6 / 49
6
しおりを挟む
6
学園へ通うため、わたくしは王都の屋敷へ来ていた。お父様も王宮での仕事をしているため、一緒についてきていた。そしてなぜかライラとお母様も。当初の予定ではお母様とライラはもう一年、領地の方で過ごすはずだったのだけれど、どうやらライラお得意のおねだりでついてきたみたい。
多分イアン殿下との逢瀬を重ねるためでしょうけど。
最近ではわざわざわたくしに「イアン王子ったらライラの方が好みみたいなのぉ。お姉様が王都へ行くって言ったら、ライラにもきてって誘われたからお願いしたのぉ」とくねくねしながら報告してきたもの。本当気持ち悪いわ……
こんなこと言っちゃいけないとは思うけれど心の中で呟くくらいなら許されるわよね?
それにわたくしはどうやら世間ではとても女性らしい体つきになったみたい。身長も平均よりもないことでより一層そう見えるみたい。
それに気づいたイアン殿下がいやらしい目つきで特に胸元を特に見つめてくるから本当に嫌なのよね。ああ、気持ち悪いわ。
そこで数日過ごした後、わたくしは学園へと通い始めた。
クラスにはイアン殿下ももちろんいたのだけれど、「おはようアリア」なんて言いながらわたくしの顔でなく胸を舐め回すようにみてくるのよね。それに気づいたオリーブとブライアンが割って入ってくれて離してくれるのだけれど。
お昼休み、三人で食事を取った後は一人で図書室に行くのが日課となった。どうしてオリーブとブライアンと一緒にいないかといえば、あの二人やっと婚約したみたのよね。だから二人で過ごす時間も必要よねと思って、わたくしから申し出たわ。学園で過ごす日々は限られているもの。どうせなら二人で楽しい時間を過ごしてもらいたいもの。
それから、周りの生徒達がよく噂をしている。
内容としては、わたくしは婚約者にも関わらずあまりうまくいっていないのではないか、その根拠として毎日のようにライラと街に出かけている様子を目撃されているからみたい。
全く。学園に通うようになってからのわたくしは、放課後王子妃教育と称して王宮に呼び出されている。初めはマナーや勉強をしていたけれどどれも問題ないとのことで、早いけれどお仕事を任されているの。それも結構な量で、こんなのただの婚約者のわたくしの仕事なのかしらと疑問に思っていたのだけれど、確認もできないしそのまま処理しているわ。
時折どこかに出かけようとするイアン殿下と引き止めようとする教育係の姿を見かける。
「イアン殿下! お仕事が溜まっておりますので今日の外出はおやめくださるようお願いしていたではありませんか。それに王子教育の方もまだまだ終わってはおりませぬ。陛下からも言われているでしょうに」
「うるさい。今のオレにはそれよりも大切なことがあるんだ。そんなものアリアにやらせておいたらいいだろう」
「そんなわけにはいきません! アリア様は確かにイアン殿下の婚約者であらせられますが、本来ならば結婚してからのお仕事を前倒しでやっていただいているのです! 貴方様の仕事は貴方様がやらなくては」
「オレはもういく。仕事はアリアに任せておけ」
「イアン殿下っ!」
大きなため息をつく教育係の方を見ると本当にかわいそうになってくるわ。どうせ怒られるのは彼なのでしょうね。
不憫に思いながらもこれ以上仕事を増やされては化粧品の開発に使う時間がなくなってしまうわ。
踵を翻して仕事部屋へと向かった。
というか、本当は今のお仕事わたくしの仕事ではないってことよね? それはそれで許せないのだけれど。
どうせ陛下や王妃様が出来損ないの第三王子に見切りをつけてわたくしに仕事を押し付けるために今から仕事をさせているのでしょうね……
本当親子揃って呆れるわ。
こんな人たちについている周りも大変ね。どうやら王太子殿下はとても優秀だそうだけれど。
どうやらイアン殿下のこの仕事ぶりも他のメイドや王宮に来ている貴族達にも知れ渡っているらしい。皆こそこそと噂をしていた。
どうして貴族って噂が好きなのかしらね。女性ならわかるのだけれど男性でも噂話をしたりするなんて。
ため息をつきながら書類を読んでからサインをし、机の上の山を崩していった。そばにいた方はわたくしのため息にビクッとしていたけれど、これはどうしてかしら。
わたくしが怖いのかしら……だったらちょっとショックだわ。
そんなことを思いながら黙々とサインをし続けていた。
後もう少し我慢したらこの生活が終わるわ。それを糧に頑張らなくちゃ。
学園へ通うため、わたくしは王都の屋敷へ来ていた。お父様も王宮での仕事をしているため、一緒についてきていた。そしてなぜかライラとお母様も。当初の予定ではお母様とライラはもう一年、領地の方で過ごすはずだったのだけれど、どうやらライラお得意のおねだりでついてきたみたい。
多分イアン殿下との逢瀬を重ねるためでしょうけど。
最近ではわざわざわたくしに「イアン王子ったらライラの方が好みみたいなのぉ。お姉様が王都へ行くって言ったら、ライラにもきてって誘われたからお願いしたのぉ」とくねくねしながら報告してきたもの。本当気持ち悪いわ……
こんなこと言っちゃいけないとは思うけれど心の中で呟くくらいなら許されるわよね?
それにわたくしはどうやら世間ではとても女性らしい体つきになったみたい。身長も平均よりもないことでより一層そう見えるみたい。
それに気づいたイアン殿下がいやらしい目つきで特に胸元を特に見つめてくるから本当に嫌なのよね。ああ、気持ち悪いわ。
そこで数日過ごした後、わたくしは学園へと通い始めた。
クラスにはイアン殿下ももちろんいたのだけれど、「おはようアリア」なんて言いながらわたくしの顔でなく胸を舐め回すようにみてくるのよね。それに気づいたオリーブとブライアンが割って入ってくれて離してくれるのだけれど。
お昼休み、三人で食事を取った後は一人で図書室に行くのが日課となった。どうしてオリーブとブライアンと一緒にいないかといえば、あの二人やっと婚約したみたのよね。だから二人で過ごす時間も必要よねと思って、わたくしから申し出たわ。学園で過ごす日々は限られているもの。どうせなら二人で楽しい時間を過ごしてもらいたいもの。
それから、周りの生徒達がよく噂をしている。
内容としては、わたくしは婚約者にも関わらずあまりうまくいっていないのではないか、その根拠として毎日のようにライラと街に出かけている様子を目撃されているからみたい。
全く。学園に通うようになってからのわたくしは、放課後王子妃教育と称して王宮に呼び出されている。初めはマナーや勉強をしていたけれどどれも問題ないとのことで、早いけれどお仕事を任されているの。それも結構な量で、こんなのただの婚約者のわたくしの仕事なのかしらと疑問に思っていたのだけれど、確認もできないしそのまま処理しているわ。
時折どこかに出かけようとするイアン殿下と引き止めようとする教育係の姿を見かける。
「イアン殿下! お仕事が溜まっておりますので今日の外出はおやめくださるようお願いしていたではありませんか。それに王子教育の方もまだまだ終わってはおりませぬ。陛下からも言われているでしょうに」
「うるさい。今のオレにはそれよりも大切なことがあるんだ。そんなものアリアにやらせておいたらいいだろう」
「そんなわけにはいきません! アリア様は確かにイアン殿下の婚約者であらせられますが、本来ならば結婚してからのお仕事を前倒しでやっていただいているのです! 貴方様の仕事は貴方様がやらなくては」
「オレはもういく。仕事はアリアに任せておけ」
「イアン殿下っ!」
大きなため息をつく教育係の方を見ると本当にかわいそうになってくるわ。どうせ怒られるのは彼なのでしょうね。
不憫に思いながらもこれ以上仕事を増やされては化粧品の開発に使う時間がなくなってしまうわ。
踵を翻して仕事部屋へと向かった。
というか、本当は今のお仕事わたくしの仕事ではないってことよね? それはそれで許せないのだけれど。
どうせ陛下や王妃様が出来損ないの第三王子に見切りをつけてわたくしに仕事を押し付けるために今から仕事をさせているのでしょうね……
本当親子揃って呆れるわ。
こんな人たちについている周りも大変ね。どうやら王太子殿下はとても優秀だそうだけれど。
どうやらイアン殿下のこの仕事ぶりも他のメイドや王宮に来ている貴族達にも知れ渡っているらしい。皆こそこそと噂をしていた。
どうして貴族って噂が好きなのかしらね。女性ならわかるのだけれど男性でも噂話をしたりするなんて。
ため息をつきながら書類を読んでからサインをし、机の上の山を崩していった。そばにいた方はわたくしのため息にビクッとしていたけれど、これはどうしてかしら。
わたくしが怖いのかしら……だったらちょっとショックだわ。
そんなことを思いながら黙々とサインをし続けていた。
後もう少し我慢したらこの生活が終わるわ。それを糧に頑張らなくちゃ。
76
お気に入りに追加
4,128
あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。

冤罪から逃れるために全てを捨てた。
四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。

誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる