40 / 49
40
しおりを挟む
40
それから数ヶ月後、わたくしのつわりが落ち着いた頃に結婚式を挙げた。ドレスを作ってくれる方には大変な迷惑をかけてしまったわ……
サイズが変わってしまって、さらに妊婦ということで生地の軽量化や伸びの良い素材を使ったりといろいろに工夫してくださったの。
結婚式にはお父様とわたくしの義弟となる男の子も招待させてもらったわ。お父様も初めは遠慮していたんだけれど来てくれて、義弟を紹介してくれたの。とてもしっかりした子で、どことなくお父様に似ているのよね。
それから、お父様の顔つきもすっかり変わっていたわ。げっそりしているとかそういうわけじゃなくて、浮気性の気もなくなっていて、普通の素敵な男性になっていたのよね。
「おめでとう。そしてこんな私を招待してくれてありがとう」
「おめでとうございます! とても綺麗です!」
「ありがとう。お父様も変わられましたね。これからも頑張ってくださいね」
「ああ、アリアのおかげで目が覚めたよ。今この子と出会えて幸せだよ。アリアも幸せにな」
いろいろあったけれど、少しだけ本当の親子になれた気がするわ。
「アリア! 綺麗だな。おめでとう」
「おめでとう。あなたが幸せそうで私嬉しいわ」
「おめでとうアリア。幸せにな」
伯母様と伯父様、今はお義母様とお義父様だけれど、それとネルトも笑顔で祝福してくれたわ。お義母様ったら涙を流して喜んでくれて、わたくしまで涙でいっぱいになってしまったわ。
「ありがとう。お義母様やお義父様、ネルトのおかげでわたくしも幸せになれたのです。本当に感謝してもしきれませんわ」
「アリアー!」
「こら、走るな!」
向こうから元気に走ってくるのはオリーブ、そのオリーブを追いかけるブライアン。久しぶりにあったけれど本当に変わらないわ。
「あら、オリーブ。体は平気なの?」
「ええ! 丈夫だけが取り柄だもの」
「子供もいるんだからあまり驚かせるなよ」
「あら、でも泣いてないじゃない。むしろ喜んでるわよ?」
どうやらわたくしが去った後すぐに籍を入れたみたい。まだ学生だけれど、女性で結婚や妊娠を期に学園を中退する方もしばしばいるのよね。オリーブは元々教育もしっかり受けているし好きな商売がしたいということで籍を入れた時に退学したみたい。
それから子供を授かったんですって。
「アリアのお腹大きくなったねぇ。元気に育っているみたいでよかったわ。またしばらくは会えないけれど、お手紙かくね!」
「ありがとうオリーブ。ブライアンもありがとう」
「いいよ。俺だって楽しみにしてたんだから」
「こら、お前ら。あまりアリアを独占しないでくれる?」
後ろからわたくしを抱きしめながらアーティは嬉しそうに二人に話しかけている。口ではそう言っているけれど嬉しいんでしょうね。
「アーサーもおめでとう!」
「ありがとう」
本当は夜会もあるんだけれど、わたくしは妊婦ということでアーティだけが参加になった。部屋へ戻るとカリンと御者のマルスが二人並んで立っていて驚いてしまったわ。
「あら、二人でどうしたの?」
「俺たち、婚約したんです。お嬢には伝えておきたくて」
「まあ! 全然気づかなかったわ。おめでとう!」
「ありがとうございます」
何事かと思ったけれどわたくしが思っていた以上に嬉しい報告に頬が緩む。おめでたい報告がいっぱいで嬉しいわね。
二人が頭を下げて退室した後は、レオン王太子殿下と真っ赤な顔のエリザベス様。ガッチリと肩を掴まれて逃げれなかったのね……
「疲れているところ悪いね。どうしても挨拶したくて」
「いいえ、大丈夫ですよ。今日は調子もいいですし」
「おめでとう。本当にいろいろと世話になった。幸せにね」
「お義姉様! おめでとうございます。あんな兄ですけどよろしくお願いします」
「ありがとう。あなた方も幸せそうね」
肩を抱かれていて逃げられないのかと思ったらどうやらそうじゃないみたい。むしろエリザベス様の方からくっついているようにも見えるわ。進展があったみたいね。
今日は本当ならば初夜ではあるけれど妊婦なのでそれもないわね。少し眠くなったし横になろうかしら……
そう思った時、アーティが帰ってきたわ。顔は真っ赤になっていてふらふら歩いている。
これ、飲みすぎかしら……? 彼にしては珍しいわね。
アーティはぎゅっとわたくしを抱きしめてそのままベッドへ運んでくれる。横向きで寝ているわたくしを後ろから抱きしめ何かを呟いているわ。何かしら……
「僕は、世界一、幸せだ……大好きな、人と、結婚できて、子供、まで、授かって、幸せだ……愛してるよ、アリア」
とてもとても満たされる。暖かい彼の体温に包まれるこの時間が心地いい。
「わたくしも幸せよ。愛してるわ、アーティ」
聞こえているかも翌朝覚えているかもわからないけれど、今のわたくしの気持ちをどうしても伝えたくなってしまったわ。たまにしゅんとするところもやればちゃんとできるところも全部好きよ。
この幸せが続きますように、そう願いながら瞼を閉じた。
それから数ヶ月後、わたくしのつわりが落ち着いた頃に結婚式を挙げた。ドレスを作ってくれる方には大変な迷惑をかけてしまったわ……
サイズが変わってしまって、さらに妊婦ということで生地の軽量化や伸びの良い素材を使ったりといろいろに工夫してくださったの。
結婚式にはお父様とわたくしの義弟となる男の子も招待させてもらったわ。お父様も初めは遠慮していたんだけれど来てくれて、義弟を紹介してくれたの。とてもしっかりした子で、どことなくお父様に似ているのよね。
それから、お父様の顔つきもすっかり変わっていたわ。げっそりしているとかそういうわけじゃなくて、浮気性の気もなくなっていて、普通の素敵な男性になっていたのよね。
「おめでとう。そしてこんな私を招待してくれてありがとう」
「おめでとうございます! とても綺麗です!」
「ありがとう。お父様も変わられましたね。これからも頑張ってくださいね」
「ああ、アリアのおかげで目が覚めたよ。今この子と出会えて幸せだよ。アリアも幸せにな」
いろいろあったけれど、少しだけ本当の親子になれた気がするわ。
「アリア! 綺麗だな。おめでとう」
「おめでとう。あなたが幸せそうで私嬉しいわ」
「おめでとうアリア。幸せにな」
伯母様と伯父様、今はお義母様とお義父様だけれど、それとネルトも笑顔で祝福してくれたわ。お義母様ったら涙を流して喜んでくれて、わたくしまで涙でいっぱいになってしまったわ。
「ありがとう。お義母様やお義父様、ネルトのおかげでわたくしも幸せになれたのです。本当に感謝してもしきれませんわ」
「アリアー!」
「こら、走るな!」
向こうから元気に走ってくるのはオリーブ、そのオリーブを追いかけるブライアン。久しぶりにあったけれど本当に変わらないわ。
「あら、オリーブ。体は平気なの?」
「ええ! 丈夫だけが取り柄だもの」
「子供もいるんだからあまり驚かせるなよ」
「あら、でも泣いてないじゃない。むしろ喜んでるわよ?」
どうやらわたくしが去った後すぐに籍を入れたみたい。まだ学生だけれど、女性で結婚や妊娠を期に学園を中退する方もしばしばいるのよね。オリーブは元々教育もしっかり受けているし好きな商売がしたいということで籍を入れた時に退学したみたい。
それから子供を授かったんですって。
「アリアのお腹大きくなったねぇ。元気に育っているみたいでよかったわ。またしばらくは会えないけれど、お手紙かくね!」
「ありがとうオリーブ。ブライアンもありがとう」
「いいよ。俺だって楽しみにしてたんだから」
「こら、お前ら。あまりアリアを独占しないでくれる?」
後ろからわたくしを抱きしめながらアーティは嬉しそうに二人に話しかけている。口ではそう言っているけれど嬉しいんでしょうね。
「アーサーもおめでとう!」
「ありがとう」
本当は夜会もあるんだけれど、わたくしは妊婦ということでアーティだけが参加になった。部屋へ戻るとカリンと御者のマルスが二人並んで立っていて驚いてしまったわ。
「あら、二人でどうしたの?」
「俺たち、婚約したんです。お嬢には伝えておきたくて」
「まあ! 全然気づかなかったわ。おめでとう!」
「ありがとうございます」
何事かと思ったけれどわたくしが思っていた以上に嬉しい報告に頬が緩む。おめでたい報告がいっぱいで嬉しいわね。
二人が頭を下げて退室した後は、レオン王太子殿下と真っ赤な顔のエリザベス様。ガッチリと肩を掴まれて逃げれなかったのね……
「疲れているところ悪いね。どうしても挨拶したくて」
「いいえ、大丈夫ですよ。今日は調子もいいですし」
「おめでとう。本当にいろいろと世話になった。幸せにね」
「お義姉様! おめでとうございます。あんな兄ですけどよろしくお願いします」
「ありがとう。あなた方も幸せそうね」
肩を抱かれていて逃げられないのかと思ったらどうやらそうじゃないみたい。むしろエリザベス様の方からくっついているようにも見えるわ。進展があったみたいね。
今日は本当ならば初夜ではあるけれど妊婦なのでそれもないわね。少し眠くなったし横になろうかしら……
そう思った時、アーティが帰ってきたわ。顔は真っ赤になっていてふらふら歩いている。
これ、飲みすぎかしら……? 彼にしては珍しいわね。
アーティはぎゅっとわたくしを抱きしめてそのままベッドへ運んでくれる。横向きで寝ているわたくしを後ろから抱きしめ何かを呟いているわ。何かしら……
「僕は、世界一、幸せだ……大好きな、人と、結婚できて、子供、まで、授かって、幸せだ……愛してるよ、アリア」
とてもとても満たされる。暖かい彼の体温に包まれるこの時間が心地いい。
「わたくしも幸せよ。愛してるわ、アーティ」
聞こえているかも翌朝覚えているかもわからないけれど、今のわたくしの気持ちをどうしても伝えたくなってしまったわ。たまにしゅんとするところもやればちゃんとできるところも全部好きよ。
この幸せが続きますように、そう願いながら瞼を閉じた。
65
お気に入りに追加
4,128
あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。

冤罪から逃れるために全てを捨てた。
四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる