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第3章 ヤーベ、旅立つ準備を始める!
第16話 ヒヨコの軍団を結成しよう
しおりを挟む『ボス!仲間のヒヨコを集めてボスにヒヨコ軍団を献上してみせます!』
『わかった!お前には隊長の座を用意しよう! ヒヨコ隊長! 隊長の名にふさわしい軍団の構築を頼むぞ!』
『はは―――――っ!!』
とかなんとか言ってヒヨコ隊長が旅立って幾年月(笑)
実際には一ヶ月も経っていないかな?
現在ローガたちには森の奥へ探索に行ってもらっている。
ローガだけは俺の護衛に残りたかったようだが、探索効率のため、自分の部下を直接指揮してもらうため出かけてもらった。
そのため、一人で泉の畔で水やりをしている。
一人で過ごすのはちょっと懐かしささえ感じるようになったね。
そんな時、軍団は唐突にやって来た。
「「「「「「「「ピヨピヨピヨ~~~~~」」」」」」」」
わわわ! なんだ?この軍団? すごい数だけど・・・
ものすごい数のヒヨコが飛来してきた。もしかしてヒヨコ隊長が部下を連れて帰って来たのか?
「ピヨピヨ!」
ひと際大きい鳴き声が聞こえたかと思うと、全ヒヨコがビシッと整列し出す。
「ピヨ~~~ピ!」
鳴き声一閃、一糸乱れぬ動作で隊列を組むヒヨコたち。
『ボス!ヒヨコ隊長戻りました! 新たにヒヨコたち二百羽を軍団に納め、ボスに仕えたいと思います!』
おお、本当に軍団を形成してくるとは、やるなヒヨコ隊長!
『うむ!ヒヨコ隊長の名に恥じぬ見事な働きである!』
仰々しく褒めてみる俺。出来る上官をアピールだ。
『はは―――――っ!ありがたき幸せ!』
『これで見事なヒヨコ軍団を結成することが出来た』
ただ、取り立てて軍団が出来てもやることないんだよね。
『まずは長旅で疲れただろう、今日はゆっくりとその辺で休むがいい』
『ははっ!ありがたき幸せ!』
いちいち硬いね、ヒヨコ隊長。それにしても二百羽を賄うエサがいるじゃん。
俺は食べなくても大丈夫だけど、ヒヨコたちはそうはいかないだろう。
魔物狩りにでも行かねば・・・。
『それでは皆の食糧を確保してくる。ゆっくり休んでいるといい』
と言って出かけようとしたのだが・・・。
『ボス!それには及びません!』
と言ってヒヨコ隊長が俺を止める。
『おいっ!』
そう言ってヒヨコ隊長が声をかけると、後ろからデカイイノシシを引きずって来るヒヨコたち。
『こちらへ向かっている途中でこのレッドボアに出会いましたので、仕留めてまいりました』
わお、りっぱなイノシシだ。レッドボアっていうのか? 魔物かな? 赤毛の巨大イノシシだね! 顔が怖いね(汗)
『これで今日はパーティと洒落込みましょう!』
ずいぶんと張り切っているヒヨコ隊長の意見を却下する理由も無い。
『出来れば皮を剥いで肉を焼いて食べたいものだな』
俺の呟きにヒヨコ隊長が反応する。
『わかりました!レッドボアの丸焼きと行きましょう』
そう言って「ピヨピヨ~」と部下に指示を出す。
あっという間にたくさんのヒヨコたちに突かれたレッドボアの皮は剥がされて肉がむき出しになる。
結構太目な枝をたくさんのヒヨコたちで引きずって来ては明らかに火で炙るための準備を始めようとしていた。
『おいおい、大丈夫か?』
巨大なレッドボアを串刺しにしてヒヨコたちが薪を集めて火を起こす準備すら完了しそうだ。恐るべしヒヨコ!
いまどーやって串刺しにした? てか、まるでモン〇ンのように獣肉を火で炙るシステムが木の枝で組まれてますけど?
これ、カソの村で開村祭の時にヒヨコたち連れて行ったらバーベキューの準備完璧なんじゃね?
「「「ピヨピヨピヨ~」」」
そのうち三匹が鳴き声を上げると、まさかの火の玉が薪に向かって飛ぶ!
そして見事に薪に火が付いた。
(えええええ~~~~~!!)
ヒヨコ、魔法使えるの!? 火の魔法使ったよね? それで薪に火をつけたよね?
恐るべしヒヨコ!
てかうらやましー! 俺も魔法使いてー!
なんならヒヨコ俺に教えてくれ!
そして、やたらとうまそうな匂いがしてくる。あれ? 焼いてるだけだよね?
え? いつの間に匂いもかげるようになったのかって?
いやね、先日カソの村で歓待を受けた時にね、井戸の水の後にお酒も振る舞ってもらったわけ。お酒とくれば、ただ流し込むのももったいないじゃない? なんとか味わかんないかな~、匂いわかんないかな~と思ってたら、分かるようになりました!
いや、多少エネルギーぐるぐる、てかもう魔力でいいよね? 精霊たちもそう言ってたし。
ぐるぐるした気はするけど、そんなに必死に何とかしようと思ったわけじゃないんだけど、何とかならんかなーと思ったら、何とかなったという(苦笑)
まあ、気持ちの問題って大事よね?
・・・あれ? ヒヨコ隊長どこ行った? アイツ、他のヒヨコより一回りはデカいからな。すぐわかるはずなんだが。
・・・いた、けど・・・
「ピヨピヨピヨ~」
「ピヨヨ~」
「ピヨピヨ~」
『はっはっは、お前達、そう慌てなくともみんな相手してやるから』
ピキキッ!
えーと、ヒヨコ隊長の周りに七羽くらいヒヨコが集まってますな・・・。
なんだかメスっぽいヒヨコたちがキャッキャウフフしておりますな・・・。
ええ、ええ。どっからどー見てもあれはハーレム、というやつですな・・・。
こちとら、異世界飛ばされてまったく何の説明もないまま、スライムになったと気づいたときにチートでハーレムだーと勝手に喜んだ挙句、ノーチートで今だヒロイン候補の登場も無し。
これがラノベの小説だったらぜってー売れねーぞ!
スライムと狼とヒヨコしか出て来ない物語なんて。
誰得だよ! ヒロインどころか、美人の女性すら出て来ないのに、ヒヨコはハーレムだとぉ!
俺はスルスルとヒヨコ隊長の前に移動する。
『あ、ボス。バーベキューの準備はまだ・・・』
「<断罪>」
『な、なぜぇぇぇ!』
触手をブン回してヒヨコ隊長を追い回す俺。
涙をちょちょぎらせながら逃げ回るヒヨコ隊長。
そしてヒヨコ隊長の愛人だか嫁だか知らんヒヨコたちからは悲鳴。
『ピヨッピヨ~(隊長とボス、仲がいいなぁ~)』
『ピヨピヨ(まったくだ。羨ましい限りだな)』
『ピヨピヨヨ(俺たちもボスに相手してもらいたいもんだぜ)』
なぜかヒヨコの部下たちからは羨ましがられていた。
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