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番外編
sideノア それから
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彼女と一緒に過ごせる時間が嬉しくて、幸せで、自分のことなんてそっちのけで彼女と触れ合っていたら怒られてしまった。どうやらかなり疲れが溜まっていたらしい。
本当に一つのことに集中してしまうと周りが見えなくなる。特にセリーヌに関しては著明でルカの忠告も耳に入らないほどだ。それでも見捨てずにそばにいてくれるセリーヌには頭が上がらない。
あいつが仕掛けてきそうな予兆もあるしそちらにも気を配りながら過ごす。そんな中、開かれた夜会でまたもや事件が起こる。その日のセリーヌは少し調子が悪いのか顔色が優れなかった。心配して目を離さないようにしていたのだが、さすがに化粧室にまではついていけず、見張りを頼んで彼女が戻ってくるのを待っていたのだが、なかなか帰ってこない。
心配になり、中へ入るとそこはもぬけの殻。窓が空いていることからそこから連れ出されてしまったらしい。すぐさまクレバーの元へ走り、探そうとしたのだが、どうやらたくさんの匂いに探せなかったらしい。
俺は焦燥感を隠しきれないまま、おそらく元凶である隣国王太子の元へ向かおうとしたのだが、兄上に止められてしまった。
「なぜ止めるのです。明らかにあいつが怪しいでしょうに」
「気持ちはわかるが、今は泳がせておいた方がいい。下手にこちらが勘づいたと悟られるとセリーヌ嬢飲みが安全とも限らない。彼が帰るにがまだ時間もある。裏で動いたほうがいい」
ハッとしたよ。冷静にはなれなくて、そこまで考えることができなかったんだから。
冷静さを取り戻した俺は指示を出す。必ずセリーヌの状況を報告するものが行き来しているはずだ。そのものを追わせ、場所を突き止める。夜会後、場所が判明したとともにその場へ向かう。
兄上も王太子の後をついてきてくれるらしい。それまでに何もせず情報だけ集めておけと指示される。
下手に飛び出したほうが彼女を危険に晒してしまうかもしれないな。今は兄上の指示に従おう。
そして屋敷近くの場所を陣取り、じっと観察していた。
「誰だ」
ガサガサと音がして、どこから現れたのか一人の女性が急に現れる。話を聞くとどうやらあの屋敷の使用人として脅されて雇われたもので、セリーヌのことを教えてくれた。中の様子や塀の配置、そして助けてあげてほしいと。
初対面の彼女の言葉を信じるのには抵抗があったが、彼女の字で書かれた手紙を受け取り、確信する。
そのあとは後からきた兄上に報告し、隠し通路を使って乗り込んで、見事に彼女を助け出すことができた。
それから嬉しい知らせが届いた。セリーヌが妊娠していることが発覚したのだ。一気に幸せな気持ちが溢れてくる。セリーヌもお腹の子も、全力で守らなければ。これからはずっと幸せにしてみせる。
そう、思っていたんだ。
けど……
医者からは産後は体調が不安定になると聞いた。もしかしたらふれあいすらも負担になるかもしれない。しばらくは寝室を分けたほうがいいのではないか。それにそんな状態で子育てなど負担になってしまうだろう。俺ができることはしなければ。
そんなことを考え続け、ちっとも周りが見えていなかった……
ある日からセリーヌは目を覚さなくなってしまった。医者からは体には異常もないので精神的なものではないかと言われた。ティナは俺に涙ながらにセリーヌの抱えていたものを話してくれた。
「もう少し周りを見てくださいませ。心配するお気持ちもわかりますが、それは旦那様だけの考えでしょう? セリーヌ様の気持ちは置いてけぼりです! 第一、お子が可愛いのはわかりますが、産後は精神的にも不安定になりやすいのです。自分の考えだけでなく、セリーヌ様の意志も確認してくださいまし!」
ピシャリと怒られてしまい、呆然とする。
ティナのいうことはもっともだ。自分の気持ちや考えだけを相手に押し付けてしまった。よくよく考えるとセリーヌとしっかりと話す時間も設けておらず、言える雰囲気でもなかった。
改めて、後悔したよ。今までだってセリーヌが自分の意思表示をしてくれたおかげでうまく行っていたんだ。今回、産後ということもあってそれがなかったから、ここまで追い詰めてしまった。
いた、本当なら気づくべきだったんだ。いつも彼女が行動を起こしてくれていたからこそ、俺たちがうまく行っていたことを。
変わらなければ。こんな性格だからでは済まされない過ちを犯してしまったんだから。一生涯を捧げて、幸せにしたい。
だから、目を覚ましてくれ。
俺に償うチャンスをくれ。
セリーヌ。戻ってきてくれ。
目を覚ますと、彼女の手が動いた。ふと視線を向けると彼女が目を覚ましている。
もう、それでいい。それだけで、いい……
二度と繰り返さない。自分の手で彼女を苦しめたりしない。
訳がわからないと言った表情の彼女に誓った。
本当に一つのことに集中してしまうと周りが見えなくなる。特にセリーヌに関しては著明でルカの忠告も耳に入らないほどだ。それでも見捨てずにそばにいてくれるセリーヌには頭が上がらない。
あいつが仕掛けてきそうな予兆もあるしそちらにも気を配りながら過ごす。そんな中、開かれた夜会でまたもや事件が起こる。その日のセリーヌは少し調子が悪いのか顔色が優れなかった。心配して目を離さないようにしていたのだが、さすがに化粧室にまではついていけず、見張りを頼んで彼女が戻ってくるのを待っていたのだが、なかなか帰ってこない。
心配になり、中へ入るとそこはもぬけの殻。窓が空いていることからそこから連れ出されてしまったらしい。すぐさまクレバーの元へ走り、探そうとしたのだが、どうやらたくさんの匂いに探せなかったらしい。
俺は焦燥感を隠しきれないまま、おそらく元凶である隣国王太子の元へ向かおうとしたのだが、兄上に止められてしまった。
「なぜ止めるのです。明らかにあいつが怪しいでしょうに」
「気持ちはわかるが、今は泳がせておいた方がいい。下手にこちらが勘づいたと悟られるとセリーヌ嬢飲みが安全とも限らない。彼が帰るにがまだ時間もある。裏で動いたほうがいい」
ハッとしたよ。冷静にはなれなくて、そこまで考えることができなかったんだから。
冷静さを取り戻した俺は指示を出す。必ずセリーヌの状況を報告するものが行き来しているはずだ。そのものを追わせ、場所を突き止める。夜会後、場所が判明したとともにその場へ向かう。
兄上も王太子の後をついてきてくれるらしい。それまでに何もせず情報だけ集めておけと指示される。
下手に飛び出したほうが彼女を危険に晒してしまうかもしれないな。今は兄上の指示に従おう。
そして屋敷近くの場所を陣取り、じっと観察していた。
「誰だ」
ガサガサと音がして、どこから現れたのか一人の女性が急に現れる。話を聞くとどうやらあの屋敷の使用人として脅されて雇われたもので、セリーヌのことを教えてくれた。中の様子や塀の配置、そして助けてあげてほしいと。
初対面の彼女の言葉を信じるのには抵抗があったが、彼女の字で書かれた手紙を受け取り、確信する。
そのあとは後からきた兄上に報告し、隠し通路を使って乗り込んで、見事に彼女を助け出すことができた。
それから嬉しい知らせが届いた。セリーヌが妊娠していることが発覚したのだ。一気に幸せな気持ちが溢れてくる。セリーヌもお腹の子も、全力で守らなければ。これからはずっと幸せにしてみせる。
そう、思っていたんだ。
けど……
医者からは産後は体調が不安定になると聞いた。もしかしたらふれあいすらも負担になるかもしれない。しばらくは寝室を分けたほうがいいのではないか。それにそんな状態で子育てなど負担になってしまうだろう。俺ができることはしなければ。
そんなことを考え続け、ちっとも周りが見えていなかった……
ある日からセリーヌは目を覚さなくなってしまった。医者からは体には異常もないので精神的なものではないかと言われた。ティナは俺に涙ながらにセリーヌの抱えていたものを話してくれた。
「もう少し周りを見てくださいませ。心配するお気持ちもわかりますが、それは旦那様だけの考えでしょう? セリーヌ様の気持ちは置いてけぼりです! 第一、お子が可愛いのはわかりますが、産後は精神的にも不安定になりやすいのです。自分の考えだけでなく、セリーヌ様の意志も確認してくださいまし!」
ピシャリと怒られてしまい、呆然とする。
ティナのいうことはもっともだ。自分の気持ちや考えだけを相手に押し付けてしまった。よくよく考えるとセリーヌとしっかりと話す時間も設けておらず、言える雰囲気でもなかった。
改めて、後悔したよ。今までだってセリーヌが自分の意思表示をしてくれたおかげでうまく行っていたんだ。今回、産後ということもあってそれがなかったから、ここまで追い詰めてしまった。
いた、本当なら気づくべきだったんだ。いつも彼女が行動を起こしてくれていたからこそ、俺たちがうまく行っていたことを。
変わらなければ。こんな性格だからでは済まされない過ちを犯してしまったんだから。一生涯を捧げて、幸せにしたい。
だから、目を覚ましてくれ。
俺に償うチャンスをくれ。
セリーヌ。戻ってきてくれ。
目を覚ますと、彼女の手が動いた。ふと視線を向けると彼女が目を覚ましている。
もう、それでいい。それだけで、いい……
二度と繰り返さない。自分の手で彼女を苦しめたりしない。
訳がわからないと言った表情の彼女に誓った。
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