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熊VSヴァリアンツ軍
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「おらぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ガルアアアアアアアア!」
スパンと快音が響き、切断された三本の爪が宙に舞って、手負いの獣の悲鳴がこだまする。
「引くぞ!」
「は、はいっ!」
俺はすぐさま、倒れていた兵士を起こして後ろにさがる。
「だれか、援護しろ!」
爪を弾き飛ばされたストーンベアが怒り狂って、おれに腕を振り下ろしてくる。
もの凄い迫力だ。
やはり、知識で知っているゲームと、実際に経験するのでは大違いだ。
だが、侮ってもらっちゃ困る。
おれだって、若い頃はそれなりに暴れてきたんだ。
「領主を舐めんな、くそクマがぁぁ!」
破滅の剣に雷の魔力を乗せて、渾身の一撃を放つ。
鮮血が飛び散る。
ストーンベアの太い腕が宙に舞った。
「いまだッ! やれえい!」
俺がそう言い切るが早いか、目にも止まらぬ速さで駆け出してきた女が、動きを止めているストーンベアの前に躍り出て、水の魔力を付与した剣を振った。
副団長のキアンだ。
「水刃!」
水の魔力は剣の切っ先から刀身の三倍以上の長まで伸びて、まるで水の鞭のようにしなり、ストーンベアを横一線に切断した。
散々暴れた魔獣は、上半身をドサリと地面に落として沈黙した。
トドメの一撃を決めた女が返り血を拭いながら、深く息を吐く。
「ふうー、流石にこうも数多いとしんどいな。あっ、ルドルフ様! 見ていましたかこのわたしの活躍を!」
「あ、ああ」
颯爽とストーンベアを倒したキアンが笑顔を見せる。
「どうです、私を団長に昇格する気になりましたか?」
こんな時にまで、わざわざ昇級のアピールをするとは、ブレないなこいつ。
「一応考えておこう。見事な一撃であった」
「ありがとうございます、日頃から訓練してきた甲斐がありましたわ! ルドルフ様も、魔獣の固い爪を一撃で弾き飛ばすとは流石ですね」
「たまたまだ。いきなり体を動かしたせいで、身体があちこち痛いわ」
正直、破滅の剣のおかげだ。
勇者ではない俺にはコイツの能力を引き出せないが、チート武器なだけあって頑丈で刃こぼれしないし、切れ味も凄まじい。
ハイネがなにを言っても受け取らないので、倉庫に腐らせるよりはマシかと思い持ってきたが、正解だったようだ。
「それよりお前は別の部隊を指揮していただろ。そっちのストーンベアは倒したのか?」
「もちろんです! あそこにぶっ倒れております」
キアンが指さした先にはもう一体のストーンベアが、袈裟斬りで真っ二つになって倒れていた。
「やるじゃないか。ここまで強いとは驚いたぞ」
「えへへ、常に団長の座ねらい日々研鑽を積み重ねておりますので」
ライトブルーの髪をいじりながら、キアンが照れた様子でそう言う。
「あと二体いたはずだが、そっちの方はどうなった?」
「臨時顧問殿のサポートで兵士達が一匹殺ったみたいです。最後の一匹は……今終わったみたいですね」
キアンが言い終わると、ドーンと爆発音が鳴り火柱が上がる。
そちらに目を向けると、何故か上半身裸になっているエドワードが、剣を持った手を空に掲げてガッツポーズをとっていた。
「ぬうおおおおお! ついに、鎧ごとぶった斬ったどー!」
そう叫ぶエドワードは、一人だけ異様に泥だらけだった。
「流石です団長! はじめて見直しましたよ」
どうやら、わざと鎧を解除しないで戦っていたらしい。そのことを自慢して、珍しく部下の兵士たち称えられていた。
折角弱点を教えてやったのにそれを無視する意味が分からない。
「ちっ、ルドルフ様。次ストーンベアがでたら私に任せてください。必ずや、鎧ごとぶっ殺してやります」
遠目からエドワードを見ていたキアンが悔しそうにそうつぶやく。
いや、だからなんでそうなるんだ。
アホな真似してるからアイツだけ苦戦して泥だらけになってんだろ。
「駄目だ。この先も長いんだ。力は温存しておけ」
「くっ……命令なら仕方ないですね」
ここは既に獣深森の中層だ。
俺達が森に入ってから三日経過している。
ストーンベア以外の魔獣とも何度も交戦していた。
キアンもエドワードも威勢は良いが、度重なるゲリラ的な魔獣の襲撃に、明らかに疲労の色が見えている。
他の兵士達に関しては、程度の差はあるが、半数以上がどこかしらに傷を負っている状態だ。油断はできない。
しかし、引き返すつもりはない。
俺がゲームで発見したミスリル鉱石の場所まで半分以上までのとこまできている。
目的地まであと少しだ。
―――そして、二日後
俺達はついに目的地へと辿りつくのであった。
「ガルアアアアアアアア!」
スパンと快音が響き、切断された三本の爪が宙に舞って、手負いの獣の悲鳴がこだまする。
「引くぞ!」
「は、はいっ!」
俺はすぐさま、倒れていた兵士を起こして後ろにさがる。
「だれか、援護しろ!」
爪を弾き飛ばされたストーンベアが怒り狂って、おれに腕を振り下ろしてくる。
もの凄い迫力だ。
やはり、知識で知っているゲームと、実際に経験するのでは大違いだ。
だが、侮ってもらっちゃ困る。
おれだって、若い頃はそれなりに暴れてきたんだ。
「領主を舐めんな、くそクマがぁぁ!」
破滅の剣に雷の魔力を乗せて、渾身の一撃を放つ。
鮮血が飛び散る。
ストーンベアの太い腕が宙に舞った。
「いまだッ! やれえい!」
俺がそう言い切るが早いか、目にも止まらぬ速さで駆け出してきた女が、動きを止めているストーンベアの前に躍り出て、水の魔力を付与した剣を振った。
副団長のキアンだ。
「水刃!」
水の魔力は剣の切っ先から刀身の三倍以上の長まで伸びて、まるで水の鞭のようにしなり、ストーンベアを横一線に切断した。
散々暴れた魔獣は、上半身をドサリと地面に落として沈黙した。
トドメの一撃を決めた女が返り血を拭いながら、深く息を吐く。
「ふうー、流石にこうも数多いとしんどいな。あっ、ルドルフ様! 見ていましたかこのわたしの活躍を!」
「あ、ああ」
颯爽とストーンベアを倒したキアンが笑顔を見せる。
「どうです、私を団長に昇格する気になりましたか?」
こんな時にまで、わざわざ昇級のアピールをするとは、ブレないなこいつ。
「一応考えておこう。見事な一撃であった」
「ありがとうございます、日頃から訓練してきた甲斐がありましたわ! ルドルフ様も、魔獣の固い爪を一撃で弾き飛ばすとは流石ですね」
「たまたまだ。いきなり体を動かしたせいで、身体があちこち痛いわ」
正直、破滅の剣のおかげだ。
勇者ではない俺にはコイツの能力を引き出せないが、チート武器なだけあって頑丈で刃こぼれしないし、切れ味も凄まじい。
ハイネがなにを言っても受け取らないので、倉庫に腐らせるよりはマシかと思い持ってきたが、正解だったようだ。
「それよりお前は別の部隊を指揮していただろ。そっちのストーンベアは倒したのか?」
「もちろんです! あそこにぶっ倒れております」
キアンが指さした先にはもう一体のストーンベアが、袈裟斬りで真っ二つになって倒れていた。
「やるじゃないか。ここまで強いとは驚いたぞ」
「えへへ、常に団長の座ねらい日々研鑽を積み重ねておりますので」
ライトブルーの髪をいじりながら、キアンが照れた様子でそう言う。
「あと二体いたはずだが、そっちの方はどうなった?」
「臨時顧問殿のサポートで兵士達が一匹殺ったみたいです。最後の一匹は……今終わったみたいですね」
キアンが言い終わると、ドーンと爆発音が鳴り火柱が上がる。
そちらに目を向けると、何故か上半身裸になっているエドワードが、剣を持った手を空に掲げてガッツポーズをとっていた。
「ぬうおおおおお! ついに、鎧ごとぶった斬ったどー!」
そう叫ぶエドワードは、一人だけ異様に泥だらけだった。
「流石です団長! はじめて見直しましたよ」
どうやら、わざと鎧を解除しないで戦っていたらしい。そのことを自慢して、珍しく部下の兵士たち称えられていた。
折角弱点を教えてやったのにそれを無視する意味が分からない。
「ちっ、ルドルフ様。次ストーンベアがでたら私に任せてください。必ずや、鎧ごとぶっ殺してやります」
遠目からエドワードを見ていたキアンが悔しそうにそうつぶやく。
いや、だからなんでそうなるんだ。
アホな真似してるからアイツだけ苦戦して泥だらけになってんだろ。
「駄目だ。この先も長いんだ。力は温存しておけ」
「くっ……命令なら仕方ないですね」
ここは既に獣深森の中層だ。
俺達が森に入ってから三日経過している。
ストーンベア以外の魔獣とも何度も交戦していた。
キアンもエドワードも威勢は良いが、度重なるゲリラ的な魔獣の襲撃に、明らかに疲労の色が見えている。
他の兵士達に関しては、程度の差はあるが、半数以上がどこかしらに傷を負っている状態だ。油断はできない。
しかし、引き返すつもりはない。
俺がゲームで発見したミスリル鉱石の場所まで半分以上までのとこまできている。
目的地まであと少しだ。
―――そして、二日後
俺達はついに目的地へと辿りつくのであった。
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