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本編
8.女子会っ
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女子二人、戻ってすぐに服を着替える。寝巻きに着替えて部屋にあるソファに座った。
「ノーラ様っ、わたしノーラ様に聞きたいことがたくさんあるのですっ。聞いてもいいですか?」
推しのことは知りたいのだ。誰が好きだとかは直接聞くのは憚られるので、好みとか……
「あら、わたくしのことなんて聞いても面白くないんじゃなくて?それよりわたくしはあなたの方に興味があるわ」
ぐっ。お綺麗なノーラ様に言われたら嫌とは言えないわっ。
「わかりました。なんでも聞いてくださいっ」
くすくす笑っているノーラ様、なんとお美しい。この美女に落ちない男はいないんじゃないかしら。
「あなた、シエルのお忍びの時に出会ったのよね?」
「そうですね。偶然ぶつかってしまったんです」
「あの日以来ね、シエルったら人が変わったように、ぶつかったあなたを探させたのよ?」
え、それは怖い。もしかして入学式の時点で名前までバレてたのかしら……
「あなたの名前がわかった時なんて心ここに在らずでねぇ。何を言っても反応しないからマルドと一緒に日頃の鬱憤をはらしたものだわ」
「え、それは楽しそうですね!」
「そうなのよ。入学式の席だって、例年なら爵位順なのにわざわざあなたを隣に指名してね。あの時のルシアかわいそうだったわ。囚われた子ウサギみたいで」
おかしそうに笑うノーラ様。わたしにとっては笑い事ではなかったんだけど。
「その後からも面白かったわぁ。シエルがいくらアピールしても全く靡かないんだもの。シエルに迫られて靡かない令嬢なんてルシアくらいじゃないかしら。あ、わたしも興味はないわ」
そうか、それが余計に興味を引いてしまった可能性がある。失敗した……
「そうそう、一応言っておくわ。わたくしとシエルは幼馴染なのよ。小さい頃から一緒にいたからお互いの性格は理解しているし、まぁ友人としては付き合っていけるけれど、恋仲なんて無理ね。だから誤解はしないでね」
「大丈夫です!シエル王子殿下よりノーラ様の方が強いのもわかりました!」
わたしの返答にさらに声を上げて笑うノーラ様。そんなに面白いことを言った覚えはないんだけど、楽しそうなのでよしとしよう。
「それはそうと、ルシアはなにかの薬を飲んだと聞いたのだけど、どんな薬だったの?」
「紋様を隠して、つがい相手に自分がつがいだとわからなくなる薬だそうです。結局飲む前に会ってしまって思いっきりバレましたけど。それになんか匂いが漏れ出てるって言われました」
んーと考え込むノーラ様に首を傾げる。何か知っているのかしら。
「つがいに関する薬は、実はうちが開発しているのだけれど、使用するには身分とか個人の情報は控えてあるはずなのよね」
え? ノーラ様のところで開発してたの⁈
それに購入するには身分とか情報が必要? わたしの時は何か説明された気がするけど何も聞かれた覚えはない。
「それに匂いも完璧に抑えられるのよ。紋様のある人が相手との普通の恋愛を楽しみたい時とかに使われるわ」
「普通の恋愛?」
「どうもつがいを持つもの達、ああ、シエルもね。彼らはその匂いを嗅ぐと暴走しがちでその、夜が大変だったり、屋敷に監禁されたりするのよ。だからそういう理由で買っていくわ」
ああ、夜が大変になるのか……なるほど
「そもそもつがいは元々相性の良いもの同士で繋がっているから幸せに暮らしている人たちも多いわ。もちろん仲が悪くなる人もいるけれどそれは大概が夜の生活が負担だったり、外に出してもらえないストレスによるものだし……」
おおう。聞かなきゃよかったかもしれない。ただ仲が悪いだけだと思っていたけどそんな理由が……
ちょっと待って。今だからあの程度で済んでいるけど効果が切れたら……
思わず青ざめるわたし。そんなわたしにノーラ様が教えてくれた。
「だから色々開発してるのよ。効果は弱いけど持続するものとか、色々ね。困ったらわたくしが手配するから変なところでその薬は買わないで。それとルシアが買った店のこと、わたくしに詳しく教えてくださる?」
ノーラ様が薬をくれるのか。それなら安心だ。
その後は、平民街を彷徨っていたら突如として現れた店のこと、購入には商品の説明しかなかったこと、お店の雰囲気や店員さんの特徴を伝えた。
ノーラ様は時折相槌を打ちながら紙にサラサラと文字を書いていく。さすが美しいノーラ様、文字まで美しい。そんなことを思いながら、話をしていた。
「さあ、そろそろ寝ましょうか。夜更かしするとお肌に良くないわ」
すっかり仲良くなって、ノーラ様、ルシアと呼び合う仲になれたことが嬉しくなった。
けれど明日は朝早い。ノーラ様の言葉を合図にわたし達は布団に入り、ゆっくりと休んだのだった。
「ノーラ様っ、わたしノーラ様に聞きたいことがたくさんあるのですっ。聞いてもいいですか?」
推しのことは知りたいのだ。誰が好きだとかは直接聞くのは憚られるので、好みとか……
「あら、わたくしのことなんて聞いても面白くないんじゃなくて?それよりわたくしはあなたの方に興味があるわ」
ぐっ。お綺麗なノーラ様に言われたら嫌とは言えないわっ。
「わかりました。なんでも聞いてくださいっ」
くすくす笑っているノーラ様、なんとお美しい。この美女に落ちない男はいないんじゃないかしら。
「あなた、シエルのお忍びの時に出会ったのよね?」
「そうですね。偶然ぶつかってしまったんです」
「あの日以来ね、シエルったら人が変わったように、ぶつかったあなたを探させたのよ?」
え、それは怖い。もしかして入学式の時点で名前までバレてたのかしら……
「あなたの名前がわかった時なんて心ここに在らずでねぇ。何を言っても反応しないからマルドと一緒に日頃の鬱憤をはらしたものだわ」
「え、それは楽しそうですね!」
「そうなのよ。入学式の席だって、例年なら爵位順なのにわざわざあなたを隣に指名してね。あの時のルシアかわいそうだったわ。囚われた子ウサギみたいで」
おかしそうに笑うノーラ様。わたしにとっては笑い事ではなかったんだけど。
「その後からも面白かったわぁ。シエルがいくらアピールしても全く靡かないんだもの。シエルに迫られて靡かない令嬢なんてルシアくらいじゃないかしら。あ、わたしも興味はないわ」
そうか、それが余計に興味を引いてしまった可能性がある。失敗した……
「そうそう、一応言っておくわ。わたくしとシエルは幼馴染なのよ。小さい頃から一緒にいたからお互いの性格は理解しているし、まぁ友人としては付き合っていけるけれど、恋仲なんて無理ね。だから誤解はしないでね」
「大丈夫です!シエル王子殿下よりノーラ様の方が強いのもわかりました!」
わたしの返答にさらに声を上げて笑うノーラ様。そんなに面白いことを言った覚えはないんだけど、楽しそうなのでよしとしよう。
「それはそうと、ルシアはなにかの薬を飲んだと聞いたのだけど、どんな薬だったの?」
「紋様を隠して、つがい相手に自分がつがいだとわからなくなる薬だそうです。結局飲む前に会ってしまって思いっきりバレましたけど。それになんか匂いが漏れ出てるって言われました」
んーと考え込むノーラ様に首を傾げる。何か知っているのかしら。
「つがいに関する薬は、実はうちが開発しているのだけれど、使用するには身分とか個人の情報は控えてあるはずなのよね」
え? ノーラ様のところで開発してたの⁈
それに購入するには身分とか情報が必要? わたしの時は何か説明された気がするけど何も聞かれた覚えはない。
「それに匂いも完璧に抑えられるのよ。紋様のある人が相手との普通の恋愛を楽しみたい時とかに使われるわ」
「普通の恋愛?」
「どうもつがいを持つもの達、ああ、シエルもね。彼らはその匂いを嗅ぐと暴走しがちでその、夜が大変だったり、屋敷に監禁されたりするのよ。だからそういう理由で買っていくわ」
ああ、夜が大変になるのか……なるほど
「そもそもつがいは元々相性の良いもの同士で繋がっているから幸せに暮らしている人たちも多いわ。もちろん仲が悪くなる人もいるけれどそれは大概が夜の生活が負担だったり、外に出してもらえないストレスによるものだし……」
おおう。聞かなきゃよかったかもしれない。ただ仲が悪いだけだと思っていたけどそんな理由が……
ちょっと待って。今だからあの程度で済んでいるけど効果が切れたら……
思わず青ざめるわたし。そんなわたしにノーラ様が教えてくれた。
「だから色々開発してるのよ。効果は弱いけど持続するものとか、色々ね。困ったらわたくしが手配するから変なところでその薬は買わないで。それとルシアが買った店のこと、わたくしに詳しく教えてくださる?」
ノーラ様が薬をくれるのか。それなら安心だ。
その後は、平民街を彷徨っていたら突如として現れた店のこと、購入には商品の説明しかなかったこと、お店の雰囲気や店員さんの特徴を伝えた。
ノーラ様は時折相槌を打ちながら紙にサラサラと文字を書いていく。さすが美しいノーラ様、文字まで美しい。そんなことを思いながら、話をしていた。
「さあ、そろそろ寝ましょうか。夜更かしするとお肌に良くないわ」
すっかり仲良くなって、ノーラ様、ルシアと呼び合う仲になれたことが嬉しくなった。
けれど明日は朝早い。ノーラ様の言葉を合図にわたし達は布団に入り、ゆっくりと休んだのだった。
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