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私はドコのアリアス?
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「こっちの産まれ育ちじゃないらしいから、親戚もこのあたりにゃ居ない。仕事関係でもこれといった繋がりはないはず」
思い出しながら色々と喋ってくれるけど、今のところ問題らしいのは無いわね。って私には思えてるけど、ハマダ大尉とかならどう感じるのかしらね。
「これで最後です。情報屋になれる位詳しいとか正確なんでしょうか」
「それについちゃ一言、やつは情報が早い。ものには鮮度がある、詳しいとか正確とかはそのうち判断することだが、何せ知ってることが広いんだ」
決まりね、この費用も侯爵持ちでいいわよね。ダメなら……王女にせびることにするわ。良いわよね、これもお仕事だから。
「ありがとうございます」
「で、どうですこいつは?」
お店の商品ではないけれど、マスターの商売ではあるのよね。気に入らなければそれはそれで仕方ないくらいの軽い感じよ。
「私は採用したいと思いました。あちらにも選ぶ権利はあると思いますけど」
一方的なのは好きじゃないの。かといって待遇面でどこまで相談に乗れるかはわからないわね。
「そうだな、月に純金貨三枚、望みの情報次第でボーナスでも出しておけば多分あいつは首を縦に振る」
「そんなものですか?」
全然ピンと来ません。この前は日帰りで純金貨一枚なのに、こちらは月で三枚だけ? 一般常識的なのを求められてもわからないけど。
「ああ、そんなものだ。何なら賭けてもいい」
にやっとして店主が自信の程をそう表現したわ。それならばきっとそうなんでしょうね。
「ならその条件で話を持ち掛けて欲しいです、お任せしても?」
「純金貨二枚と金貨五枚でもきっといけるはずだが」
私は首を横に振ったわ、そういうのは好きじゃないの。本来の価値というか、既に納得していたのをこちらに寄せるとかはフェアじゃない。
「私が求めるのは必要な時に必要な情報が得られる為の素地。金貨五枚を減らして不満を持たせては意味がないの」
「あんたは良い依頼主だよ。コンラットにもきっちり説明して、納得いくようなら挨拶に行かせる。どこへ行けば?」
姿勢を楽にして笑ってくれた。私の方も合格だったみたいでなによりよ。
「神殿へお願いします。暫くは籠もっているので、来た時に少し待たせてしまうかも知れませんけど」
リスィには話をしておかないとダメよね、何でも話せるし頼れる唯一の姉のような人よ。こちらはどう思われてるのかとか、怖くて聞けないけどね!
「事前にそう知ってれば文句はないだろうさ。これからもうちを宜しく頼むぜ!」
「支払いはマケンガ侯爵ですけどね。もしダメって言うなら王女……えーとリリアン王女が支払います、きっと」
苦笑いして王女違いを起こさないように要注意。リンダ王女に言ったらどんな顔するかしら。多分……無表情で「そう」とか「いいわ」とか言いそう。うん、言うわ。
「リリアン王女ってぇと、今度王太子と成婚するあの?」
あたまにハテナマークを浮かばせて変な顔をされたわ。知名度の問題かしらね?
「ええ、そのリリアン王女です」
指輪を示して関係性を明らかにする、といっても紋章が解るわけじゃなさそうだけど。って思ったわのは私が侮っているからね、良くないわこれは。自分を戒めましょう。
「てっきり侯爵の部下かと思っていたけど、オプファー王女の身内かい。でもゲベート王家の指輪してたよな?」
言われて左手の指輪を一緒に見ながら頷く。そうなのよねー、これはリンダの代理人の証なのよ。まったくみんな、なんだって思っているのやら。
「こっちはリンダ王女のものよ。目下のところは侯爵の庇護下にあるんですけどね」
後頭部に手をやって誤魔化すかのような笑いをするわ。私ってばどこの所属なんだって話よね、一応はリリアン王女の客分ってのが軸なはずなんだけど。
「難しい立場なんだなあんた。けどよ、うちは訳アリでも詮索はしない、権力にも屈さない。身柄の保護くらいならしてやるからよ、困ったらウチへ来な」
「ありがとうございます。正直どうなるのか自分でもよく解らないので、そんな風になったら山にでも隠れます」
あそこなら安心安全ですからね、ちょっと人外生活になりそうなだけで。
「竜山か、そいつは誰にも手出しできねぇな、はははは」
竜山? ああ、そんな名前がついちゃったんだ。でも実際あそこが一番安全そう、ヘンリエッタさんなら受け入れてくれる気がするわ。よくわからないけど、私あの人のこと好きみたい。これも血のせいだったり? 血というかフラウの影響っぽいのよねそういうの全部。
融合してる部分あるから、笑いごとじゃない位のことよ。他にも精霊使いがいたら色々解りそうだけど、全然居ないのよね。魔法文化はあっても、精霊術文化は全く。別の大陸に行けばもう少し比率は違うかも知れないわね。
「そういうわけでお願いします。私は神殿に戻りますね」
その日は流石に誰も尋ねては来なかったわ。リスィに言伝をして、祈りに集中、聖域の拡張が急務よ!
◇
神殿で聖域の拡張を一気に行うことにするわ。フラウを召喚して、自我の管理を預けて、尚且つ自身の意識を二つに分割する。己の自我を他者に預けるなんてどれだけ危険か、だけど私とフラウは一心同体、信用出来ないなんてこれっぽちもないの。
意識が割れて、聖域の維持をする自分と、拡張を行う自分が第三者の視点から見えるような感覚に陥る。今までは竜山のヘンリエッタさんと衝突していたけど、今はそこを越えて意識が拡がって行くのがわかるわ。
思い出しながら色々と喋ってくれるけど、今のところ問題らしいのは無いわね。って私には思えてるけど、ハマダ大尉とかならどう感じるのかしらね。
「これで最後です。情報屋になれる位詳しいとか正確なんでしょうか」
「それについちゃ一言、やつは情報が早い。ものには鮮度がある、詳しいとか正確とかはそのうち判断することだが、何せ知ってることが広いんだ」
決まりね、この費用も侯爵持ちでいいわよね。ダメなら……王女にせびることにするわ。良いわよね、これもお仕事だから。
「ありがとうございます」
「で、どうですこいつは?」
お店の商品ではないけれど、マスターの商売ではあるのよね。気に入らなければそれはそれで仕方ないくらいの軽い感じよ。
「私は採用したいと思いました。あちらにも選ぶ権利はあると思いますけど」
一方的なのは好きじゃないの。かといって待遇面でどこまで相談に乗れるかはわからないわね。
「そうだな、月に純金貨三枚、望みの情報次第でボーナスでも出しておけば多分あいつは首を縦に振る」
「そんなものですか?」
全然ピンと来ません。この前は日帰りで純金貨一枚なのに、こちらは月で三枚だけ? 一般常識的なのを求められてもわからないけど。
「ああ、そんなものだ。何なら賭けてもいい」
にやっとして店主が自信の程をそう表現したわ。それならばきっとそうなんでしょうね。
「ならその条件で話を持ち掛けて欲しいです、お任せしても?」
「純金貨二枚と金貨五枚でもきっといけるはずだが」
私は首を横に振ったわ、そういうのは好きじゃないの。本来の価値というか、既に納得していたのをこちらに寄せるとかはフェアじゃない。
「私が求めるのは必要な時に必要な情報が得られる為の素地。金貨五枚を減らして不満を持たせては意味がないの」
「あんたは良い依頼主だよ。コンラットにもきっちり説明して、納得いくようなら挨拶に行かせる。どこへ行けば?」
姿勢を楽にして笑ってくれた。私の方も合格だったみたいでなによりよ。
「神殿へお願いします。暫くは籠もっているので、来た時に少し待たせてしまうかも知れませんけど」
リスィには話をしておかないとダメよね、何でも話せるし頼れる唯一の姉のような人よ。こちらはどう思われてるのかとか、怖くて聞けないけどね!
「事前にそう知ってれば文句はないだろうさ。これからもうちを宜しく頼むぜ!」
「支払いはマケンガ侯爵ですけどね。もしダメって言うなら王女……えーとリリアン王女が支払います、きっと」
苦笑いして王女違いを起こさないように要注意。リンダ王女に言ったらどんな顔するかしら。多分……無表情で「そう」とか「いいわ」とか言いそう。うん、言うわ。
「リリアン王女ってぇと、今度王太子と成婚するあの?」
あたまにハテナマークを浮かばせて変な顔をされたわ。知名度の問題かしらね?
「ええ、そのリリアン王女です」
指輪を示して関係性を明らかにする、といっても紋章が解るわけじゃなさそうだけど。って思ったわのは私が侮っているからね、良くないわこれは。自分を戒めましょう。
「てっきり侯爵の部下かと思っていたけど、オプファー王女の身内かい。でもゲベート王家の指輪してたよな?」
言われて左手の指輪を一緒に見ながら頷く。そうなのよねー、これはリンダの代理人の証なのよ。まったくみんな、なんだって思っているのやら。
「こっちはリンダ王女のものよ。目下のところは侯爵の庇護下にあるんですけどね」
後頭部に手をやって誤魔化すかのような笑いをするわ。私ってばどこの所属なんだって話よね、一応はリリアン王女の客分ってのが軸なはずなんだけど。
「難しい立場なんだなあんた。けどよ、うちは訳アリでも詮索はしない、権力にも屈さない。身柄の保護くらいならしてやるからよ、困ったらウチへ来な」
「ありがとうございます。正直どうなるのか自分でもよく解らないので、そんな風になったら山にでも隠れます」
あそこなら安心安全ですからね、ちょっと人外生活になりそうなだけで。
「竜山か、そいつは誰にも手出しできねぇな、はははは」
竜山? ああ、そんな名前がついちゃったんだ。でも実際あそこが一番安全そう、ヘンリエッタさんなら受け入れてくれる気がするわ。よくわからないけど、私あの人のこと好きみたい。これも血のせいだったり? 血というかフラウの影響っぽいのよねそういうの全部。
融合してる部分あるから、笑いごとじゃない位のことよ。他にも精霊使いがいたら色々解りそうだけど、全然居ないのよね。魔法文化はあっても、精霊術文化は全く。別の大陸に行けばもう少し比率は違うかも知れないわね。
「そういうわけでお願いします。私は神殿に戻りますね」
その日は流石に誰も尋ねては来なかったわ。リスィに言伝をして、祈りに集中、聖域の拡張が急務よ!
◇
神殿で聖域の拡張を一気に行うことにするわ。フラウを召喚して、自我の管理を預けて、尚且つ自身の意識を二つに分割する。己の自我を他者に預けるなんてどれだけ危険か、だけど私とフラウは一心同体、信用出来ないなんてこれっぽちもないの。
意識が割れて、聖域の維持をする自分と、拡張を行う自分が第三者の視点から見えるような感覚に陥る。今までは竜山のヘンリエッタさんと衝突していたけど、今はそこを越えて意識が拡がって行くのがわかるわ。
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