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それから数年の月日が流れた。
その間わたくしは、ひたすら同じルーティーンをこなしていた。
まずは淑女教育、王子妃教育を受ける。それから週に一回のイアン王子とのお茶会。これは途中から妹のライラが突撃してくるので、早々に退室するのだけれど、初めはお父様もお母様も「もっと王子の気を引かないか」なんて怒っていたけれど徐々にライラに王子の気持ちが傾き始めていることを察したのか「まあ、ライラでもいいか」なんて言って、わたくしには何も言ってこなくなったわ。それでもわたくしは一応婚約者なので始めは対応するのだけれど。
妹のおかげで相手をする時間が短くなってとっても嬉しいわ。その分、他のことに時間を使えるもの。
次に化粧品の開発ね。乾燥肌の方と脂性肌の方がいるのよね。それぞれに合わせての研究が進められている。乾燥肌の方にはネロリのフローラルウォーターを使ってもらうことで肌質が改善されたと喜ばれたわ。
それから脂性肌の方にはラベンダーのフローラルウォーターを使ってみたらちょうどよかったみたいで、こちらも小瓶に詰めて販売している。
次は男性の肌に会うものを作ってみたいんだけれど、試せるのがうちの御者と料理長、それにブライアンくらいしかいなくて困っていた。いろんな人に試してもらいたいんだけれど……
あ、ネイトがいたわっ。
さっそくネイトにお手紙を書く。ついでに伯母様にも化粧品のサンプルをいくつか送って向こうの貴婦人の方にも試してもらおう。
伯母様のところとは今も交流が続いている。ネイトが学園に入ってからはなかなか回数は減っていったけれど、よくお手紙でやりとりしているわ。
伯母様もその周りのご婦人方も美容意識がすごく高くて、正直な感想をいただけるのでこちらとしてもありがたい。
さらに、オリーブと一緒に商品に関するお話をしながら、最近イアン殿下の側近候補としていろいろお仕事をしているらしいブライアンからも話を聞いていた。
「どうやら、イアン王子は君の妹にかまけて全く勉強が進んでいないらしい。陛下も王妃様も頭を抱えていたよ。それでいてアリアは勉強が出来るからどうやらアリア頼みでなんとかしようと考えているらしい。本当自分の子供の教育くらいしっかりやって欲しいよ。皺寄せがこっちに来るんだぜ?」
会うたびにイアン王子に対する愚痴が止まらないらしい。よっぽど大変な目に遭わされているのね。本当最近のイアン殿下は訪問回数も多いし滞在時間も長くなってきている。
わたくしよりも多くのことを学ばなければならないのに、こんなことをしている暇があるのかしら? と疑問に思っていたけれど……
ご両親である国王陛下も王妃殿下も諦めたのね。それに皺寄せはわたくしに来ることは確定なのかしら。
嫌だわ……
どんよりしてしまう。どうしてこうも無能の相手をしなければならないのか。早々に破棄して妹と婚約し直したらよろしいのに。
「まあ、一番大変なのはアリアだろうな。なるべくフォローはするけど、なんかあったらすぐにいいな」
「そうよ! 私たちはいつでもアリアの味方なんだからっ」
「ありがとう、二人とも」
本当に昔からこの幼馴染二人は私の強い味方で、いつも助けてもらってる。いつか恩返しできればいいんだけれど。
そういえば、化粧水の売れ行きは好評で、貯めたお金で王都のある場所に別荘を買うことができたの。これで追い出されても大丈夫ね。それにそろそろ学園へ通わなくてはいけなくなるし、王都の各々の家は少し遠いのよね。だからちょうど中間にあればすぐに集まれるし、商品の開発をするのにもちょうどいいと思って。
わたくしたち三人の秘密基地のようで少しワクワクしたわ。三人それぞれ好きなものを持ち寄ってつくったそこは雰囲気はバラバラだけどわたくし達にとっては居心地の良い場所になったわ。
こうしてわたくしは学園入学前に全ての準備を終えることができた。
さあ、かかっていらっしゃい。イアン殿下、ライラ。
それから数年の月日が流れた。
その間わたくしは、ひたすら同じルーティーンをこなしていた。
まずは淑女教育、王子妃教育を受ける。それから週に一回のイアン王子とのお茶会。これは途中から妹のライラが突撃してくるので、早々に退室するのだけれど、初めはお父様もお母様も「もっと王子の気を引かないか」なんて怒っていたけれど徐々にライラに王子の気持ちが傾き始めていることを察したのか「まあ、ライラでもいいか」なんて言って、わたくしには何も言ってこなくなったわ。それでもわたくしは一応婚約者なので始めは対応するのだけれど。
妹のおかげで相手をする時間が短くなってとっても嬉しいわ。その分、他のことに時間を使えるもの。
次に化粧品の開発ね。乾燥肌の方と脂性肌の方がいるのよね。それぞれに合わせての研究が進められている。乾燥肌の方にはネロリのフローラルウォーターを使ってもらうことで肌質が改善されたと喜ばれたわ。
それから脂性肌の方にはラベンダーのフローラルウォーターを使ってみたらちょうどよかったみたいで、こちらも小瓶に詰めて販売している。
次は男性の肌に会うものを作ってみたいんだけれど、試せるのがうちの御者と料理長、それにブライアンくらいしかいなくて困っていた。いろんな人に試してもらいたいんだけれど……
あ、ネイトがいたわっ。
さっそくネイトにお手紙を書く。ついでに伯母様にも化粧品のサンプルをいくつか送って向こうの貴婦人の方にも試してもらおう。
伯母様のところとは今も交流が続いている。ネイトが学園に入ってからはなかなか回数は減っていったけれど、よくお手紙でやりとりしているわ。
伯母様もその周りのご婦人方も美容意識がすごく高くて、正直な感想をいただけるのでこちらとしてもありがたい。
さらに、オリーブと一緒に商品に関するお話をしながら、最近イアン殿下の側近候補としていろいろお仕事をしているらしいブライアンからも話を聞いていた。
「どうやら、イアン王子は君の妹にかまけて全く勉強が進んでいないらしい。陛下も王妃様も頭を抱えていたよ。それでいてアリアは勉強が出来るからどうやらアリア頼みでなんとかしようと考えているらしい。本当自分の子供の教育くらいしっかりやって欲しいよ。皺寄せがこっちに来るんだぜ?」
会うたびにイアン王子に対する愚痴が止まらないらしい。よっぽど大変な目に遭わされているのね。本当最近のイアン殿下は訪問回数も多いし滞在時間も長くなってきている。
わたくしよりも多くのことを学ばなければならないのに、こんなことをしている暇があるのかしら? と疑問に思っていたけれど……
ご両親である国王陛下も王妃殿下も諦めたのね。それに皺寄せはわたくしに来ることは確定なのかしら。
嫌だわ……
どんよりしてしまう。どうしてこうも無能の相手をしなければならないのか。早々に破棄して妹と婚約し直したらよろしいのに。
「まあ、一番大変なのはアリアだろうな。なるべくフォローはするけど、なんかあったらすぐにいいな」
「そうよ! 私たちはいつでもアリアの味方なんだからっ」
「ありがとう、二人とも」
本当に昔からこの幼馴染二人は私の強い味方で、いつも助けてもらってる。いつか恩返しできればいいんだけれど。
そういえば、化粧水の売れ行きは好評で、貯めたお金で王都のある場所に別荘を買うことができたの。これで追い出されても大丈夫ね。それにそろそろ学園へ通わなくてはいけなくなるし、王都の各々の家は少し遠いのよね。だからちょうど中間にあればすぐに集まれるし、商品の開発をするのにもちょうどいいと思って。
わたくしたち三人の秘密基地のようで少しワクワクしたわ。三人それぞれ好きなものを持ち寄ってつくったそこは雰囲気はバラバラだけどわたくし達にとっては居心地の良い場所になったわ。
こうしてわたくしは学園入学前に全ての準備を終えることができた。
さあ、かかっていらっしゃい。イアン殿下、ライラ。
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