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最後はブライアンとオリーブだった。二人とも少し泣きそうになっていて、こちらまでもらい泣きしそうになってしまう。
「アリア、本当に小さな頃から一緒で、化粧品の開発も一緒にできて楽しかった! これからちょっと寂しくなるけど、これからも友達だよっ」
「ああ、小さい頃から一緒だったから本当、なんていうか、うん。でもきっとこれからいいことあると思う。頑張れ」
「二人とも……ありがとう」
「また会えるでしょう? 絶対会いに行くから!」
オリーブと二人抱き合いながら涙を流す。その様子を少し寂しそうに見ているブライアンも涙を溜めているのがわかる。そうよね。今までどこかに行くことしか考えていなくて、別れのことなんて考えてなかったわ……
一気に寂しくなっちゃった……
「さ、みんな待ってるよ! パーティに行こう!」
どうやらみんなまだいるみたいでパーティをしているみたい。涙を拭って二人についていくと、すでに出来上がっている男性陣に呆れながら楽しそうに見ている王妃様。侍女のカリンも御者のマルスもみんな混ざって無礼講みたい。
よかった……
ここまで婚約破棄のためだけに動いてきたけれど、こんなにみんなが幸せそうで嬉しい。みんなの笑顔を見ているとわたくしまで笑顔になるもの。
パーティは夜更けまで続いてみんな笑い合っていて。流石にみんな馬車で帰っていったけれど、大変だったろうなぁ……陛下は泣き上戸だし、王太子殿下は笑い上戸だし、秘書官の方はなんと絡み酒で絡みまくっていたし。
ブライアンはオリーブを送らないといけないからってあまり飲んでいなかったけれど。そしてアーティはお酒に強いらしく、その様子をニコニコ眺めているし。楽しいことになっていたわ。
きっと男性陣は次の日二日酔いね……
みんなを見送った後で、アーティに呼ばれた。どうやらお話があるみたい。
「さ、座って」
彼はなぜかソファに座り両手を広げている。どういうことかしら……
戸惑っているわたくしの腕を掴み、わたくしは彼の膝の上に座らされる。え、これは、一体、どういう、こと……?
「はああぁ……やっとこれで堂々とアリアを口説ける」
「……はい?」
ど、どういうことかしら……なんでこんなことになっているの?
イアン殿下、あ、今は違うわね、彼という婚約者がいたからこそかかっていたストッパーが一気に外れる。
心臓がうるさい……顔が熱い……恥ずかしい……
「これでアリアはフリーでしょう? あのパーティで婚約破棄と宣言された後すでに数人の男が君に向かっていったのを見て焦ったよ。君は魅力的だからね」
う、ドキドキしすぎて思考回路がパンクしているわっ。ど、どういうことかしら……
やだ、訳がわからなくなってきたわっ。
「早く僕のところに落ちてきてね」
もう何も考えられなくて、しばらくの間フリーズしてしまったわ……
いつの間にかベッドにちゃんと寝ていたけれど、きっとアーティが運んでくれたんでしょうね。
ああ、なんだかとっても気まずいわ……
どうしたらいいのかしら……
まともに顔も見れないかもしれない。ううっ。
どうも今まで浮気癖のある人としか付き合ったことがないから、まともな人? との向き合い方がわからなくて戸惑ってしまう。
誰か教えてぇっ。
起きた時からそんな感じでアワアワするわたくしを見て笑うアーティが少し憎たらしいわっ。睨んでみたけれど、「それ、可愛いだけだから」って言われて見事に撃沈してしまった……
あの二人のようにうまく反撃できないわっ。何をしても可愛いしか言われないんだもの……
自爆しにいっているようなもので、もうやらないことにしたわ。勝てないってわかったもの。
それから、馬車にアーティと二人で乗り込む。もう一つの馬車にはいつかお世話になった従者の方とカリン、さらにはマルスが御者を買って出てくれて、出発する。周りには護衛の騎士の方がたくさんいて少し物々しい感じだけれど。
安全な旅ができるならそれでいいかしらと思って特に気にすることもなかった。
んだけれど……
ピッタリくっつくのは当たり前。手を握られたり頭を撫でられたりとされたい放題でフリーズしまくっているわたくし。わたくしが何か反応するたびに「可愛い」と言われさらにフリーズ。
新手のいじめじゃないかしら……絶対楽しんでいるわ。
顔が悪魔のようだものっ。意地悪な笑顔で微笑まれては思わずにらみ返してしまい……
悪循環の馬車内はわたくしにとっては地獄だったわ。心臓が破裂するんじゃないかって思うくらいずっとドキドキさせられて……
もう自力では歩けないくらいふらふらで横抱きにされ……
どんどんエスカレートするアーティにわたくしはされるがままで何も考えられなかったわ。どこへいくのかも聞けず、ずっと彼のことを考えてしまっていて。
もしかして、もう、恋に落ちてしまっているかもしれないって思ったらますますひどくなってしまって。
だって、なんとも思っていない人からされたってこんなに胸も高鳴らないもの……前世の記憶がそれは恋だと叫んでいて。
疲れ果ててしまってぐっすりと眠りに落ちた。
最後はブライアンとオリーブだった。二人とも少し泣きそうになっていて、こちらまでもらい泣きしそうになってしまう。
「アリア、本当に小さな頃から一緒で、化粧品の開発も一緒にできて楽しかった! これからちょっと寂しくなるけど、これからも友達だよっ」
「ああ、小さい頃から一緒だったから本当、なんていうか、うん。でもきっとこれからいいことあると思う。頑張れ」
「二人とも……ありがとう」
「また会えるでしょう? 絶対会いに行くから!」
オリーブと二人抱き合いながら涙を流す。その様子を少し寂しそうに見ているブライアンも涙を溜めているのがわかる。そうよね。今までどこかに行くことしか考えていなくて、別れのことなんて考えてなかったわ……
一気に寂しくなっちゃった……
「さ、みんな待ってるよ! パーティに行こう!」
どうやらみんなまだいるみたいでパーティをしているみたい。涙を拭って二人についていくと、すでに出来上がっている男性陣に呆れながら楽しそうに見ている王妃様。侍女のカリンも御者のマルスもみんな混ざって無礼講みたい。
よかった……
ここまで婚約破棄のためだけに動いてきたけれど、こんなにみんなが幸せそうで嬉しい。みんなの笑顔を見ているとわたくしまで笑顔になるもの。
パーティは夜更けまで続いてみんな笑い合っていて。流石にみんな馬車で帰っていったけれど、大変だったろうなぁ……陛下は泣き上戸だし、王太子殿下は笑い上戸だし、秘書官の方はなんと絡み酒で絡みまくっていたし。
ブライアンはオリーブを送らないといけないからってあまり飲んでいなかったけれど。そしてアーティはお酒に強いらしく、その様子をニコニコ眺めているし。楽しいことになっていたわ。
きっと男性陣は次の日二日酔いね……
みんなを見送った後で、アーティに呼ばれた。どうやらお話があるみたい。
「さ、座って」
彼はなぜかソファに座り両手を広げている。どういうことかしら……
戸惑っているわたくしの腕を掴み、わたくしは彼の膝の上に座らされる。え、これは、一体、どういう、こと……?
「はああぁ……やっとこれで堂々とアリアを口説ける」
「……はい?」
ど、どういうことかしら……なんでこんなことになっているの?
イアン殿下、あ、今は違うわね、彼という婚約者がいたからこそかかっていたストッパーが一気に外れる。
心臓がうるさい……顔が熱い……恥ずかしい……
「これでアリアはフリーでしょう? あのパーティで婚約破棄と宣言された後すでに数人の男が君に向かっていったのを見て焦ったよ。君は魅力的だからね」
う、ドキドキしすぎて思考回路がパンクしているわっ。ど、どういうことかしら……
やだ、訳がわからなくなってきたわっ。
「早く僕のところに落ちてきてね」
もう何も考えられなくて、しばらくの間フリーズしてしまったわ……
いつの間にかベッドにちゃんと寝ていたけれど、きっとアーティが運んでくれたんでしょうね。
ああ、なんだかとっても気まずいわ……
どうしたらいいのかしら……
まともに顔も見れないかもしれない。ううっ。
どうも今まで浮気癖のある人としか付き合ったことがないから、まともな人? との向き合い方がわからなくて戸惑ってしまう。
誰か教えてぇっ。
起きた時からそんな感じでアワアワするわたくしを見て笑うアーティが少し憎たらしいわっ。睨んでみたけれど、「それ、可愛いだけだから」って言われて見事に撃沈してしまった……
あの二人のようにうまく反撃できないわっ。何をしても可愛いしか言われないんだもの……
自爆しにいっているようなもので、もうやらないことにしたわ。勝てないってわかったもの。
それから、馬車にアーティと二人で乗り込む。もう一つの馬車にはいつかお世話になった従者の方とカリン、さらにはマルスが御者を買って出てくれて、出発する。周りには護衛の騎士の方がたくさんいて少し物々しい感じだけれど。
安全な旅ができるならそれでいいかしらと思って特に気にすることもなかった。
んだけれど……
ピッタリくっつくのは当たり前。手を握られたり頭を撫でられたりとされたい放題でフリーズしまくっているわたくし。わたくしが何か反応するたびに「可愛い」と言われさらにフリーズ。
新手のいじめじゃないかしら……絶対楽しんでいるわ。
顔が悪魔のようだものっ。意地悪な笑顔で微笑まれては思わずにらみ返してしまい……
悪循環の馬車内はわたくしにとっては地獄だったわ。心臓が破裂するんじゃないかって思うくらいずっとドキドキさせられて……
もう自力では歩けないくらいふらふらで横抱きにされ……
どんどんエスカレートするアーティにわたくしはされるがままで何も考えられなかったわ。どこへいくのかも聞けず、ずっと彼のことを考えてしまっていて。
もしかして、もう、恋に落ちてしまっているかもしれないって思ったらますますひどくなってしまって。
だって、なんとも思っていない人からされたってこんなに胸も高鳴らないもの……前世の記憶がそれは恋だと叫んでいて。
疲れ果ててしまってぐっすりと眠りに落ちた。
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