聖女を騙る人がもてはやされていますが、本物の私は隣国へ追い出されます

☆ミ

文字の大きさ
上 下
19 / 19

私はドコのアリアス?

しおりを挟む
「こっちの産まれ育ちじゃないらしいから、親戚もこのあたりにゃ居ない。仕事関係でもこれといった繋がりはないはず」

 思い出しながら色々と喋ってくれるけど、今のところ問題らしいのは無いわね。って私には思えてるけど、ハマダ大尉とかならどう感じるのかしらね。

「これで最後です。情報屋になれる位詳しいとか正確なんでしょうか」

「それについちゃ一言、やつは情報が早い。ものには鮮度がある、詳しいとか正確とかはそのうち判断することだが、何せ知ってることが広いんだ」

 決まりね、この費用も侯爵持ちでいいわよね。ダメなら……王女にせびることにするわ。良いわよね、これもお仕事だから。

「ありがとうございます」

「で、どうですこいつは?」

 お店の商品ではないけれど、マスターの商売ではあるのよね。気に入らなければそれはそれで仕方ないくらいの軽い感じよ。

「私は採用したいと思いました。あちらにも選ぶ権利はあると思いますけど」

 一方的なのは好きじゃないの。かといって待遇面でどこまで相談に乗れるかはわからないわね。

「そうだな、月に純金貨三枚、望みの情報次第でボーナスでも出しておけば多分あいつは首を縦に振る」

「そんなものですか?」

 全然ピンと来ません。この前は日帰りで純金貨一枚なのに、こちらは月で三枚だけ? 一般常識的なのを求められてもわからないけど。

「ああ、そんなものだ。何なら賭けてもいい」

 にやっとして店主が自信の程をそう表現したわ。それならばきっとそうなんでしょうね。

「ならその条件で話を持ち掛けて欲しいです、お任せしても?」

「純金貨二枚と金貨五枚でもきっといけるはずだが」

 私は首を横に振ったわ、そういうのは好きじゃないの。本来の価値というか、既に納得していたのをこちらに寄せるとかはフェアじゃない。

「私が求めるのは必要な時に必要な情報が得られる為の素地。金貨五枚を減らして不満を持たせては意味がないの」

「あんたは良い依頼主だよ。コンラットにもきっちり説明して、納得いくようなら挨拶に行かせる。どこへ行けば?」

 姿勢を楽にして笑ってくれた。私の方も合格だったみたいでなによりよ。

「神殿へお願いします。暫くは籠もっているので、来た時に少し待たせてしまうかも知れませんけど」

 リスィには話をしておかないとダメよね、何でも話せるし頼れる唯一の姉のような人よ。こちらはどう思われてるのかとか、怖くて聞けないけどね!

「事前にそう知ってれば文句はないだろうさ。これからもうちを宜しく頼むぜ!」

「支払いはマケンガ侯爵ですけどね。もしダメって言うなら王女……えーとリリアン王女が支払います、きっと」

 苦笑いして王女違いを起こさないように要注意。リンダ王女に言ったらどんな顔するかしら。多分……無表情で「そう」とか「いいわ」とか言いそう。うん、言うわ。

「リリアン王女ってぇと、今度王太子と成婚するあの?」

 あたまにハテナマークを浮かばせて変な顔をされたわ。知名度の問題かしらね?

「ええ、そのリリアン王女です」

 指輪を示して関係性を明らかにする、といっても紋章が解るわけじゃなさそうだけど。って思ったわのは私が侮っているからね、良くないわこれは。自分を戒めましょう。



「てっきり侯爵の部下かと思っていたけど、オプファー王女の身内かい。でもゲベート王家の指輪してたよな?」

 言われて左手の指輪を一緒に見ながら頷く。そうなのよねー、これはリンダの代理人の証なのよ。まったくみんな、なんだって思っているのやら。

「こっちはリンダ王女のものよ。目下のところは侯爵の庇護下にあるんですけどね」

 後頭部に手をやって誤魔化すかのような笑いをするわ。私ってばどこの所属なんだって話よね、一応はリリアン王女の客分ってのが軸なはずなんだけど。

「難しい立場なんだなあんた。けどよ、うちは訳アリでも詮索はしない、権力にも屈さない。身柄の保護くらいならしてやるからよ、困ったらウチへ来な」

「ありがとうございます。正直どうなるのか自分でもよく解らないので、そんな風になったら山にでも隠れます」

 あそこなら安心安全ですからね、ちょっと人外生活になりそうなだけで。

「竜山か、そいつは誰にも手出しできねぇな、はははは」

 竜山? ああ、そんな名前がついちゃったんだ。でも実際あそこが一番安全そう、ヘンリエッタさんなら受け入れてくれる気がするわ。よくわからないけど、私あの人のこと好きみたい。これも血のせいだったり? 血というかフラウの影響っぽいのよねそういうの全部。

 融合してる部分あるから、笑いごとじゃない位のことよ。他にも精霊使いがいたら色々解りそうだけど、全然居ないのよね。魔法文化はあっても、精霊術文化は全く。別の大陸に行けばもう少し比率は違うかも知れないわね。

「そういうわけでお願いします。私は神殿に戻りますね」

 その日は流石に誰も尋ねては来なかったわ。リスィに言伝をして、祈りに集中、聖域の拡張が急務よ!


 神殿で聖域の拡張を一気に行うことにするわ。フラウを召喚して、自我の管理を預けて、尚且つ自身の意識を二つに分割する。己の自我を他者に預けるなんてどれだけ危険か、だけど私とフラウは一心同体、信用出来ないなんてこれっぽちもないの。

 意識が割れて、聖域の維持をする自分と、拡張を行う自分が第三者の視点から見えるような感覚に陥る。今までは竜山のヘンリエッタさんと衝突していたけど、今はそこを越えて意識が拡がって行くのがわかるわ。
しおりを挟む
感想 29

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(29件)

玄狼黒鉄
2021.07.24 玄狼黒鉄

アリアスはナニ派? で誤字発見です。
×「そうでなkれば」 ◯「そうでなければ」 確かに読みは「ケー」ですけれど(

解除
猫3号
2021.05.08 猫3号

誤字報告
額をから血が出てるじゃない
「を」が要らないかな。

前回、リンダに面会するのは王の許可が必要と言われたけど、毒を盛ったのは王の意思? 毒を盛った貴族の傀儡? この国大丈夫か?

2021.05.08 ☆ミ

誤字! ありがとうございます、直しました。

解除
猫3号
2021.03.20 猫3号

タイトル変だし、話が途中で切れてますよ?

2021.03.20 ☆ミ

保存だけしたはずが、公開なっていたようです
m(._.)m
今ログインしたら変な画面に遷移して?ってなってました
初めて見る緑の画面……

解除

あなたにおすすめの小説

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。