幼なじみのマイペースな男子と情緒不安定な男子が恋人になってみる。

幼なじみと初体験【ユウト】

ユウトの友だち

翌朝、教室に入ると友人二人が集まって談笑していたから荷物を置いてすぐ挨拶しに行った。

「おはよう。｣
「はよー。｣
「戸倉おはよう。昨日から配信の『REX』シーズン2の一話見たか？」
「僕はまだ見てない。」

彼ら二人は僕の数少ない友だち、丸内くんと宮治くん。
丸内くんは洋画ドラマや映画を観るのが趣味でいつも熱く語ってくれる。
宮治くんは洋楽ロックが好きな人、けど丸内くんとは正反対であんまり語らなくて、どちらかと言えば聞き上手なタイプ。

「じゃあ戸倉にはネタバレにならない範囲で語らないとな。」
「僕、ネタバレ平気だから聞かせて。」
「いや、自分の目と耳で確かめた方がいい。な、宮治！」
「戸倉が別にいいって言ってるし、ネタバレしてもいいんじゃない？」
「じゃあ少しだけな！少しだけネタバレ込みで話すぞ！」
「うん。」
「前回の最後、主人公ゾフィが街を出ただろ？その後ある人物と再会するんだが、それが実は、」
「ユウト。」
「……ショウちゃん、」

丸内くんが熱弁してるのに何の遠慮もなくショウちゃんが割り込んできた。
丸内くんはショウちゃんが苦手らしくて今も顔を背けて黙ってしまった。

「今日バイト直接行くから一緒に帰れない。」
「わかった。」
「……」
「……なに？ショウちゃん。」

ショウちゃんが何も言わずじーっと見つめてきた後、俺のほっぺをつまんでから教室に戻っていった。

(なんだよ、今の……)

僕はちょっと恥ずかしくなった。

「ごめん……話中断させて。」
「いや、戸倉じゃなくてアイツが謝るべきだろ！何なんだアイツ……！まるでオレらより自分の方が戸倉と仲良いみたいなアピールしやがって！！お前なんかここ数ヶ月で急に距離縮めた新参者の癖に！！オレは入学前の塾通ってる頃から戸倉と仲良いんだからな！！」
「そうだね。」
「でも、戸倉と黒木って幼なじみだろ？」
「んー、まぁ……」
「え？！そうなのか？！」
「でも、遊ぶグループも違うし、一緒にいたのは保育所の頃くらいだったよ。」
「じゃあオレの勝ちだな。」
「こういうの勝ち負けじゃないでしょ。」
「あっちがマウント取ってくるのが悪い。」

マウント取ってるかはわからないけど、ショウちゃんの態度が悪かったのは確かだ。