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本編

11.中間試験っ

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 ある日のお昼休み。いつものメンバーで食事を取っているとふとルドルフ様が口を開く。
「そういえばそろそろ中間試験だな。勉強しねぇとやばい」
 ちゅ、中間試験ー⁈
 このゲーム、そこまであるの⁈   確かに制作したのは日本人。そりゃそうだ。あるに決まっている。
 がくりと肩を落とすわたし。そう、何を隠そうわたしは勉強することが嫌いなのだ。前世でも全然勉強せず本当の意味での実力のみで挑んでいた。流石に受験の時は勉強したけれど。
「そういえばそんなのもあったね」
 余裕そうに話すシエル様は入学試験も満点で。第二王子としての公務もこなしながらよくそんなに勉強できるものだ。というか王子教育の時に全て習得済みなのか……
「そうねぇ。少しは勉強しといたほうがいいかしら」
 ノーラ様は入学試験で学年第三位。勉強なんて必要ないんじゃないか。こんなに美しくて勉強もできるなんて素敵すぎるっ。
「ああー、俺もたまには勉強しようかな」
 マルド様は普段ふわふわしているけど、実は入学試験では学年第二位。学年トップ3に囲まれているわたしは……
 後ろから数えた方が早いのだ。ああ、頑張ってもこの順位。ちょっと泣きたくなる。
「ルシア?どうしたの」
 シエル様が心配してくれる。あえて勉強しないことで出来損ないとみなされて王子妃、辞退できないかな。
「ルシア。それは許さないよ。今日から勉強がんばろうか」
 ああ、黒い黒い。これは拒否権が無いらしい。今日からわたしの勉強漬けの日々が続いた。




「ルシア? そこ違うよ」
「ひえっ」
 放課後、生徒会室で勉強しているのだが……あ、生徒会室とは、実はご飯を食べている部屋の名前で、どうやら生徒会役員しか入れないらしい。いつの間にかわたしも選出されていたらしく、シエル様の補助らしい。
 それは置いておいて、普段のゲロ甘からは想像できないくらい、厳しいのだ。常に薄く黒い空気を纏っていて、間違うとブワッと濃くなる。鋭い目つきで間違いを指摘してくる彼は、とても怖い。
 なんでこんなに厳しいのか聞いてみたら、どうやら成績の低かったものは放課後補修があるらしく。居残り勉強があるのだとか。
 自分一人で勉強するのは苦手なので、居残りでじっくり教えられる方が頭に入るななんて呑気に考えていたのはわたしだけだったみたい。
 どうやら彼は放課後の居残りを、一人受けるわたしが気に入らないらしい。ブツブツと「もし成績が良くなかったら、僕も一緒に受けられるように交渉するか……」なんて真面目に考えていて。

 そんなこんなで半泣きで勉強しているのだった。
「ルシア……つがい制度もわからないところあるの? そこは大事だからしっかり覚えてほしいんだけど」
「ひゃいっ。ごめんなさい……」
 そう、この学園ではつがい制度のこともしっかり勉強するのだ。昔はほとんどの人がつがいを求めるものゼウス紋様を持つものペルセポネであることが当たり前で、小さい頃からしっかりと教育されていたらしい。しかし近年ではその血も薄れたのかそれにとらわれない人々が多くなってきていて、正しく教育できるものが減ってきていた。
 そこで正しく理解してもらうために授業で取り入れられるのだ。
「何がわからないの」
「発症する時期が……」
 そう、わたしは紋様がいつ頃現れるのかわからないのだ。だってわたしは十五歳になった頃急に現れたんだもの。確か紋様の確認は小さい時に神殿で行われる。平民貴族問わず強制なので時期をずらして受けるのが普通だ。
 具体的な時期なんてわからないのだ。
「ああ、つがいを求めるものは早いものは生まれた時から自覚するらしい。遅くても十歳までに。どこの誰とも知らないものを求め続ける妙な感覚がするんだ」
 へぇ、そうなんだ。でも生まれた時からただ一人を求め続けるってなんだか大変そう。
「それに恋愛もつがい相手としかできないんだ。稀にゼウスやペルセポネと普通の人と結婚している例もあるがあれは大抵政略結婚だな」
 大変そうだ。この広い国でたった一人の相手を見つけるなんて。
「紋様の方は、大体五歳から十歳の間で体のどこかに浮かび上がる。その場所は様々で見えるところにあるものもいればわかりづらいところにあるものもいる。だから十歳になったら神殿で確認してもらうんだよ」
 なるほど。そんな感じなんだ。ということはわたしは特殊な待遇……?
 十歳の時に確かに神殿へ行って確認してもらったと思う。太ももの内側から隅々まで。
 本当に謎だ。この印は偽物なんじゃ無いかなぁ……
「それともう一つ。これはこの学園では詳しく説明しないけど、紋様について様々な柄があるのは知っているか?」
 首を振る。わたしは確か蝶だったはずだ。小さい小さい蝶。
「ゼウスは自分のペルセポネの紋様がどんな柄なのかわかるんだ。だから、匂いと紋様二つ確認する手段がある」
 へぇ、そうなんだ。あれはみんな同じ模様じゃなくて、別々なのか。初めて聞く話だ。
「昔、とある見目麗しい男が自分の番を探すために、つがいの紋様を公表したことがあるんだよ」
 あ、もしかして……
「そう、偽物がね、大量に出てね。まぁ匂いですぐわかるから、申し出たものたちは罰せられたけど。それ以来お互いに公表するのを禁止したんだ」
 おおう、そんなことがあったなんて……
 だから面倒な実質お見合いパーティーを頻回に開いてたのね。匂いだけで探すように。
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