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九話
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本日は、モモちゃんの塾の日。
今回も夜八時半すぎに、僕達は自動販売機裏山で待機をしていた。
出入口を注意しながら、僕は口を開く。
「今日も現れるかなー?」
「誰が?」
「誰って、吸血鬼だよ」
「私?」
僕は、てっきりイナリちゃんと会話をしていたと思っていたのに、そうではないことに気がつく。
慌てて後ろを振り返り確認する。
僕の少し後ろにいたのは、あの黒い色で統一された服を見にまとい、フードを被った金髪の少女。
ハロー、と言って、少女は手をひらひらさせた。
側には、意識を失い地面に伏しているイナリちゃんがいる。
「イナリちゃん!?」
「心配するな、のびているだけで死んではいない」
僕は、ポケットに片手をつっこみ、聖水を握りしめる。
「まぁ、そんなに警戒しないで。
ちょっと血をもらいたいだけだから」
吸血鬼は、僕が聖水を持っているのを知っているのか知らないのか分からないが、歩みを進めてくる。
「改めまして、私は吸血鬼のベルと申します。
以後、お見知りおきを」
金髪の少女・ベルは、フードを脱ぎ、礼儀正しくお辞儀をする。
フードをとると、よく顔が見えるようになった。
その耳は人間と異なり、ツンと上向きに尖っている。
やはり刃が口から少し見え隠れしていて、目は赤く鈍く光っていた。
肌は白く金髪とあわさるとまるで外国の人形のように可愛らしい。
僕は、ポケットの中の聖水をいつでも取り出せるよう用心しながら、同じく名乗る。
「僕は……モリ、レイタ、です」
ベルは、姿勢を戻し、赤い目を細めてにやりと笑った。
今回も夜八時半すぎに、僕達は自動販売機裏山で待機をしていた。
出入口を注意しながら、僕は口を開く。
「今日も現れるかなー?」
「誰が?」
「誰って、吸血鬼だよ」
「私?」
僕は、てっきりイナリちゃんと会話をしていたと思っていたのに、そうではないことに気がつく。
慌てて後ろを振り返り確認する。
僕の少し後ろにいたのは、あの黒い色で統一された服を見にまとい、フードを被った金髪の少女。
ハロー、と言って、少女は手をひらひらさせた。
側には、意識を失い地面に伏しているイナリちゃんがいる。
「イナリちゃん!?」
「心配するな、のびているだけで死んではいない」
僕は、ポケットに片手をつっこみ、聖水を握りしめる。
「まぁ、そんなに警戒しないで。
ちょっと血をもらいたいだけだから」
吸血鬼は、僕が聖水を持っているのを知っているのか知らないのか分からないが、歩みを進めてくる。
「改めまして、私は吸血鬼のベルと申します。
以後、お見知りおきを」
金髪の少女・ベルは、フードを脱ぎ、礼儀正しくお辞儀をする。
フードをとると、よく顔が見えるようになった。
その耳は人間と異なり、ツンと上向きに尖っている。
やはり刃が口から少し見え隠れしていて、目は赤く鈍く光っていた。
肌は白く金髪とあわさるとまるで外国の人形のように可愛らしい。
僕は、ポケットの中の聖水をいつでも取り出せるよう用心しながら、同じく名乗る。
「僕は……モリ、レイタ、です」
ベルは、姿勢を戻し、赤い目を細めてにやりと笑った。
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