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 一回致してしまうと彼はタガが外れたように毎晩求めてくる。恥ずかしいこともたくさんされて、半泣きになることも多々あるけれど、まあ、しあわせだ。
 もちろん子供の事も2人で面倒を見ている。子供との時間と、ノア様との時間をちゃんと設けていて、お互いにちゃんと言いたいことは伝え合えるようになった。ちょっと心配が過ぎる時もあるけれど、わたしとティナで彼にお説教をするまでになっている。



 その後、国王陛下と王妃様はというと……
 なんと同じくリミッターが外れてしまったらしい。毎晩のように求められ、朝までのことが多いらしく、王妃様は疲れ果てていた。
「側妃でも迎えてもらおうかしら……」
 なんて真剣な声色で言うもんだから、慌てて止めた。
 そんなことしてもきっと変わらないと思う。国王陛下は王妃様を溺愛しているのだから。
 兄弟の遺伝子が強すぎてちょっと笑ってしまったけど。

 そうこうしているうちに、王妃様は第二子を身籠もってしまい、絶賛つわり中だ。今回は眠気がすごいらしく、王妃のお仕事はお休みしているのだとか。
 流石に国王陛下は仕事を休めないので泣く泣く仕事をしているみたい。
 いろいろお話が聞けて楽しんでいる。




 お義兄様とソフィアはというと無事に結婚式を挙げ、夫婦となった。ソフィアは屋敷の侍女を続けていたが、すぐに身籠もり今は過保護なお義兄様によってお休みさせられている。
 義兄といえど似たもの同士なのか。思わず笑ってしまった。
 毎日毎日ソワソワしながら仕事をしているお義兄様を見て、彼は
「落ち着いて仕事しろ」
 と言っていたが、
「ノア様も人のこと言えないでしょう」
 なんて返されて何も言えなくなってしまったとか。
 大切な人ができるとずいぶんと変わるものだ。




 ティナは侍女の仕事の傍ら新人教育を任されており、ビシバシ指導している。おかげでどこにいっても恥ずかしくない女性になれるとここの屋敷の使用人は人気だ。



 よくよく思い返してみると波瀾万丈な人生だった。
 家族に虐げられ、山に捨てられ、王弟殿下に拾ってもらい、小屋に閉じ込められ、誘拐され。
 そして大好きな人と結婚し、子供ができ、鬱になり1ヶ月も眠り続けた。
 それでもこうして周りの人たちの支えでここまで来れた。
 これからもいろいろなことがあると思うけれど、周りの人たちを大事にしてしあわせになりたいと思う。
 それに……



「セリーヌ様、眠いのですか?」
「そうなのよ……最近頑張っても起きていられなくて」
「医者を呼びましょう」


 ん?
 強い眠気……もしかして
「おめでとうございます。ご懐妊ですよ」
 どうやらまた家族が増えるらしい。
 彼はわたしのお腹をさすって喜んでくれて「今度は間違えないから」と言ってくれて、クレバーも元気にはしゃいでいる。
 メアリーもなんだか笑ってくれているみたいで。



 しあわせだなぁ。
 このしあわせが、いつまでも続きますように。
 そう願いながら彼と唇を重ねた。 
 
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