんの家に遊びに行ける! そう思うと自然と、頬が緩む。必死にそれを抑えて、残りの講義に臨んだ。

 大学が終わり、家に帰ってから準備をして、彼の家に向かった。家は割と近いみたいで、歩いて行ける距離である。

────ピンポン

「は~い!」

 彼の家に着き、チャイムを鳴らすと一人の女性が出てきた。その女性は、黒髪の、お尻ほどまで伸びた髪、垂れ目の目の端に黒子ほくろがあるのが特徴的な、可憐な少女が出迎えてくれた。

 その少女は、私を見るなり疑う様に見てきたが、すぐに理解したのか明るい声でこう言う。

「あ、陽華さんですか? 初めまして! いつもセンパイがお世話になってます!」
「そうです! 根明 陽華です! 今日はお招き頂いたので、お言葉に甘えて来させてもらいました!」
「そうだったんですね! 私は、鈴本 愛理です。よろしくお願いします!」

 彼女はそう言うと、私を彼のいる場所まで案内してくれた。彼の元まで行く途中、彼女を見て少しモヤッとした気持ちはあったものの、気づかれることのない様に押し殺す。そして、彼の元についた私は手土産として持ってきた、菓子折りを渡して3人で日が暮れるまで話した。

◇◇◇

~愛理side~

〔(陰キャセンパイ♡)ごめん愛理。今日、根明さんがお前に会いたいって言ってるんだがいいか?〕

 今日私は、センパイの家に行くことになっていたのだが、センパイからのメッセージを見て少し気持ちが沈んだ。と言うのも、せっかく二人きりで遊べると思っていたからなのだが。別に、誰か来るのが嫌な訳じゃないし、否定する権利もない。

 ただ、以降センパイは人との、特に女性との関わりを避けていた。そんなセンパイが、友達を連れてくるって言うのはなんだか嬉しく思い、私は少ししてから返信をした。

〔(愛理)いいですよ! この前のストーキング失敗してどんな人か見れなかったですし!〕
〔(陰キャセンパイ♡)ストーキング? 何言ってんのお前?〕
〔(愛理)なんでもないですよ♡〕

 その後、何件か怒りのメッセージが来たが、気づかなかったことにしようと思う。来ていいとは言ったものの、女性って事を考えると少し思うところはあった。でも、センパイへの気持ちを認めてない私に、そんな権利があるわけもなく。

 モヤモヤした気持ちを抱えつつセンパイの家に着いたので、中に入れてもらう。センパイの家の中に入ると、雑に散らかった服が目に入る。

「ちょっと! センパイ! 友達、ましてや女性が来るのになんですかこの部屋は?」
「あぁ、ちょっとやらなきゃなと思ったけど、ラノベに呼ばれて……」
「なんですか、その言い訳は? てか、私も女なんですけど?」
「そうだねー。オンナノコダネー」

そう言いながらセンパイは、私の胸を見る。

「なんですか? 胸がないと女性じゃないって言いたいんですか? 全世界の女性に潰されてください」
「いやいやー。そんなことは言ってないだろう! へっ」
「鼻で笑いましたね? もう許しません! センパイの黒歴史暴露しましょう」
「……ちょ、それはやめようか愛理さん? よく見たら、世界で一番可憐な女性ではないか!」
「わざとらし。いいから片しますよ」
「うぃ」

 あぁ。なんでだろう。どう考えても適当なことを言ってるだけなのに、「世界で一番可憐な女性」って言葉を聞いて、嬉しくなってしまうのは……

 そんな思いを抱きながら、掃除を終わらせる。
 掃除が終わって、少しした頃だろうか。家のチャイムが鳴ったのは。

「は~い」

 と言って玄関を開けると、一人の女性が立っていた。栗色の肩までかかる髪、頭頂部には一本のアホ毛が特徴的な綺麗で、胸の大きな女性。センパイの過去を知る私は、一瞬疑ってしまったが、センパイから聞いた話を思い出しニコッと笑って自己紹介などをして、部屋へと案内した。

 案内している最中、直感的にこの人には勝てないと、感じ取ってしまう。そんな気持ちを悟らせないように隠し、3人で日が暮れるまで他愛もない話を語り明かした。
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