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新たな目的

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第2章がはじまりまーす!
よろしくお願いします。

―――――――――――――――――――――――――――









ちゃりん、ちゃりん・・・・・・

ちゃりん、ちゃりん・・・・・・

ちゃりん、ちゃりん・・・・・・

金属がぶつかる音が響く。

蠱惑的に輝く黄金のコインを指でつまみ、嘗め回すようにみつめる。

ふっふっふ、くはーーーー!

ついに、ついに俺は手に入れたのだ。
革袋にパンパンに詰まった金貨。それをテーブルに積み上げて一枚ずつ丁寧に磨く。

・・・・・・美しい。
金があるって、なんて幸せなことなんだろう。
キランと輝く金貨はどれだけ見ていても飽きることがない。
ふっ、これが給料日を迎えた社会人の気持ちってやつかい?

嬉しすぎるー!

まるで世界が俺を祝福している気分だ。永遠にこの瞬間を味わっていたい。いっそ毎日が給料日ならいいのに。

ああ、いかんいかん。
金の魅力に惑わされて危うく昇天しかけた。そろそろ現実に戻らないと。

さて、これらはジョーカーから奪った金貨な訳だが、どう扱えば良いか俺は悩んでいた。

最初はそのまま母上に全部献上しようと考えていた。これだけ金があれば、しばらく我が家の食卓は『やせ細った川魚と固いパンだけ』というイカれた修行僧仕立ての献立から卒業できるはず。

でも、俺は思ったね。
本当にそれでいいのかと。

だって、初めての親孝行だぞ?
無償の愛で長年(1年)、育ててもらったお礼が、現金なんてあまりにも寂しいじゃないか。もっとこう・・・・・・愛の溢れる感じに演出したいんだ。

母上と父上が泣いて喜ぶような、そんな感じに。

「クー、またお金とにらめっこしてるの? 最近ずっとそればっかり」

声をかけられて、振り向くと幼馴染のリリアが無断で俺の部屋に侵入していた。

「おいおい、こまるよ。ドアくらいノックしてもらないと。としごろの男の子にだってプライベートはひつようなのに」

「だって、扉開いてたもん。いつも扉を閉め忘れるクーがいけないんじゃん。そんなに気になるなら、毎回きちんと締めなよ・・・・・」

「うう・・・・・・」

くっ、くそ!
相変わらず、ああいえばこういう。なんて手ごわい幼女なんだ!
リリアは、異性の部屋にアポなしで突撃する危険性を理解していない。俺がまだピチピチの1歳児だからいいものの、これが健康な青年男児だったら最悪大事件に発展していたよ? いつもボーっとした表情しているこの幼女は、そのへん分かってるのだろうか?

「ま、まあ、つぎから気をつけてくれればいいよ」

「あい」

まるで反省してないように、リリアが適当な返事をかえしてくる。
俺のことを完全に舐めきっている。

「とりあえず、この件はおいといて。じつは、リリアにそうだんしたいことがあるんだ」

「なぁに?」

俺はずっと悩んでいたお金の悩みを相談した。
しばらくリリアは「うーん」と唸った後に言った。

「直接渡すのが嫌ならサプライズとかどう? エリーナさん達には秘密で美味しい料理を用意するの! 余った分のお金はそのままあげればいいんじゃない?」

「お、お前・・・・・・」

天才かよ。
俺が今まで悩んだ時間はなんだったんだ?
ただお金を渡すという無粋を回避しつつ、残ったお金は現金で支給するという、貧困な我が家に配慮した実用的気遣い。なこの幼女、末恐ろしすぎ。

「さいよう! リリアはなんてあたまがいいんだ」

「えへへへ」

「もくひょうはきまった! ははうえ達にはヒミツでおいしいごはんを用意してパーティーだ! そうと決まれば、ぜんはいそげ。さっそくじゅんびをしよう」

俺はお金をしまい外出の用意をする。
美味しいものをいっぱい買って、家族を笑顔にするんだ。
ルンルン気分で部屋をでていこうとすると、リリアが後ろから俺の服を引っ張る。

「なに?」

「クー、忘れてる。私の修行の約束は?」

「あ」

そういえば、そうだった。
無限一刀流の弟子にするって約束をしたっけ。
リリアが不満そうに、ジトっと俺をにらんでくる。

「もしかして・・・・・・わすれてた?」

「ばっ、ばっきゃろう! そんなわけないだろ! おれがやくそくを忘れるなんて、そんな、そんなこと・・・・・・」

「うそ。バレバレだよ。目を見ればわかるから。最近お金ばかり眺めて全然相手してくれなかったから、もう待てない。はやく修業をつけてほしい」

頬を膨らませて、腕を組んだリリアが有無を言わせない態度で俺を見下ろしてくる。完全にお怒り状態だ。ここで下手に抵抗したら、どうなるかことやら。

ぐぬぬぬ、どうしよう。
パーティーを優先したいが、リリアに怒られるも嫌だ。
なにかいい方法はないものか・・・・・・そうだ!

「ふふふ、リリア。きみは、これがただのかいものだとおもっているのかね?」

「ちがうの?」

「うん、これはむげん一刀りゅうの修行のいっかんなのだよ。やってみればわかるから、だまって、ついてきて」

「ほんとう? あやしい」

「おれがいちどでも嘘ついたことある? いいやないね。だから信じてくれ」

「・・・・・・分かった」

こうして、俺は無邪気な幼馴染を言いくるめて、街へとでかけるのだった。
目指すは最高級食材の仕入れだ!
はじめてのお使いをとっくに完了させている俺には、きっと容易い仕事のはずさ。
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