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最近では王宮での仕事を二日分終わらせて次の日は自宅で過ごすを繰り返している。だって毎日仕事してたら疲れるじゃない。というかこの世界の人たち、社畜すぎない? お父様はお家のために毎日休まず働いているけれど、それ以外の人たちもほぼ毎日見てるわ。
流石にメイドや侍女はそれなりに人数がいるみたいで、いないこともあるけれど、男性陣はお休みあるの? ってくらいよ。倒れちゃうんじゃないかしら……
それ以上に休みがないのが王族の方々のはずなのだけれど、今日も今日とて姿を見ないわね。彼の教育係ががっくりと肩を落として廊下を歩いているところを見ると、また逃げられたみたい。
誰かあの人を休ませてあげてって思わず声をかけたくなるくらいやつれているわ……
さて、と腕まくりをして机に積み重なった書類と向き合う。最近わかったのだけれど、わたくしについてくれている方はわたくしが怖いわけではなくて、あまりに持ち込まれる書類の多さに申し訳なさを感じてのことだったのだとか。
となると、この書類……
後でブライアンにでも調べてもらおうかしら。
小さなメモ帳に内容を要約して記入する。きっとこれも役に立つわね。
次の日、わたくしは自宅でゆっくり過ごしていた。やっぱり何もせずにゆっくりする時間も大切よね。気持ちのリフレッシュになるもの。
そんな感じでのんびりしていると慌てた様子でカリンが部屋へ入ってくる。
「イ、イアン王子殿下がお越しです。旦那様からすぐにくるようにと」
……はあぁぁぁぁぁ。
せっかくのお休みだったのに、あのクズ王子のせいで台無しだわっ。
「アリア様、お気持ちはわかりますが、お顔を直していただけると……」
あらいやだわ、わたくしったら顔にまで出るなんてよっぽど疲れているのね……
大きなため息ばかり出るわ…… どうせ顔を出して終わりでしょうから、頑張りましょうかね。
「お待たせして申し訳ありません。何か御用ですか?」
「あっ、いや。今日からしばらくはこちらにお邪魔することした。」
「はあ、そうですか」
「あれ、イアン様ぁ。今日はドレスショップに行くって言ってなかったでしたっけぇ」
ちょうどよくライラがきたので退室する。が、少し話の内容が気になるので本当ははしたないのですが、聞き耳を立てることにしたの。
「い、いや、しばらくは外にばかりいただろう? 家でのんびりするのもいいと思ってな」
なんだか焦っているようね。それにドレスショップに行く約束を反故にしたってことは、もしかして……
明日王宮にいったら調べないといけないわね。というか毎日妹と一緒にいるってことはご自分の仕事は一切していないってことなのよね。
今日もきっとあの教育係の方が嘆いているわ……
本当いつになったら真面目に仕事をなさるのかしら。というかいつまで女に熱をあげているのかしら。いいかげん自分達の立場というものをわきまえて欲しいのたけれど……
最初の頃はわたくしに対する噂も多かったけれど、最近ではイアン殿下とライラに呆れている噂が多くなっているのよね。
このままだと評判は地にまで落ちるんでしょうね。もうすでに底辺かもしれないけれど。
大きなため息と共に自室に戻り休んでいた。
次の日のお昼、いつも通り図書室へと向かう。今日はやることがあるのよね。あのライラの装飾品やドレスは確実にイアン殿下から出ているもので、あの様子や街での様子、さらにはライラ本人からの証言で毎日のように豪遊しているみたい。けれど昨日は珍しくわたくしの屋敷に来たのよね。
お金の流れを掴まないといけないわ。本当余計な仕事ばっかり増やすんだからっ。
「アリア? どうした?」
「え?」
「あっ」
今アリアって言ったわね。わたくしをアリアって呼ぶのはあのクソ王子とブライアンとアーティだけね。そういえば外出する時はアーサーにって。というかアーサーの愛称って、アーティ?
「アーティ?」
「バレた? もう少しいけると思ったんだけど、あまりにも疲れていそうだったから……」
「ふふ。心配してくれたのね。どことなく似てるなって思ってはいたんだけれど、間違えたら失礼でしょう?」
くすくす笑い合う。思わぬところにアーティがいたことにびっくりしたけれど、嬉しかったわ。なんとなく雰囲気が似てるなって思っていたところなのよね。髪色や目の色も一緒だし、声も同じだし。
これでわからないなんて流石にないと思うの。とはいえ、図書室で初めて会ったときはアーティだってわからなかったけれど。
「そういえばいつも放課後どこかに行っているけどどうしたの?」
「……それがね、内緒にして欲しいんだけれど、書類をやらされているのよねぇ。それも最近量も増えたの。わたくしではそれが誰の仕事かはわからないのだけれど、そもそも婚約者の段階でお仕事頼むものなのかしら? 結構王宮内や領地の書類も入っているのよね……」
「そもそもが、婚約者の段階で書類を頼むこと自体おかしいと思うよ。内部情報が外に漏れる可能性もあるからね。普通は結婚後のことが多いと思う。それに結婚していたにしても領地の書類や王宮内の書類なんてやらないよ」
やっぱりそうなのね……
一応一昨日王宮内で整理した書類のリストを見せてみたけれど、「ありえない」って呟いてたわ。
はぁ。流石にこれは確認出来次第お王妃様ね。一応この間お茶会の約束をしていただいたの。流石に断れないみたいでスムーズに約束を取り付けられたわ。
とりあえず、放課後になってみないとわからないわね。
最近では王宮での仕事を二日分終わらせて次の日は自宅で過ごすを繰り返している。だって毎日仕事してたら疲れるじゃない。というかこの世界の人たち、社畜すぎない? お父様はお家のために毎日休まず働いているけれど、それ以外の人たちもほぼ毎日見てるわ。
流石にメイドや侍女はそれなりに人数がいるみたいで、いないこともあるけれど、男性陣はお休みあるの? ってくらいよ。倒れちゃうんじゃないかしら……
それ以上に休みがないのが王族の方々のはずなのだけれど、今日も今日とて姿を見ないわね。彼の教育係ががっくりと肩を落として廊下を歩いているところを見ると、また逃げられたみたい。
誰かあの人を休ませてあげてって思わず声をかけたくなるくらいやつれているわ……
さて、と腕まくりをして机に積み重なった書類と向き合う。最近わかったのだけれど、わたくしについてくれている方はわたくしが怖いわけではなくて、あまりに持ち込まれる書類の多さに申し訳なさを感じてのことだったのだとか。
となると、この書類……
後でブライアンにでも調べてもらおうかしら。
小さなメモ帳に内容を要約して記入する。きっとこれも役に立つわね。
次の日、わたくしは自宅でゆっくり過ごしていた。やっぱり何もせずにゆっくりする時間も大切よね。気持ちのリフレッシュになるもの。
そんな感じでのんびりしていると慌てた様子でカリンが部屋へ入ってくる。
「イ、イアン王子殿下がお越しです。旦那様からすぐにくるようにと」
……はあぁぁぁぁぁ。
せっかくのお休みだったのに、あのクズ王子のせいで台無しだわっ。
「アリア様、お気持ちはわかりますが、お顔を直していただけると……」
あらいやだわ、わたくしったら顔にまで出るなんてよっぽど疲れているのね……
大きなため息ばかり出るわ…… どうせ顔を出して終わりでしょうから、頑張りましょうかね。
「お待たせして申し訳ありません。何か御用ですか?」
「あっ、いや。今日からしばらくはこちらにお邪魔することした。」
「はあ、そうですか」
「あれ、イアン様ぁ。今日はドレスショップに行くって言ってなかったでしたっけぇ」
ちょうどよくライラがきたので退室する。が、少し話の内容が気になるので本当ははしたないのですが、聞き耳を立てることにしたの。
「い、いや、しばらくは外にばかりいただろう? 家でのんびりするのもいいと思ってな」
なんだか焦っているようね。それにドレスショップに行く約束を反故にしたってことは、もしかして……
明日王宮にいったら調べないといけないわね。というか毎日妹と一緒にいるってことはご自分の仕事は一切していないってことなのよね。
今日もきっとあの教育係の方が嘆いているわ……
本当いつになったら真面目に仕事をなさるのかしら。というかいつまで女に熱をあげているのかしら。いいかげん自分達の立場というものをわきまえて欲しいのたけれど……
最初の頃はわたくしに対する噂も多かったけれど、最近ではイアン殿下とライラに呆れている噂が多くなっているのよね。
このままだと評判は地にまで落ちるんでしょうね。もうすでに底辺かもしれないけれど。
大きなため息と共に自室に戻り休んでいた。
次の日のお昼、いつも通り図書室へと向かう。今日はやることがあるのよね。あのライラの装飾品やドレスは確実にイアン殿下から出ているもので、あの様子や街での様子、さらにはライラ本人からの証言で毎日のように豪遊しているみたい。けれど昨日は珍しくわたくしの屋敷に来たのよね。
お金の流れを掴まないといけないわ。本当余計な仕事ばっかり増やすんだからっ。
「アリア? どうした?」
「え?」
「あっ」
今アリアって言ったわね。わたくしをアリアって呼ぶのはあのクソ王子とブライアンとアーティだけね。そういえば外出する時はアーサーにって。というかアーサーの愛称って、アーティ?
「アーティ?」
「バレた? もう少しいけると思ったんだけど、あまりにも疲れていそうだったから……」
「ふふ。心配してくれたのね。どことなく似てるなって思ってはいたんだけれど、間違えたら失礼でしょう?」
くすくす笑い合う。思わぬところにアーティがいたことにびっくりしたけれど、嬉しかったわ。なんとなく雰囲気が似てるなって思っていたところなのよね。髪色や目の色も一緒だし、声も同じだし。
これでわからないなんて流石にないと思うの。とはいえ、図書室で初めて会ったときはアーティだってわからなかったけれど。
「そういえばいつも放課後どこかに行っているけどどうしたの?」
「……それがね、内緒にして欲しいんだけれど、書類をやらされているのよねぇ。それも最近量も増えたの。わたくしではそれが誰の仕事かはわからないのだけれど、そもそも婚約者の段階でお仕事頼むものなのかしら? 結構王宮内や領地の書類も入っているのよね……」
「そもそもが、婚約者の段階で書類を頼むこと自体おかしいと思うよ。内部情報が外に漏れる可能性もあるからね。普通は結婚後のことが多いと思う。それに結婚していたにしても領地の書類や王宮内の書類なんてやらないよ」
やっぱりそうなのね……
一応一昨日王宮内で整理した書類のリストを見せてみたけれど、「ありえない」って呟いてたわ。
はぁ。流石にこれは確認出来次第お王妃様ね。一応この間お茶会の約束をしていただいたの。流石に断れないみたいでスムーズに約束を取り付けられたわ。
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