聖女を騙る人がもてはやされていますが、本物の私は隣国へ追い出されます

☆ミ

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私はドコのアリアス?

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「こっちの産まれ育ちじゃないらしいから、親戚もこのあたりにゃ居ない。仕事関係でもこれといった繋がりはないはず」

 思い出しながら色々と喋ってくれるけど、今のところ問題らしいのは無いわね。って私には思えてるけど、ハマダ大尉とかならどう感じるのかしらね。

「これで最後です。情報屋になれる位詳しいとか正確なんでしょうか」

「それについちゃ一言、やつは情報が早い。ものには鮮度がある、詳しいとか正確とかはそのうち判断することだが、何せ知ってることが広いんだ」

 決まりね、この費用も侯爵持ちでいいわよね。ダメなら……王女にせびることにするわ。良いわよね、これもお仕事だから。

「ありがとうございます」

「で、どうですこいつは?」

 お店の商品ではないけれど、マスターの商売ではあるのよね。気に入らなければそれはそれで仕方ないくらいの軽い感じよ。

「私は採用したいと思いました。あちらにも選ぶ権利はあると思いますけど」

 一方的なのは好きじゃないの。かといって待遇面でどこまで相談に乗れるかはわからないわね。

「そうだな、月に純金貨三枚、望みの情報次第でボーナスでも出しておけば多分あいつは首を縦に振る」

「そんなものですか?」

 全然ピンと来ません。この前は日帰りで純金貨一枚なのに、こちらは月で三枚だけ? 一般常識的なのを求められてもわからないけど。

「ああ、そんなものだ。何なら賭けてもいい」

 にやっとして店主が自信の程をそう表現したわ。それならばきっとそうなんでしょうね。

「ならその条件で話を持ち掛けて欲しいです、お任せしても?」

「純金貨二枚と金貨五枚でもきっといけるはずだが」

 私は首を横に振ったわ、そういうのは好きじゃないの。本来の価値というか、既に納得していたのをこちらに寄せるとかはフェアじゃない。

「私が求めるのは必要な時に必要な情報が得られる為の素地。金貨五枚を減らして不満を持たせては意味がないの」

「あんたは良い依頼主だよ。コンラットにもきっちり説明して、納得いくようなら挨拶に行かせる。どこへ行けば?」

 姿勢を楽にして笑ってくれた。私の方も合格だったみたいでなによりよ。

「神殿へお願いします。暫くは籠もっているので、来た時に少し待たせてしまうかも知れませんけど」

 リスィには話をしておかないとダメよね、何でも話せるし頼れる唯一の姉のような人よ。こちらはどう思われてるのかとか、怖くて聞けないけどね!

「事前にそう知ってれば文句はないだろうさ。これからもうちを宜しく頼むぜ!」

「支払いはマケンガ侯爵ですけどね。もしダメって言うなら王女……えーとリリアン王女が支払います、きっと」

 苦笑いして王女違いを起こさないように要注意。リンダ王女に言ったらどんな顔するかしら。多分……無表情で「そう」とか「いいわ」とか言いそう。うん、言うわ。

「リリアン王女ってぇと、今度王太子と成婚するあの?」

 あたまにハテナマークを浮かばせて変な顔をされたわ。知名度の問題かしらね?

「ええ、そのリリアン王女です」

 指輪を示して関係性を明らかにする、といっても紋章が解るわけじゃなさそうだけど。って思ったわのは私が侮っているからね、良くないわこれは。自分を戒めましょう。



「てっきり侯爵の部下かと思っていたけど、オプファー王女の身内かい。でもゲベート王家の指輪してたよな?」

 言われて左手の指輪を一緒に見ながら頷く。そうなのよねー、これはリンダの代理人の証なのよ。まったくみんな、なんだって思っているのやら。

「こっちはリンダ王女のものよ。目下のところは侯爵の庇護下にあるんですけどね」

 後頭部に手をやって誤魔化すかのような笑いをするわ。私ってばどこの所属なんだって話よね、一応はリリアン王女の客分ってのが軸なはずなんだけど。

「難しい立場なんだなあんた。けどよ、うちは訳アリでも詮索はしない、権力にも屈さない。身柄の保護くらいならしてやるからよ、困ったらウチへ来な」

「ありがとうございます。正直どうなるのか自分でもよく解らないので、そんな風になったら山にでも隠れます」

 あそこなら安心安全ですからね、ちょっと人外生活になりそうなだけで。

「竜山か、そいつは誰にも手出しできねぇな、はははは」

 竜山? ああ、そんな名前がついちゃったんだ。でも実際あそこが一番安全そう、ヘンリエッタさんなら受け入れてくれる気がするわ。よくわからないけど、私あの人のこと好きみたい。これも血のせいだったり? 血というかフラウの影響っぽいのよねそういうの全部。

 融合してる部分あるから、笑いごとじゃない位のことよ。他にも精霊使いがいたら色々解りそうだけど、全然居ないのよね。魔法文化はあっても、精霊術文化は全く。別の大陸に行けばもう少し比率は違うかも知れないわね。

「そういうわけでお願いします。私は神殿に戻りますね」

 その日は流石に誰も尋ねては来なかったわ。リスィに言伝をして、祈りに集中、聖域の拡張が急務よ!


 神殿で聖域の拡張を一気に行うことにするわ。フラウを召喚して、自我の管理を預けて、尚且つ自身の意識を二つに分割する。己の自我を他者に預けるなんてどれだけ危険か、だけど私とフラウは一心同体、信用出来ないなんてこれっぽちもないの。

 意識が割れて、聖域の維持をする自分と、拡張を行う自分が第三者の視点から見えるような感覚に陥る。今までは竜山のヘンリエッタさんと衝突していたけど、今はそこを越えて意識が拡がって行くのがわかるわ。
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みんなの感想(29件)

Chronosynthesis
2021.07.24 Chronosynthesis

アリアスはナニ派? で誤字発見です。
×「そうでなkれば」 ◯「そうでなければ」 確かに読みは「ケー」ですけれど(

解除
猫3号
2021.05.08 猫3号

誤字報告
額をから血が出てるじゃない
「を」が要らないかな。

前回、リンダに面会するのは王の許可が必要と言われたけど、毒を盛ったのは王の意思? 毒を盛った貴族の傀儡? この国大丈夫か?

☆ミ
2021.05.08 ☆ミ

誤字! ありがとうございます、直しました。

解除
猫3号
2021.03.20 猫3号

タイトル変だし、話が途中で切れてますよ?

☆ミ
2021.03.20 ☆ミ

保存だけしたはずが、公開なっていたようです
m(._.)m
今ログインしたら変な画面に遷移して?ってなってました
初めて見る緑の画面……

解除

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