【本編完結】リップサービス

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リップサービス【近下視点】

恋人とクリスマスイブ

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こんなちぐはぐな恋人関係の俺たちだが、クリスマスイブの約束の日がやってきた。
今日も高垣と二人っきりで過ごしたい人はたくさんいるんだろうけど、高垣は俺なんかと二人で過ごすと決めてくれた。

そんなネガティブな思考は一度捨てて、せっかくの高垣とのクリスマスイブを目一杯楽しむことに気持ちを切り替えた。
けど二人ともケーキは興味ないし、お洒落なカフェに入るキャラでもないから、いつも行くファミレスに行って、その後はおもちゃ屋に行って昔遊んだゲームの話や最新のおもちゃの数々に二人で興奮して盛り上がった。

ショッピングモールで巨大なツリーのオブジェを見つけた。
二人ともキレイなツリーに見とれていた。

(この幻想的な世界は自分とは無縁だったし、孤独を強めてきた忌まわしいものだったけど……好きな人と一緒に見るとこんなに感動して、こんな切ない気持ちになるんだな)

ふと高垣の様子を伺うと高垣が幸せそうな表情を浮かべていた。
俺は「今日一緒に過ごせてよかったなぁ」って笑顔になった。

(来年も一緒にいたいな……高垣が許してくれるまで、長く長く一緒にいたい。)


帰り際、お互いに用意していたプレゼントを交換した。
俺は高垣に靴下をプレゼントした。
自分はあんまりセンスが良くないから見えない所のものを渡した。
そして高垣からのプレゼントを開封すると帽子が入っていた。

「え!こういうの高いだろ?!」
「俺は安くてお洒落な店たくさん知ってんだ!」
「今度俺にも教えろよ。」
「うん、一緒に行こう!」

俺はいそいそとプレゼントの帽子を被ってみた。
そしたら高垣が仕上げに帽子の位置と髪を整えてくれた。

「どう?」
「めっちゃ似合うよ。」
「擦り切れるまで被る。」
「擦り切れる前に新しいのプレゼントするよ。」

クリスマスだからか、高垣の表情がいつもより甘く優しい印象に見えた。

(いつもはニカッて笑うんだけど、今日はなんかいつもと違う)

今日のデートは何だかお互い別れ難くて、解散するまでが長引いた。
それくらいお互い楽しかったのかも。

(ちょっとは高垣と同じ気持ちになれたかな……)


次、高垣と会えるのは1月2日だ。
元旦は友達と初詣に行く先約があると聞いた。
毎年恒例行事らしい。

そして翌日1月2日は高垣の誕生日だ。
その日は俺と過ごしてくれる約束だ。
俺は高垣が好きな料理の店もばっちりリサーチしたし、高垣がテンション上がりそうなスポットも見つけた。
そしてそしてプレゼントもロマンチックに渡すんだ!!

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