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聖なる夜に輝くヒロインの力!
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聖なる光が闇を打ち抜く。
展開されていた障壁は脆くも砕け散り、そこに残っていたのは右半身が吹き飛んだ魔人の姿だった。
「バッ馬鹿な! なぜ、聖なる力を宿す者がこんな場所にッ!」
「知らないわよ、なんか使えるようになった!」
不機嫌そうなミラが魔人を睨みつけ、なんでもないことのように言う。
そんなミラの右手の甲には、聖女の証たる聖痕が刻み込まれていた。
君が覚醒するのはハイネより後の予定だったんだが、どうなってるのよ? シナリオブレイカーすぎる。化け物か。
「まさか聖女がいるとは……ちっ、聖女風情がこの俺によくも! いや、それよりもその剣だ! なんだその非常識極まりない力は!?」
「ふふん、これこそは、ヴァリンツ家の隠された宝剣! ルドルフ様と一緒に戦場を駆け抜けて生きた最強の相棒! ですよね?」
「……ああ、そ、そうだな」
なに適当こいてんだ、この少女。
長年の相棒どころか、つい最近俺がダンジョンで拾ってきた剣だが?
ついでに適正がないので能力も引き出させない、完全に俺の手に余る武器だ。
聖女に覚醒してテンションが上がりすぎている。
魔人が顔面を歪めて怨嗟の視線を俺にぶつける。
「よもやこのような剣を隠し持っていたとはッ!」
やばい、なんか知らないが凄く恨みを買ってしまった気がする。
「……非常に腹ただしいが、チッ、今回は引こう。次に会うまで覚悟しておけ」
そう言って、魔人は俺を睨みつけながら、虚空へと姿を消した。
おい、待ってくれ。
どうしてこの流れで俺が恨まれてんだ!
お前がやってきても俺に抵抗手段なんてないんだぞ。お前の相手は勇者と聖女の役目だろうーが!
「あたた」
感情的になったら、腹が急に痛くなってきた。
色々ありすぎて、腹に矢が刺さってたのを忘れていた。死にそう。
「ルドルフ様! 大丈夫ですか、すぐ治癒します。癒しの光」
そう言って、ミラは丁寧に刺さった矢を引き抜き、聖なる光を俺の傷口にあてた。
◇
苦しそうに唸るルドルフの顔を見ながら、ミラは治療を続けた。
不謹慎かもしれないが、苦しむルドルフの姿さえも愛おしく感じた。
この傷は、愛の傷だ。民を愛し、貴族としの誇りを愛し、全てを守るために受けた名誉の負傷だ。
致命傷になっても不思議ではなかった傷だが、いまのミラなら問題なく癒すことができる。能力に覚醒したことで本能でその力の使い方を理解する。
ルドルフの役に立てて、ミラは言葉では言い表せない喜びを感じていた。
どうして、聖女の力に自分が目覚めたのか?
その答えは一瞬で理解できた。
それはもちろん愛だ、ルドルフを愛する気持ちだ。
「ぐふふふ、やっぱりこれは運命なのね」
いけない、また変な笑い声をあげてしまったとミラはすぐに気を引き締めなおす。
ルドルフが怪訝そうな表情でミラを見つめてくる。
「多分、聞き間違いだと思うんだが……」
「はい、なんですか?」
「魔人と戦ってる最中にさ、あたしの愛するひとを傷つける奴は許さないとか聞こえたんだけど……」
その指摘に、ミラの顔は茹でた蛸のように、みるみると赤くなっていく。
あれは、テンションが高ぶって、つい宣言してしまったのだ。
言葉に嘘はないが、まだ、告白なんて……
(そんな、はやいってばもう)
「あ、あれは……あたしの愛する人達って意味ですよ? 特定の誰かとか……そんなんじゃないし」
「そ、そうか! そうだよな。ははは、ハアー良かった。変な勘違いをするところだった」
どうやら誤魔化せたらしい。
まだ、告白する時ではないのだ。
(あたしはまだ、ルドルフ様の横に並べるような強い人ではない)
ディズモン伯爵と一騎打ちをするルドルフは強かった。
それは戦闘面でもだが、なによりその心の在り方が、凄まじかった。素直にカッコいいとミラは思った。百回位惚れ直した。
さらに、自分や家族の命を引き換えにしてでも、ミラの命を(おまけにハイネも)守れと言った時、心臓が跳ね上がった。
あんなの好きになるなと言う方がおかしい。
まだ告白すらしてないが、ミラは改めて決心した。
(必ずルドルフ様に相応しいお嫁さんになってやるんだからね!)
その為にも、もっと学び、鍛錬を重ねて強くなるのだ。
◇
ミラの魔法もあってか、数日後には俺は元気を取り戻していた。
本音としては、もうしばらく休んでいたいが、後処理をジンに任せっきりにしているので、うかうかしていられない。
まだまだ領主の座を渡すつもりはないからな。
あまりに色んなことがありすぎてうっかり忘れていたが、やり残していたことを思い出した。
「どういうつもりだお前達! 俺は、危ないから家に残れと命令したよな!?」
「「はい」」
執務室で正座して謝罪をするハイネとミラの姿。
こいつら、俺の言いつけを破って無断で戦場にいやがった。
結果的には、ミラがいたおかげで助かったが、それとこれとは別だ。
「で、でもルドルフ様ッ。あたしは貴方様の雄姿をみれて、とっても幸せでした!」
「な、なに!?」
この女全然反省してなくない?
「そういう問題じゃない。危ないからついてくるなと言ってるんだ!」
「で、でもッ、駄目だと言われてもどうせあたしとハイネは付いていってしまうので、もう諦めて最初から許可を下されば、面倒も少なく済むかと!」
はあー、ヤバイ、キレそうだ。
でも、流石に招待客のミラを殴る訳にはいかない。
「まあ父上、今回の件は丸く収まったので良しとしましょう」
ニコニコと、隣で待機していたジンが仲裁してくる。
たしかに、ジンのいう通り事件はある程度解決できた。
ディズモンに誘拐されていた子供達はあの後無事に救出した。大怪我を負っていた子もいたが、ミラが聖女として覚醒したおかげで全員の命を救えた。
領内に蔓延っていた残党や、薬も、エドワードとキアンが指揮をとり撲滅に動いている。
ちなみに、戦闘中に影の薄かったシーロン様だが、人知れずディズモン軍の厄介な敵を殲滅してくれていた。その中にはゲンムという将の首も含まれていた。流石は初代勇者だ。正直、最初からシーロン様が戦闘に立っていればもっと余裕だったハズだが、
『もう遥か昔にワシの時代は終わったのだ……って朽ちたワシがいうと説得力あるじゃろ? ところで可愛いおんなごはまだか? 犬以外で』
と言っていたので、今後も矢面に立ってくれることはない感じだった。
今回の事件は全てが上手く行ったわけではない。助かったとはいえ、守るべき子供達に傷を負わせてしまった。俺が不甲斐ないばかりに辛い想いをさせてしまった。
あれこれ考え事をしていると、ドアの隙間からこちらをジーと覗くリアとセレンの姿があった。
「お前達、なにしてるんだ」
「リアだけ、仲間外れだった」
「いいえ、私もです」
「はあ」
仲間外れってなんだよ。
戦場に娘とメイドをつれていく父親なんて存在しない。ピクニックじゃないんだから。
「次はリアも行くからね」
「はい、私もです」
「殴られる覚悟があるなら、来るがいいさ」
「ふっ、こっちには聖女の護衛がいるから、いくらお父さんでも敵わないよ。あとハイネお兄ちゃんとは結婚する」
「はい、私もで……いや何言ってのリア!?」
セレンがリアの口を慌てて塞ぎ、「お邪魔しました~」と言って立ち去っていった。本当に何がしたいんだアイツら?
しかし、こうして騒がしい日常が戻ってきたのは喜ばしいことだ。
それから、ないやら思いつめた表情のハイネに呼びだされたのは、三日後のことだった。
――――――――――――――――――――――――――
次回最終話!
展開されていた障壁は脆くも砕け散り、そこに残っていたのは右半身が吹き飛んだ魔人の姿だった。
「バッ馬鹿な! なぜ、聖なる力を宿す者がこんな場所にッ!」
「知らないわよ、なんか使えるようになった!」
不機嫌そうなミラが魔人を睨みつけ、なんでもないことのように言う。
そんなミラの右手の甲には、聖女の証たる聖痕が刻み込まれていた。
君が覚醒するのはハイネより後の予定だったんだが、どうなってるのよ? シナリオブレイカーすぎる。化け物か。
「まさか聖女がいるとは……ちっ、聖女風情がこの俺によくも! いや、それよりもその剣だ! なんだその非常識極まりない力は!?」
「ふふん、これこそは、ヴァリンツ家の隠された宝剣! ルドルフ様と一緒に戦場を駆け抜けて生きた最強の相棒! ですよね?」
「……ああ、そ、そうだな」
なに適当こいてんだ、この少女。
長年の相棒どころか、つい最近俺がダンジョンで拾ってきた剣だが?
ついでに適正がないので能力も引き出させない、完全に俺の手に余る武器だ。
聖女に覚醒してテンションが上がりすぎている。
魔人が顔面を歪めて怨嗟の視線を俺にぶつける。
「よもやこのような剣を隠し持っていたとはッ!」
やばい、なんか知らないが凄く恨みを買ってしまった気がする。
「……非常に腹ただしいが、チッ、今回は引こう。次に会うまで覚悟しておけ」
そう言って、魔人は俺を睨みつけながら、虚空へと姿を消した。
おい、待ってくれ。
どうしてこの流れで俺が恨まれてんだ!
お前がやってきても俺に抵抗手段なんてないんだぞ。お前の相手は勇者と聖女の役目だろうーが!
「あたた」
感情的になったら、腹が急に痛くなってきた。
色々ありすぎて、腹に矢が刺さってたのを忘れていた。死にそう。
「ルドルフ様! 大丈夫ですか、すぐ治癒します。癒しの光」
そう言って、ミラは丁寧に刺さった矢を引き抜き、聖なる光を俺の傷口にあてた。
◇
苦しそうに唸るルドルフの顔を見ながら、ミラは治療を続けた。
不謹慎かもしれないが、苦しむルドルフの姿さえも愛おしく感じた。
この傷は、愛の傷だ。民を愛し、貴族としの誇りを愛し、全てを守るために受けた名誉の負傷だ。
致命傷になっても不思議ではなかった傷だが、いまのミラなら問題なく癒すことができる。能力に覚醒したことで本能でその力の使い方を理解する。
ルドルフの役に立てて、ミラは言葉では言い表せない喜びを感じていた。
どうして、聖女の力に自分が目覚めたのか?
その答えは一瞬で理解できた。
それはもちろん愛だ、ルドルフを愛する気持ちだ。
「ぐふふふ、やっぱりこれは運命なのね」
いけない、また変な笑い声をあげてしまったとミラはすぐに気を引き締めなおす。
ルドルフが怪訝そうな表情でミラを見つめてくる。
「多分、聞き間違いだと思うんだが……」
「はい、なんですか?」
「魔人と戦ってる最中にさ、あたしの愛するひとを傷つける奴は許さないとか聞こえたんだけど……」
その指摘に、ミラの顔は茹でた蛸のように、みるみると赤くなっていく。
あれは、テンションが高ぶって、つい宣言してしまったのだ。
言葉に嘘はないが、まだ、告白なんて……
(そんな、はやいってばもう)
「あ、あれは……あたしの愛する人達って意味ですよ? 特定の誰かとか……そんなんじゃないし」
「そ、そうか! そうだよな。ははは、ハアー良かった。変な勘違いをするところだった」
どうやら誤魔化せたらしい。
まだ、告白する時ではないのだ。
(あたしはまだ、ルドルフ様の横に並べるような強い人ではない)
ディズモン伯爵と一騎打ちをするルドルフは強かった。
それは戦闘面でもだが、なによりその心の在り方が、凄まじかった。素直にカッコいいとミラは思った。百回位惚れ直した。
さらに、自分や家族の命を引き換えにしてでも、ミラの命を(おまけにハイネも)守れと言った時、心臓が跳ね上がった。
あんなの好きになるなと言う方がおかしい。
まだ告白すらしてないが、ミラは改めて決心した。
(必ずルドルフ様に相応しいお嫁さんになってやるんだからね!)
その為にも、もっと学び、鍛錬を重ねて強くなるのだ。
◇
ミラの魔法もあってか、数日後には俺は元気を取り戻していた。
本音としては、もうしばらく休んでいたいが、後処理をジンに任せっきりにしているので、うかうかしていられない。
まだまだ領主の座を渡すつもりはないからな。
あまりに色んなことがありすぎてうっかり忘れていたが、やり残していたことを思い出した。
「どういうつもりだお前達! 俺は、危ないから家に残れと命令したよな!?」
「「はい」」
執務室で正座して謝罪をするハイネとミラの姿。
こいつら、俺の言いつけを破って無断で戦場にいやがった。
結果的には、ミラがいたおかげで助かったが、それとこれとは別だ。
「で、でもルドルフ様ッ。あたしは貴方様の雄姿をみれて、とっても幸せでした!」
「な、なに!?」
この女全然反省してなくない?
「そういう問題じゃない。危ないからついてくるなと言ってるんだ!」
「で、でもッ、駄目だと言われてもどうせあたしとハイネは付いていってしまうので、もう諦めて最初から許可を下されば、面倒も少なく済むかと!」
はあー、ヤバイ、キレそうだ。
でも、流石に招待客のミラを殴る訳にはいかない。
「まあ父上、今回の件は丸く収まったので良しとしましょう」
ニコニコと、隣で待機していたジンが仲裁してくる。
たしかに、ジンのいう通り事件はある程度解決できた。
ディズモンに誘拐されていた子供達はあの後無事に救出した。大怪我を負っていた子もいたが、ミラが聖女として覚醒したおかげで全員の命を救えた。
領内に蔓延っていた残党や、薬も、エドワードとキアンが指揮をとり撲滅に動いている。
ちなみに、戦闘中に影の薄かったシーロン様だが、人知れずディズモン軍の厄介な敵を殲滅してくれていた。その中にはゲンムという将の首も含まれていた。流石は初代勇者だ。正直、最初からシーロン様が戦闘に立っていればもっと余裕だったハズだが、
『もう遥か昔にワシの時代は終わったのだ……って朽ちたワシがいうと説得力あるじゃろ? ところで可愛いおんなごはまだか? 犬以外で』
と言っていたので、今後も矢面に立ってくれることはない感じだった。
今回の事件は全てが上手く行ったわけではない。助かったとはいえ、守るべき子供達に傷を負わせてしまった。俺が不甲斐ないばかりに辛い想いをさせてしまった。
あれこれ考え事をしていると、ドアの隙間からこちらをジーと覗くリアとセレンの姿があった。
「お前達、なにしてるんだ」
「リアだけ、仲間外れだった」
「いいえ、私もです」
「はあ」
仲間外れってなんだよ。
戦場に娘とメイドをつれていく父親なんて存在しない。ピクニックじゃないんだから。
「次はリアも行くからね」
「はい、私もです」
「殴られる覚悟があるなら、来るがいいさ」
「ふっ、こっちには聖女の護衛がいるから、いくらお父さんでも敵わないよ。あとハイネお兄ちゃんとは結婚する」
「はい、私もで……いや何言ってのリア!?」
セレンがリアの口を慌てて塞ぎ、「お邪魔しました~」と言って立ち去っていった。本当に何がしたいんだアイツら?
しかし、こうして騒がしい日常が戻ってきたのは喜ばしいことだ。
それから、ないやら思いつめた表情のハイネに呼びだされたのは、三日後のことだった。
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次回最終話!
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