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「相手の名前は?」
「はっ、ハイド様ですっ」
少し考え込んだアーティはわたくしにそっと耳打ちする。
「多分うまくいくと思うよ」
首を傾げながらもアーティに彼を呼び出してもらい、わたくし達は彼らから見えない位置に隠れる。なんだか人の告白シーンを見るなんてドキドキするわね。
女の子は緊張で真っ赤になっているし騎士の子は気まずそうにしているわ。本当に大丈夫なのかしら……
「あの、ずっと好きでした。付き合ってください!」
よく言ったわ! 素晴らしい勇気ね。それだけで百点満点よっ。
「あ、はい、お願いします……」
騎士の子はなんだか変な感じね。けれど、浮気症な感じでもなさそうだし、大丈夫な人だとは思うのだけれど。
二人なんだかぎこちないけれど、どことなく幸せそうでよかったのかしら。
「ねえ、あの騎士の子大丈夫?」
「ああ、あれは前からあの子のことが気になってたみたいだよ。最近は好きすぎて辛いって言ってたから大丈夫だとは思うけど」
ああ、そういう感じなのね……わたくしやエリザベス様みたいな感じかしら。あら、そういえばエリザベス様は大丈夫かしら。
自室に戻り、まったりしていると勢いよくドアが開かれる。驚いてドアの方を見るとそこには真っ赤になったエリザベス様。
あらあら、また逃げてきたのかしら……
「アリアお義姉様ぁ、助けてぇ……」
「どうしたの?」
バンっとさらに扉が開かれる。
「エリー? 僕のこと知りたいって言ったからたくさん話してあげたのに、どうして逃げるの?」
「きゃあっ。助けてお義姉様ぁ」
まあ、どうしてこうなっているのかしら……お話しに行ったと思っていたんだけれど。
「とりあえず、どうしましょう……王太子殿下、アーティのところで待っててもらってもいいかしら?」
「しょうがないね。少しだけだよ」
とりあえず退室していただけたけれど……
「どうしたの?」
「だって、だって、レオンがぁ。私の好きなところをどんどん上げていくからだんだん恥ずかしくなって……」
「ああ……それは、恥ずかしくなるわね。でも、婚約しているんでしょう? いずれはずっと一緒にいないといけないからそこは慣れて行かないとね」
「うっ、わかってるけど……」
「わたくしも偉そうなことは言えないけれど、慣れよ。それにエリザベス様は可愛いもの。王太子殿下があんなにいうのもわかるわ」
「本当?」
ああ、小首を傾げてかわいいわっ。もうね、小動物を見ているようなかわいらしさよ。
「ほら、その仕草もとてもかわいいわ。だからね、そこはありがとうって思うようにしてみたらいいと思うの。逃げちゃうのはちょっと直した方がいいわね」
「う、努力します……」
「さ、呼んでくるわね。逃げちゃダメよ?」
隣の部屋へ行きレオン王太子殿下に声をかけにいく。レオン王太子殿下はそれはそれは綺麗な笑顔で迎えに行ったわ。かんばってとしか言えないけれど、きっと悪い方向へは進まないと思うの。
「妹が迷惑かけたね。ごめん」
「いえ、可愛らしい方ですもの。うまくいくといいんですけれど」
「レオンは器用だから大丈夫だよ」
また後ろから抱きしめられながらあちこち舐められる。もう本当こういうところまで犬ねっ。
「……わたくし、朝とてもお腹が空いてしまいましたの。食事はちゃんと取らせてくださいな」
ピシャリというと、耳を垂れて悲しそうな顔をする。もう、そんな顔してもダメよっ。食事を抜いたら体に悪いもの。
「ごめん……」
今日はわかってくれたみたいで食事は取らせてもらえたんだけれど……湯浴みはさせてもらえなかったわ。
どうせ汚れるでしょうなんて言われてしまって、また何回もしてしまったわ。
本当どうしたらいいのかしら……
案の定次の日は起き上がれなくてお仕事はお休みさせてもらったわ……
そしてわたくしのお仕事をアーティが代わりにやらされているみたい。というかここ最近彼は学園が終わったらすぐにわたくしのところに来ているけれど、ちゃんとお仕事しているのかしら……
その日アーティはわたくしがベッドに入ってから帰ってきたみたい。全然気づかなかったわ。昨日の寝不足分もあってぐっすりだったもの。
そう言ったら彼はちょっと拗ねていたけれど。どうやら王妃様と陛下からお叱りを受けたみたい。どうやら彼は学園の授業を全て休んで仕事をしていたみたい。どうしてもの公務の時と午後の授業は免除されているけれど、それ以外は必ずいくようにと約束していたみたいなのよね……
ということは、仕事を早く終わらせるために授業をサボったのね。道理でずっとわたくしのそばにいるわけだわ。
「アーティ? お話があるのですけれど、向かい側に座ってくださる?」
今日の分の仕事は全力で終わらせたみたいで、すでにわたくしの後ろに陣取っているのだけれど。今日は真面目なお話をしないと。
拗ねていたけれど、わたくしはキッと睨みつけ、向こうへ座るように促す。
「お仕事、ちゃんとしていなかったんですって?」
「……してたけど、早くアリアに会いたかったからサボりました」
その言葉に大きなため息をつく。どうやら彼は恋愛にのめり込むタイプみたいね。でも彼は王太子なのよ?
こんなんで皺寄せがいくのは国民よっ。
「あなたはこの国の王太子殿下ですわよね? そんな理由でやるべきことをサボってもいいと思っていらっしゃる?」
「……すみません」
「わたくしに会いにきてくださるのは嬉しいけれど、ちゃんとやるべきことをやっていただきたいのです。見損ないましたわ……」
彼の目に涙が溜まって行ってうるうるしてしまう。可哀想になってしまって思わずやめようかとも思ったけれど、王妃様からも言われていますし……
「仕事をしっかりとこなしている男性が好きです。ちゃんとお仕事とプライベートを分けてくださっている方が好きです」
「はい……」
しゅんとする彼はなんだかかわいい。それにちゃんと反省しているみたい。
「よろしいかしら」
「……もうしません」
それから二人仲良くベッドへ入る。ついてに回数についても言及しておいたわ。わたくしの仕事に支障が出るんだもの……
「相手の名前は?」
「はっ、ハイド様ですっ」
少し考え込んだアーティはわたくしにそっと耳打ちする。
「多分うまくいくと思うよ」
首を傾げながらもアーティに彼を呼び出してもらい、わたくし達は彼らから見えない位置に隠れる。なんだか人の告白シーンを見るなんてドキドキするわね。
女の子は緊張で真っ赤になっているし騎士の子は気まずそうにしているわ。本当に大丈夫なのかしら……
「あの、ずっと好きでした。付き合ってください!」
よく言ったわ! 素晴らしい勇気ね。それだけで百点満点よっ。
「あ、はい、お願いします……」
騎士の子はなんだか変な感じね。けれど、浮気症な感じでもなさそうだし、大丈夫な人だとは思うのだけれど。
二人なんだかぎこちないけれど、どことなく幸せそうでよかったのかしら。
「ねえ、あの騎士の子大丈夫?」
「ああ、あれは前からあの子のことが気になってたみたいだよ。最近は好きすぎて辛いって言ってたから大丈夫だとは思うけど」
ああ、そういう感じなのね……わたくしやエリザベス様みたいな感じかしら。あら、そういえばエリザベス様は大丈夫かしら。
自室に戻り、まったりしていると勢いよくドアが開かれる。驚いてドアの方を見るとそこには真っ赤になったエリザベス様。
あらあら、また逃げてきたのかしら……
「アリアお義姉様ぁ、助けてぇ……」
「どうしたの?」
バンっとさらに扉が開かれる。
「エリー? 僕のこと知りたいって言ったからたくさん話してあげたのに、どうして逃げるの?」
「きゃあっ。助けてお義姉様ぁ」
まあ、どうしてこうなっているのかしら……お話しに行ったと思っていたんだけれど。
「とりあえず、どうしましょう……王太子殿下、アーティのところで待っててもらってもいいかしら?」
「しょうがないね。少しだけだよ」
とりあえず退室していただけたけれど……
「どうしたの?」
「だって、だって、レオンがぁ。私の好きなところをどんどん上げていくからだんだん恥ずかしくなって……」
「ああ……それは、恥ずかしくなるわね。でも、婚約しているんでしょう? いずれはずっと一緒にいないといけないからそこは慣れて行かないとね」
「うっ、わかってるけど……」
「わたくしも偉そうなことは言えないけれど、慣れよ。それにエリザベス様は可愛いもの。王太子殿下があんなにいうのもわかるわ」
「本当?」
ああ、小首を傾げてかわいいわっ。もうね、小動物を見ているようなかわいらしさよ。
「ほら、その仕草もとてもかわいいわ。だからね、そこはありがとうって思うようにしてみたらいいと思うの。逃げちゃうのはちょっと直した方がいいわね」
「う、努力します……」
「さ、呼んでくるわね。逃げちゃダメよ?」
隣の部屋へ行きレオン王太子殿下に声をかけにいく。レオン王太子殿下はそれはそれは綺麗な笑顔で迎えに行ったわ。かんばってとしか言えないけれど、きっと悪い方向へは進まないと思うの。
「妹が迷惑かけたね。ごめん」
「いえ、可愛らしい方ですもの。うまくいくといいんですけれど」
「レオンは器用だから大丈夫だよ」
また後ろから抱きしめられながらあちこち舐められる。もう本当こういうところまで犬ねっ。
「……わたくし、朝とてもお腹が空いてしまいましたの。食事はちゃんと取らせてくださいな」
ピシャリというと、耳を垂れて悲しそうな顔をする。もう、そんな顔してもダメよっ。食事を抜いたら体に悪いもの。
「ごめん……」
今日はわかってくれたみたいで食事は取らせてもらえたんだけれど……湯浴みはさせてもらえなかったわ。
どうせ汚れるでしょうなんて言われてしまって、また何回もしてしまったわ。
本当どうしたらいいのかしら……
案の定次の日は起き上がれなくてお仕事はお休みさせてもらったわ……
そしてわたくしのお仕事をアーティが代わりにやらされているみたい。というかここ最近彼は学園が終わったらすぐにわたくしのところに来ているけれど、ちゃんとお仕事しているのかしら……
その日アーティはわたくしがベッドに入ってから帰ってきたみたい。全然気づかなかったわ。昨日の寝不足分もあってぐっすりだったもの。
そう言ったら彼はちょっと拗ねていたけれど。どうやら王妃様と陛下からお叱りを受けたみたい。どうやら彼は学園の授業を全て休んで仕事をしていたみたい。どうしてもの公務の時と午後の授業は免除されているけれど、それ以外は必ずいくようにと約束していたみたいなのよね……
ということは、仕事を早く終わらせるために授業をサボったのね。道理でずっとわたくしのそばにいるわけだわ。
「アーティ? お話があるのですけれど、向かい側に座ってくださる?」
今日の分の仕事は全力で終わらせたみたいで、すでにわたくしの後ろに陣取っているのだけれど。今日は真面目なお話をしないと。
拗ねていたけれど、わたくしはキッと睨みつけ、向こうへ座るように促す。
「お仕事、ちゃんとしていなかったんですって?」
「……してたけど、早くアリアに会いたかったからサボりました」
その言葉に大きなため息をつく。どうやら彼は恋愛にのめり込むタイプみたいね。でも彼は王太子なのよ?
こんなんで皺寄せがいくのは国民よっ。
「あなたはこの国の王太子殿下ですわよね? そんな理由でやるべきことをサボってもいいと思っていらっしゃる?」
「……すみません」
「わたくしに会いにきてくださるのは嬉しいけれど、ちゃんとやるべきことをやっていただきたいのです。見損ないましたわ……」
彼の目に涙が溜まって行ってうるうるしてしまう。可哀想になってしまって思わずやめようかとも思ったけれど、王妃様からも言われていますし……
「仕事をしっかりとこなしている男性が好きです。ちゃんとお仕事とプライベートを分けてくださっている方が好きです」
「はい……」
しゅんとする彼はなんだかかわいい。それにちゃんと反省しているみたい。
「よろしいかしら」
「……もうしません」
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