36 / 36
婚約編
36 エピローグ
しおりを挟む魔幻とくしの動きを抑える。
明花は頭の中で、反時計回りに舞い上がる風をイメージしている。
回る風は、周辺にさらなる風の力を呼び起こして、さらに風は力を増していく。
やがて、風は熱を帯びて、さらに加速する。風の勢いは、さらに高まる。
『明花…!』
「速撃大風衝波!!」
明花の腕輪にある呪文詠唱装置が反応し、その腕輪のハート型モニターに呪文詠唱文が表示される。
魔法発動。
魔幻とくしを中心に、高速回転する風が、地面から空に向かって、吹き荒れる。
その回転はいびつで、堪えようとする魔幻とくしの身体を、四方八方に飛び散らす様な勢いを持つ。
「…ァァァ!明花!!ま、まだ、魔幻となった僕の勇姿、君には、見せてないのにィィィ!」
魔幻とくしは、歯を食いしばり、明花の風の魔法を堪え忍ぼうと、身を屈める。
「…そのままだと、死んじゃうよ!?」
明花は、魔幻とくしに警告する。
「ふ、ふ、それは、違う…」
「とくし君…?」
魔幻とくしの2つの閉じた瞼が徐々に上がり、目を開こうとしている。
「僕わぁ、幼い頃に親から捨てられ、施設で育った。こんな僕にも、触らずに物を動かしたり、割ったり、不思議な力があって、これが僕のぉ、人より劣っていないって思える瞬間なのさァ!そんな僕が、こんな事くらいで、負けるはずが、ない!」
魔幻とくしの2つの目が見開き、それと同時に、口から著しく発達して伸びていく犬歯は、大型肉食獣の様な牙となり、口の外に剥き出しになる。
彼は、まとわりつく風魔法を、咆哮と共に、己の魔力を一気に増幅させ、かき消した。
「僕わぁ、大きな魔力というものを手に入れるために、無理矢理、目を塞がれていたんだ。その時は絶望したけど、再び目が見える様になった時は、今まで感じた事のない、爽快な気分になったよ!!邪魔なものは消し、手に入れたいものは、手に入れる!それができるのが、この僕…」
「魔幻とくしィィィ、ダァだぁあぁ!」
魔幻とくしは、身体の中の骨をポキポキと鳴らし、体格を1.5倍増しにしていく。
『明花、こいつの魔力…!膨れ上がってきた。それでも、まだ貴女の力には敵わないはず。落ち着いて、対応…』
メデナリンジェの心の声が、全て届く前に、魔幻とくしが、明花に声を上げて突撃してきた。
一歩より二歩目、二歩目より三歩目、魔幻とくしの地を蹴り、駆け寄る速さは、伸びる様に上がっていく。その速さに、明花はタイミングを合わせられないでいた。
腰が引けた状態で、魔幻とくしの突撃を受ける明花。魔法戦闘服の覆われていないお腹に、勢いのついた魔幻とくしの頭突きを食らい、吹き飛ばされていく。
魔法戦闘服で覆われていない肌を直接攻撃されていても、自動魔法防御が身体全体のどの箇所に対しても働くため、魔幻とくしの攻撃は、明花には大して利いていない。
しかし、魔幻とくしの突撃をまともに食らって頭を大きく揺らされた明花は、意識を朦朧とさせていた。
「あ…ぅ…」
『明花!!』
明花は落下時、しゃがんだ様な格好で両足を着き、尻餅をつく。そして、地面に背中をついて、そのまま気を失ってしまった。
明花は頭の中で、反時計回りに舞い上がる風をイメージしている。
回る風は、周辺にさらなる風の力を呼び起こして、さらに風は力を増していく。
やがて、風は熱を帯びて、さらに加速する。風の勢いは、さらに高まる。
『明花…!』
「速撃大風衝波!!」
明花の腕輪にある呪文詠唱装置が反応し、その腕輪のハート型モニターに呪文詠唱文が表示される。
魔法発動。
魔幻とくしを中心に、高速回転する風が、地面から空に向かって、吹き荒れる。
その回転はいびつで、堪えようとする魔幻とくしの身体を、四方八方に飛び散らす様な勢いを持つ。
「…ァァァ!明花!!ま、まだ、魔幻となった僕の勇姿、君には、見せてないのにィィィ!」
魔幻とくしは、歯を食いしばり、明花の風の魔法を堪え忍ぼうと、身を屈める。
「…そのままだと、死んじゃうよ!?」
明花は、魔幻とくしに警告する。
「ふ、ふ、それは、違う…」
「とくし君…?」
魔幻とくしの2つの閉じた瞼が徐々に上がり、目を開こうとしている。
「僕わぁ、幼い頃に親から捨てられ、施設で育った。こんな僕にも、触らずに物を動かしたり、割ったり、不思議な力があって、これが僕のぉ、人より劣っていないって思える瞬間なのさァ!そんな僕が、こんな事くらいで、負けるはずが、ない!」
魔幻とくしの2つの目が見開き、それと同時に、口から著しく発達して伸びていく犬歯は、大型肉食獣の様な牙となり、口の外に剥き出しになる。
彼は、まとわりつく風魔法を、咆哮と共に、己の魔力を一気に増幅させ、かき消した。
「僕わぁ、大きな魔力というものを手に入れるために、無理矢理、目を塞がれていたんだ。その時は絶望したけど、再び目が見える様になった時は、今まで感じた事のない、爽快な気分になったよ!!邪魔なものは消し、手に入れたいものは、手に入れる!それができるのが、この僕…」
「魔幻とくしィィィ、ダァだぁあぁ!」
魔幻とくしは、身体の中の骨をポキポキと鳴らし、体格を1.5倍増しにしていく。
『明花、こいつの魔力…!膨れ上がってきた。それでも、まだ貴女の力には敵わないはず。落ち着いて、対応…』
メデナリンジェの心の声が、全て届く前に、魔幻とくしが、明花に声を上げて突撃してきた。
一歩より二歩目、二歩目より三歩目、魔幻とくしの地を蹴り、駆け寄る速さは、伸びる様に上がっていく。その速さに、明花はタイミングを合わせられないでいた。
腰が引けた状態で、魔幻とくしの突撃を受ける明花。魔法戦闘服の覆われていないお腹に、勢いのついた魔幻とくしの頭突きを食らい、吹き飛ばされていく。
魔法戦闘服で覆われていない肌を直接攻撃されていても、自動魔法防御が身体全体のどの箇所に対しても働くため、魔幻とくしの攻撃は、明花には大して利いていない。
しかし、魔幻とくしの突撃をまともに食らって頭を大きく揺らされた明花は、意識を朦朧とさせていた。
「あ…ぅ…」
『明花!!』
明花は落下時、しゃがんだ様な格好で両足を着き、尻餅をつく。そして、地面に背中をついて、そのまま気を失ってしまった。
64
本編から少し離れた番外編『魔力を持たずに生まれてきた私の日常』が連載中です
基本的にほのぼの続きます
お話のリクエストも受け付けております
どうぞお立ち寄りくださいませ
↓↓↓↓
『魔力を持たずに生まれてきた私の日常』へはこちらをクリック
基本的にほのぼの続きます
お話のリクエストも受け付けております
どうぞお立ち寄りくださいませ
↓↓↓↓
『魔力を持たずに生まれてきた私の日常』へはこちらをクリック
お気に入りに追加
8,461
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(182件)
あなたにおすすめの小説
「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?
白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。
「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」
精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。
それでも生きるしかないリリアは決心する。
誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう!
それなのに―……
「麗しき私の乙女よ」
すっごい美形…。えっ精霊王!?
どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!?
森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。

【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行「婚約破棄ですか? それなら昨日成立しましたよ、ご存知ありませんでしたか?」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
「アリシア・フィルタ貴様との婚約を破棄する!」
イエーガー公爵家の令息レイモンド様が言い放った。レイモンド様の腕には男爵家の令嬢ミランダ様がいた。ミランダ様はピンクのふわふわした髪に赤い大きな瞳、小柄な体躯で庇護欲をそそる美少女。
対する私は銀色の髪に紫の瞳、表情が表に出にくく能面姫と呼ばれています。
レイモンド様がミランダ様に惹かれても仕方ありませんね……ですが。
「貴様は俺が心優しく美しいミランダに好意を抱いたことに嫉妬し、ミランダの教科書を破いたり、階段から突き落とすなどの狼藉を……」
「あの、ちょっとよろしいですか?」
「なんだ!」
レイモンド様が眉間にしわを寄せ私を睨む。
「婚約破棄ですか? 婚約破棄なら昨日成立しましたが、ご存知ありませんでしたか?」
私の言葉にレイモンド様とミランダ様は顔を見合わせ絶句した。
全31話、約43,000文字、完結済み。
他サイトにもアップしています。
小説家になろう、日間ランキング異世界恋愛2位!総合2位!
pixivウィークリーランキング2位に入った作品です。
アルファポリス、恋愛2位、総合2位、HOTランキング2位に入った作品です。
2021/10/23アルファポリス完結ランキング4位に入ってました。ありがとうございます。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」

大公殿下と結婚したら実は姉が私を呪っていたらしい
Ruhuna
恋愛
容姿端麗、才色兼備の姉が実は私を呪っていたらしい
そんなこととは知らずに大公殿下に愛される日々を穏やかに過ごす
3/22 完結予定
3/18 ランキング1位 ありがとうございます

出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です
流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。
父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。
無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。
純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。

公爵令息様を治療したらいつの間にか溺愛されていました
Karamimi
恋愛
マーケッヒ王国は魔法大国。そんなマーケッヒ王国の伯爵令嬢セリーナは、14歳という若さで、治癒師として働いている。それもこれも莫大な借金を返済し、幼い弟妹に十分な教育を受けさせるためだ。
そんなセリーナの元を訪ねて来たのはなんと、貴族界でも3本の指に入る程の大貴族、ファーレソン公爵だ。話を聞けば、15歳になる息子、ルークがずっと難病に苦しんでおり、どんなに優秀な治癒師に診てもらっても、一向に良くならないらしい。
それどころか、どんどん悪化していくとの事。そんな中、セリーナの評判を聞きつけ、藁をもすがる思いでセリーナの元にやって来たとの事。
必死に頼み込む公爵を見て、出来る事はやってみよう、そう思ったセリーナは、早速公爵家で治療を始めるのだが…
正義感が強く努力家のセリーナと、病気のせいで心が歪んでしまった公爵令息ルークの恋のお話です。

王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」

公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。
木山楽斗
恋愛
弱小貴族で、平民同然の暮らしをしていたルリアは、両親の死によって、遠縁の公爵家であるフォリシス家に引き取られることになった。位の高い貴族に引き取られることになり、怯えるルリアだったが、フォリシス家の人々はとても良くしてくれ、そんな家族をルリアは深く愛し、尊敬するようになっていた。その中でも、義兄であるリクルド・フォリシスには、特別である。気高く強い彼に、ルリアは強い憧れを抱いていくようになっていたのだ。
時は流れ、ルリアは十六歳になっていた。彼女の暮らす国では、その年で魔法学校に通うようになっている。そこで、ルリアは、兄の学園に通いたいと願っていた。しかし、リクルドはそれを認めてくれないのだ。なんとか理由を聞き、納得したルリアだったが、そこで義妹のレティが口を挟んできた。
「お兄様は、お姉様を共学の学園に通わせたくないだけです!」
「ほう?」
これは、ルリアと義理の家族の物語。
※基本的に主人公の視点で進みますが、時々視点が変わります。視点が変わる話には、()で誰視点かを記しています。
※同じ話を別視点でしている場合があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
もう二年が経ちました。連載は中止ですか?お答え頂けたら幸いです。とても面白い作品でしたので、更新されないのが悲しいです。
続き読みたいです!
宜しくお願い致します。
続きはありますか?
楽しみにしています。