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本編
10.情報整理っ
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まずはわたしのことから。わたしは子供の頃の一部の記憶が抜け落ちている。その記憶に関連するのは親睦会で行ったあの場所だ。何か自分の人生を左右するような大切な記憶だったと思う。わたしは思い出せなかったけど、きっとお父様は覚えているはず。それはいずれ考えることにしよう。
それとわたしは乙女ゲームの世界にいる。攻略対象者は五人。まずは騎士であるルドルフ様、宰相家のキース様。この二人は幼い頃の出会いイベントで出会うことで攻略できる。後の三人の第二王子のシエル様とマルド様。後一人は王弟殿下。この三人はわたしが飲んだ薬と特殊なクエストをこなすと攻略が可能になる。
ヒロインの名前はマリア・シュトール。男爵家の令嬢でわたしの一つ下だったはずだ。そしてどのルートでも悪役令嬢として出てくるのがノーラ様。あんな素敵な人が悪役令嬢なんて考えられないんだけど……
それからわたし、ルシア・アルノルド。子爵家令嬢。十五歳の時、突然紋様が現れた。小さい頃はなかったって聞いてる。ゲームのことを同時に思い出して、ショップを探す。そこで突如出現したショップで紋様を消す薬を手に入れる。その帰り道に偶然お忍びのシエル様とあってしまい、つがいであるとバレる。
それからは、学園の入学するまで色々したけど省こう。無駄な努力だった……
学園へ入学して、シエル様につがいだと言われる。それから主要な登場人物と知り合う。
「こんなものかしら」
それにしても謎だらけだ。意味がわからない。時々状況を整理していかないとダメね。
ひとまず状況整理を終えたわたしは、眠りにつくことにした。明日はお休みだしゆっくりしよう。
朝からローラに起こされてしまった。ねむたい目を擦りながら何事かと聞いてみる。
「そ、それが、第二皇子殿下がいらしています。外出したいと。急いで準備しましょう」
ぼーっとした頭で立っているうちに次々と準備を施される。やっと頭が冴えた頃には準備は出来上がっており、玄関へ向かうように促されてしまった。
寝起きを狙うなんて卑怯な……というか第二王子殿下からとあれば断れないんだけど……
「おはようルシア。ねむそうだね」
「……おはようございます。寝起きなので」
ちょっと嫌味を言っても許されるだろう。ちらりと見た彼はいつかのお忍びスタイルだった。
「今日はどうしたのですか?」
「以前ルシアが話していた店を探しに行こうと思ってね」
ああ、なるほど。あの薬はノーラ様のお家でしか作ってないはずだものね。効果もなんだか違うみたいだし……
今日はお仕事ですねっ。
手を繋がれて、平民街を歩く。彼は朝早くからやっている店に入って行き、わたしも必然的に入る。
彼が何やら注文してくれらみたいで、朝食が運ばれてきた。どうやら朝ごはんを食べさせてくれるらしい。お言葉に甘えよう。もう少しでわたしのお腹が暴れるところだったもの。
わたしが食べている間彼はじっと見つめてきて、とても食べづらかった。朝は済ませてきたらしく、コーヒーだけを啜りながらひたすら見られた。
ちょっと抗議してみたけれど「ルシアが可愛いのが悪い」なんて言われて恥ずかしかったので余計なことは言わないことにした。
そこからわたしが店を見つけた場所に向かって歩く。あの時は迷子になっていてあまり覚えていなかったんだけれど、休憩した場所の特徴を彼に伝えるとすぐに分かったみたい。さすがというべきか言葉は悪いけど腐っても王子なのだろう。
二人手を繋いで歩くと周りからの視線が痛い。コソコソと「お似合いねぇ」「男の人かっこいいわ」なんて聞こえてきて。どう反応していいかわからなかった。きっととても変な顔をしていたと思う。
そうこうしているうちに店にたどり着く。外装は一緒だ。
中に入ってみると普通のアクセサリーショップだった。あれ? と首を傾げているわたしを連れて店を後にする。
目の前にベンチと噴水があって二人でベンチに座った。
「全然違う店でしたね」
「そうだね。ただ、店の店主は最近ここに店を構えたと言っていた。格安で出ていてすぐに入れたのだと」
おかしな話だ。ここは平民街でもなかなか人通りがあって高いはず。そんな格安でなんて……
「なんだか面倒なことになったね。今日はこのくらいでいい。さ、ちょっと遊んでいこう」
自由な彼に連れられて、王都の貴族街へ向かった。そしてなぜかドレスショップに連れられる。問答無用で着替えさせられ、緑のドレスに銀色の刺繍の入っている外出用のドレスを着せられてしまっていた。
困惑するわたしに彼は笑い「今日付き合ってくれたお礼」なんて言っていた。彼も彼で着替えたらしい。ポカンとするわたしを連れて彼は劇場へと足を運ぶ。
どうやらこれもお礼らしい。ありがたく受け取ることにしよう。きっといつものように拒否権はない。
その後は王族専用の席だろうか、無駄にひろい部屋に小さめな二人掛けのソファに座って観劇を楽しんだのだった。距離を近いことを気にしてたらせっかくの観劇が楽しめないわっ。
真剣に観ているわたしに視線を向けている彼は終始微笑んでいた。
それとわたしは乙女ゲームの世界にいる。攻略対象者は五人。まずは騎士であるルドルフ様、宰相家のキース様。この二人は幼い頃の出会いイベントで出会うことで攻略できる。後の三人の第二王子のシエル様とマルド様。後一人は王弟殿下。この三人はわたしが飲んだ薬と特殊なクエストをこなすと攻略が可能になる。
ヒロインの名前はマリア・シュトール。男爵家の令嬢でわたしの一つ下だったはずだ。そしてどのルートでも悪役令嬢として出てくるのがノーラ様。あんな素敵な人が悪役令嬢なんて考えられないんだけど……
それからわたし、ルシア・アルノルド。子爵家令嬢。十五歳の時、突然紋様が現れた。小さい頃はなかったって聞いてる。ゲームのことを同時に思い出して、ショップを探す。そこで突如出現したショップで紋様を消す薬を手に入れる。その帰り道に偶然お忍びのシエル様とあってしまい、つがいであるとバレる。
それからは、学園の入学するまで色々したけど省こう。無駄な努力だった……
学園へ入学して、シエル様につがいだと言われる。それから主要な登場人物と知り合う。
「こんなものかしら」
それにしても謎だらけだ。意味がわからない。時々状況を整理していかないとダメね。
ひとまず状況整理を終えたわたしは、眠りにつくことにした。明日はお休みだしゆっくりしよう。
朝からローラに起こされてしまった。ねむたい目を擦りながら何事かと聞いてみる。
「そ、それが、第二皇子殿下がいらしています。外出したいと。急いで準備しましょう」
ぼーっとした頭で立っているうちに次々と準備を施される。やっと頭が冴えた頃には準備は出来上がっており、玄関へ向かうように促されてしまった。
寝起きを狙うなんて卑怯な……というか第二王子殿下からとあれば断れないんだけど……
「おはようルシア。ねむそうだね」
「……おはようございます。寝起きなので」
ちょっと嫌味を言っても許されるだろう。ちらりと見た彼はいつかのお忍びスタイルだった。
「今日はどうしたのですか?」
「以前ルシアが話していた店を探しに行こうと思ってね」
ああ、なるほど。あの薬はノーラ様のお家でしか作ってないはずだものね。効果もなんだか違うみたいだし……
今日はお仕事ですねっ。
手を繋がれて、平民街を歩く。彼は朝早くからやっている店に入って行き、わたしも必然的に入る。
彼が何やら注文してくれらみたいで、朝食が運ばれてきた。どうやら朝ごはんを食べさせてくれるらしい。お言葉に甘えよう。もう少しでわたしのお腹が暴れるところだったもの。
わたしが食べている間彼はじっと見つめてきて、とても食べづらかった。朝は済ませてきたらしく、コーヒーだけを啜りながらひたすら見られた。
ちょっと抗議してみたけれど「ルシアが可愛いのが悪い」なんて言われて恥ずかしかったので余計なことは言わないことにした。
そこからわたしが店を見つけた場所に向かって歩く。あの時は迷子になっていてあまり覚えていなかったんだけれど、休憩した場所の特徴を彼に伝えるとすぐに分かったみたい。さすがというべきか言葉は悪いけど腐っても王子なのだろう。
二人手を繋いで歩くと周りからの視線が痛い。コソコソと「お似合いねぇ」「男の人かっこいいわ」なんて聞こえてきて。どう反応していいかわからなかった。きっととても変な顔をしていたと思う。
そうこうしているうちに店にたどり着く。外装は一緒だ。
中に入ってみると普通のアクセサリーショップだった。あれ? と首を傾げているわたしを連れて店を後にする。
目の前にベンチと噴水があって二人でベンチに座った。
「全然違う店でしたね」
「そうだね。ただ、店の店主は最近ここに店を構えたと言っていた。格安で出ていてすぐに入れたのだと」
おかしな話だ。ここは平民街でもなかなか人通りがあって高いはず。そんな格安でなんて……
「なんだか面倒なことになったね。今日はこのくらいでいい。さ、ちょっと遊んでいこう」
自由な彼に連れられて、王都の貴族街へ向かった。そしてなぜかドレスショップに連れられる。問答無用で着替えさせられ、緑のドレスに銀色の刺繍の入っている外出用のドレスを着せられてしまっていた。
困惑するわたしに彼は笑い「今日付き合ってくれたお礼」なんて言っていた。彼も彼で着替えたらしい。ポカンとするわたしを連れて彼は劇場へと足を運ぶ。
どうやらこれもお礼らしい。ありがたく受け取ることにしよう。きっといつものように拒否権はない。
その後は王族専用の席だろうか、無駄にひろい部屋に小さめな二人掛けのソファに座って観劇を楽しんだのだった。距離を近いことを気にしてたらせっかくの観劇が楽しめないわっ。
真剣に観ているわたしに視線を向けている彼は終始微笑んでいた。
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