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王宮についてからはそのまま部屋へ案内される。その途中で王妃様と会ったのだけれど、わたくしとアーティをニヤニヤして見ていて「ふふっ、うまくいったみたいねぇ」なんて言われて恥ずかしかったわ……
あれはきっと致したことまでバレているわね……
部屋についてからはアーティとお茶をして、食事も部屋へ運んでもらったの。そのまま食事も二人で食べる。食事まで食べさせようとしてくるものだから流石に拒否したわ。がっくり肩を落としていて、なんだか実家で飼っていた犬みたい。
思わず頭を撫でてあげるとガバッと顔を上げて笑顔で抱きついてくる。うん、失礼かもしれないけれど犬だわ……
「さ、寝よう」
わたくしは自分の寝室の方へ行こうと思ったのだけれど、彼に手を握られて反対方向へ連れて行かれたわ。一つ扉をくぐると大きなベッドだけがドンと置いてあるわ……
一緒に寝ることは確定なのね。
先に彼がベッドに横になって上掛けをはいでぽんぽんと横を叩く。う、ここに来いということね……
ブンブンと大きく揺れているしっぽが見えるわ……疲れているのかしら。
諦めて彼の横に横たわるとぎゅっと抱きしめられる。彼の香りに包まれてなんだか安心する。そのまますっと眠りについた。
昨日と同じ光景にもうすでに慣れてしまっていて、むしろ隣にいてくれることが安心する。なんだか変な感覚だわ。
むくりと起き上がり隣にいる彼に朝の挨拶をしてから自室へ戻る。
部屋にはカリンが来ていて、朝の支度を手伝ってくれたの。どうやらカリンはそのままわたくしの専属侍女になれるよう話してくれたみたい。それから今日の予定を聞く。王妃様とのお茶会の後、エリザベス王女とのお茶会があるみたい。なかなか忙しいわね……
王太子妃の教育は明日から始まると聞いているの。と言っても向こうで受けてはいるのでこの国の歴史やしきたり、他国との関係性を教えてもらうくらいでいいみたいだけれど。でも、アーティと結婚したら未来の王妃になるもの。今のうちにしっかり覚えておかなくちゃ。
「昨日ぶりね。なんだかすっかり大人びちゃって。やあねぇ」
第三者から指摘されるとものすごく恥ずかしいわ。それも王妃様からだなんて……
「ふふ。かわいいわねぇ。あ、そうそう、アリアさんにお仕事をお願いしようと思ってねぇ。いいかしら?」
「わたくしにできることでしたらなんでも」
「この国でもね、嘆願書を処理する係をしていただきたいのよ。ぜひあなたにと推薦状ももらっているの」
どうやらわたくしがイーリス国にいる時に貴賓としてきていた方々がぜひにといってきたそうで。そう言われてしまったら断れないわね。断る気もあまりないのだけれど。
環境が落ち着いてきたことでうずうずしてしまっていたのよ。何かお仕事をしたいなって。役に立てそうでよかったわ。
「あとそれから、アリアは学園はどうする? あなたが通いたいというなら通ってもいいんだけれど、そうなると結婚は卒業してからになるのよね。アーサーはそんなに待てないと駄々をこねているし、それにあなたたち仲が良さそうだもの。先に子ができてしまいそうで心配なのよ」
子って……子って!
いや確かに、そうかもしれないけれどっ。すでに体の関係はあるし、あの一回で子を孕んでしまっているかもしれない。可能性は、否定できないわ……
「うっ、そう、ですね……」
「アーティは別に学園にいるうちに結婚しても卒業はできるもの。もしも子ができてしまえば学園も卒業できないものね」
「ふふっ。じゃあ、学園は通わないということでいいのね?」
「はい。大丈夫です」
向こうでも学園へ通っていたけれど、すでに習得済みのものを復習しているだけだったものね。一緒に学園へ通ったらそれはそれで楽しそうだけれど。
「それじゃあまた今度一緒にお茶を飲みましょう?」
「はい、ありがとうございます」
王妃様はとても優しくて人もできている人みたい。わたくしもこんな人になりたいわ。
そしてわたくしは次の目的地へと案内してもらう。実はわたくしの執務室をあてがってくださったみたい。
案内された執務室はソファとローテーブル、そしてわたくしについてくださる秘書官の方の分の机が置いてある。秘書官の方と挨拶を交わして、早速書類に目を通したんだけれど……
「……なんだかとても平和ですね」
「そうですね。この嘆願書の提出制度は二年前から初めていて、初めの頃は色々ありましたけど、今ではただの恋愛相談所に成り代わっております」
「まあ、心の余裕ができたいい証ですわね。この国の方々はとてものびのびと過ごされているように見受けられますもの」
「そうですね。だからこそ、この嘆願書は後回しにされがちでして……」
なるほどね。女性からの相談もそうだけれど、男性からの相談もちらほら見受けられるわ。これ、わたくしにできるのかしら……
お仕事は明日からでいいと言われているので、次の目的地へと向かう。
王宮についてからはそのまま部屋へ案内される。その途中で王妃様と会ったのだけれど、わたくしとアーティをニヤニヤして見ていて「ふふっ、うまくいったみたいねぇ」なんて言われて恥ずかしかったわ……
あれはきっと致したことまでバレているわね……
部屋についてからはアーティとお茶をして、食事も部屋へ運んでもらったの。そのまま食事も二人で食べる。食事まで食べさせようとしてくるものだから流石に拒否したわ。がっくり肩を落としていて、なんだか実家で飼っていた犬みたい。
思わず頭を撫でてあげるとガバッと顔を上げて笑顔で抱きついてくる。うん、失礼かもしれないけれど犬だわ……
「さ、寝よう」
わたくしは自分の寝室の方へ行こうと思ったのだけれど、彼に手を握られて反対方向へ連れて行かれたわ。一つ扉をくぐると大きなベッドだけがドンと置いてあるわ……
一緒に寝ることは確定なのね。
先に彼がベッドに横になって上掛けをはいでぽんぽんと横を叩く。う、ここに来いということね……
ブンブンと大きく揺れているしっぽが見えるわ……疲れているのかしら。
諦めて彼の横に横たわるとぎゅっと抱きしめられる。彼の香りに包まれてなんだか安心する。そのまますっと眠りについた。
昨日と同じ光景にもうすでに慣れてしまっていて、むしろ隣にいてくれることが安心する。なんだか変な感覚だわ。
むくりと起き上がり隣にいる彼に朝の挨拶をしてから自室へ戻る。
部屋にはカリンが来ていて、朝の支度を手伝ってくれたの。どうやらカリンはそのままわたくしの専属侍女になれるよう話してくれたみたい。それから今日の予定を聞く。王妃様とのお茶会の後、エリザベス王女とのお茶会があるみたい。なかなか忙しいわね……
王太子妃の教育は明日から始まると聞いているの。と言っても向こうで受けてはいるのでこの国の歴史やしきたり、他国との関係性を教えてもらうくらいでいいみたいだけれど。でも、アーティと結婚したら未来の王妃になるもの。今のうちにしっかり覚えておかなくちゃ。
「昨日ぶりね。なんだかすっかり大人びちゃって。やあねぇ」
第三者から指摘されるとものすごく恥ずかしいわ。それも王妃様からだなんて……
「ふふ。かわいいわねぇ。あ、そうそう、アリアさんにお仕事をお願いしようと思ってねぇ。いいかしら?」
「わたくしにできることでしたらなんでも」
「この国でもね、嘆願書を処理する係をしていただきたいのよ。ぜひあなたにと推薦状ももらっているの」
どうやらわたくしがイーリス国にいる時に貴賓としてきていた方々がぜひにといってきたそうで。そう言われてしまったら断れないわね。断る気もあまりないのだけれど。
環境が落ち着いてきたことでうずうずしてしまっていたのよ。何かお仕事をしたいなって。役に立てそうでよかったわ。
「あとそれから、アリアは学園はどうする? あなたが通いたいというなら通ってもいいんだけれど、そうなると結婚は卒業してからになるのよね。アーサーはそんなに待てないと駄々をこねているし、それにあなたたち仲が良さそうだもの。先に子ができてしまいそうで心配なのよ」
子って……子って!
いや確かに、そうかもしれないけれどっ。すでに体の関係はあるし、あの一回で子を孕んでしまっているかもしれない。可能性は、否定できないわ……
「うっ、そう、ですね……」
「アーティは別に学園にいるうちに結婚しても卒業はできるもの。もしも子ができてしまえば学園も卒業できないものね」
「ふふっ。じゃあ、学園は通わないということでいいのね?」
「はい。大丈夫です」
向こうでも学園へ通っていたけれど、すでに習得済みのものを復習しているだけだったものね。一緒に学園へ通ったらそれはそれで楽しそうだけれど。
「それじゃあまた今度一緒にお茶を飲みましょう?」
「はい、ありがとうございます」
王妃様はとても優しくて人もできている人みたい。わたくしもこんな人になりたいわ。
そしてわたくしは次の目的地へと案内してもらう。実はわたくしの執務室をあてがってくださったみたい。
案内された執務室はソファとローテーブル、そしてわたくしについてくださる秘書官の方の分の机が置いてある。秘書官の方と挨拶を交わして、早速書類に目を通したんだけれど……
「……なんだかとても平和ですね」
「そうですね。この嘆願書の提出制度は二年前から初めていて、初めの頃は色々ありましたけど、今ではただの恋愛相談所に成り代わっております」
「まあ、心の余裕ができたいい証ですわね。この国の方々はとてものびのびと過ごされているように見受けられますもの」
「そうですね。だからこそ、この嘆願書は後回しにされがちでして……」
なるほどね。女性からの相談もそうだけれど、男性からの相談もちらほら見受けられるわ。これ、わたくしにできるのかしら……
お仕事は明日からでいいと言われているので、次の目的地へと向かう。
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