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ひと月後

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1ヵ月後、

 ナナのお母さんが、僕の家へ来た。
ナナの荷物の残りがあるので、お母さんと相談する為に来てもらった。

「ヨウさん、ナナが長い間お世話になってありがとうございました。

 あの子には、小さな時から色々不憫な思いをさせて、・・・・全部私の我慢でね、

 昔話少しさせてくださいね、
 ナナが5歳くらいの時、私とナナと私の友達の3人で、有が行くと言う講習会に参加する事にしたの、
 急に私の都合がつかなくなって、不参加の連絡を友達にしていたら、近くで聞いていたナナが、絶対行くって、初めてダダをこねたのよ、

(ママのお友達と一緒に行きたい、いい子にするからお願い)って、
 ナナと友達に、有の事言っていないので、講習会目的で2人で行ったの、

 その時、講習会で出会った人と撮った写真がナナの宝物になったのよ。
30を過ぎてナナが、私と同じ年であの写真の王子様をパートナーだって紹介して、
・・・・有が託した手紙の主だって。

 腰が抜けるくらいビックリしたのよ、

ナナは凄いって思った、夢の王子様をパートナーに出来たのよ。
 
 運命って皮肉ね、こんな事が起きるなんて、

 ヨウさん、ナナに治療進めてくれて感謝します。
 マジックミラー越しだけど、元気でした。
看護師さんと笑っていましたよ。
 心配しないでください大丈夫です。

 ゆくゆくは、対面で会えるといいのですが、その辺はまだ未定だそうです」

「家族じゃない僕でも会う事が出来ればいいんですが」

「そう思います、ヨウさんの方が私以上に身近です。治療が落ち着いたあたりに交渉してみます」

「僕が、まだ生きていたらいいけどね」

「そうですね、私達同じ年ですよ」

2人で苦笑いをした。



1年たった。

 ナナの残っていた私物はナナのお母さんと処分してなにもない。
 ナナの机だけは残しておいた。

 やっと、ナナの机の引き出しを開ける事が出来た。気持ちの整理がつくまで1年かかった。

 引き出しの中は殆ど処分されていて綺麗だった。

 20年記念に僕の為に書いた物語が入っていた、長いからと躊躇っていた物語だ。

 原稿用紙250枚、本1冊分か、毎日10枚読もう、おおよそ1カ月で読める。

 週2日の仕事は、続けていた。マネージメントは、英を通してるので、僕は言われた所に行くだけなので、続けられていた。

 その日から、毎日読んだ。
泣ける話なのか、ただの物語なのに、毎回涙が出て読みづらい。

 最後の5枚は記念旅行の後に書き足した物語だった。

 
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