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葉 緑

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「めんどくさ、ぼちぼちなぁ、
あぁ思い出したそのオッサン、昼のシフトに、売れない小説家がいるって言っていた、30過ぎのオッサンなのに、めっちゃめっちゃカッコいいって。
 スンゲェモテそうなので(おまえもヒモか)って聞いたらしい、全く興味ない顔で(違う)って、分厚いベールを取っぱらって色々聞きたかったが相手にされなかったって、、残念がってた、」

「へぇ、売れない小説家かぁ、、見てみたいなあ」

「おれのバイト先知っているだろう、12時から14時まで、今は毎日いるって、見て来たら、」

「時間あったらな」と、軽く言ったが、なんだか僕は珍しくワクワクした、明日絶対見に行こうと決めた。

 次の日昼、リョクのバイト先のコンビニに行った、チョコとコーヒーを持って、背の高い男のレジに並んだ、(たぶん、お目当ての売れない小説家だ)

 レジの背の高い、有にそっくりな青年が、
「こんにちは」と、僕に挨拶してくれた。
 
 今のレジは、挨拶するんだって思い、僕も
「こんにちは」と返した、なんか変な感じだった、
お金を払いながら、目の前の青年を観察した、まあ、カッコイイよな、
有にそっくりで、ドキドキしていた。
 
 また、明日も来ようと考えていた。

 夜、リョクにコンビニに行った事を報告した。
「名前なんていうんだ」
「知らない」
「そうか」
「なんで」
「なんとなく」
「ふぅん」

 有とそっくりだったとは、リョクには言わなかった。

 英の5年くらい前のブログを思い出した、いのちの電話の親父さんとのやり取りを最後まで聞こうと当時思ったが、英に有の事を説明したくなかったので、聞かずじまいだった。

 有の事を知っているのは、リョクだけだった。

 誰かと有の事を共有してしゃべりたいが、相手がいなかった。

 いつも僕は独りだ。

 また、ため息が出た。


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