婚約破棄、喜んでお受けします。わたくしは隣国で幸せになりますので

しおの

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番外編

sideアーティ6

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sideアーティ6
 いよいよ年度末のパーティが近づいてきた。本当なら婚約破棄した瞬間に攫ってしまいたかったけど、彼女は自分の家とも縁を切りたい、そう言っていた。なら、その後で迎えにいくことにするか。
 一応、レオンにも伝えておいたが、最後に挨拶する機会を設けてほしいと言われた。おそらく陛下や王妃も来るだろうと。あまり人数が多いと場所の選定も大変なのでその辺は念を押しておいたが。多分、オリーブとブライアンも会いたがるだろうな。声をかけておこうか。
 こうしてパーティが始まった。アリアの予想通りイアンは婚約破棄を申し出、それをアリアがすんなりと受け入れた。その後は何かイアンが言っていたが全て論破されただただ恥をかいただけ。
 周りも既に察していたのか呆れた様子で見ていたよ。まず登場の時点で学園の生徒でもない全く無関係なものを入れていたんだから当たり前だよな。それにあまりに毎日遊び歩くもんだから既に分かりきっているものでもあるし。
 アリアがスタスタと去っていったことで、足をすすめていた周りの男性陣は彼女を引き止める暇もなく肩を落としていたが。



 屋敷へと戻ったアリアを迎えるべく馬車で待機する。早く、来ないかな。これでもう、イアンの婚約者という枷は外れた。この気持ちを我慢する必要はない。
 案の定驚いていたアリアと共に彼女の別荘へと向かう。別荘には彼女と最後に話をしたいものを集めてある。どんな顔をするんだろうか。
 彼女の別荘に着くと集まったみんなで出迎えてくれた。なぜ? ってアリアは驚いていたが、話をしておいでと促す。待っている間、ブライアンとオリーブと話をしていた。二人にはどうやら僕がアリアのことを気に入っていると初めてあった時に気づいたらしい。そんなに態度に出ていたのかと思うと少し恥ずかしい。
 それから二人には一足先に僕のことを話しておいた。驚いてはいたけど、どうりで大人っぽいと思ったと納得されたほど。そんなに子供らしくなかったか?
 それから、アリアのこと、よろしくねと言われ、力強く頷いた。それからみんなと話終えたアリアが戻ってきてパーティ状態となった。王族のはずの陛下とレオンはベロベロに酔っ払ってたよ。レオンはわかるんだがなぜ陛下まで? と思ったがまあ、いいだろう。
 騒がしい御一行が帰った後からはもう止まらなかった。婚約者のいないアリアを思う存分口説き始める。真っ赤になってどうしていいかわからずおどおどする可愛いアリアをたくさん眺めたくて少しやりすぎてしまったけど。
 今までずっと待っていたんだ。これくらい許してほしい。それにそう言う言葉に慣れていないアリアも悪い。いちいち反応が可愛いんだから。
 こうして無事にアリアを隣国へと連れてくることに成功したのだった。



 それから海に連れて行き、自分のことを話しプロポーズした。彼女は真っ赤になりながら了承してくれたよ。さっそく王宮へ連れていって父上と母上へ挨拶をしにいった。二人ともニヤニヤしていて少し癪に触ったが、まあいい。
 それからエリーゼとあった。あ、エリーゼというのは僕の妹だ。レオンの婚約者でもある。まあ、あいつのせいでちょっと素直じゃなくなってしまったが、裏ではとてもしっかりしている。それを城のみんなもわかっているから、暖かい目で見守っているんだが。そろそろ隣国へ嫁がないといけないから直さないといけないんだが……
 アリアは少しびっくりしていたようだが、レオンの婚約者と気づくとなんだか納得したようだった。
 それから母上に呼び出された。
「アリアさん、どうしたらお城に馴染めるかしら。やっぱりこの国伝統の苦情処理係でもやってもらう?」
「ああ、あれですか。城中がピンク色になるあの」
「そうそう。城のみんなと関われるし、いいんじゃないかなって。向こうと違ってお仕事というほどでもないし、中を知るにはちょうどいいってお義母様にも言われて私もやったもの」
「いいんじゃないでしょうか。それにこの国のことをもっと知ってもらいたい」
 どうやら母上も乗り気のようだ。この国に受け入れてもらえるだろう。それに事前に向こうでの様子をこの国を支えてくれている家臣たちが様子見に行った際の様子を話してからというもの早く連れてこいという催促がすごかったのだ。手回ししようと思ったがどうやらその必要もないくらい皆がアリアを気に入ってくれている。
 さすが僕の選んだ女性だ。それだけで誇らしい。

 
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