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妹、アリサはやると言ったらどんなことでもも躊躇なくやる子だ。実の姉をこんなところに捨て置くくらいだもの。
となれば、選択肢は一つしかない。ここから出ていくことしかないのだが、問題が発生する。
わたしの力があれば、村でもすぐに生活できるだろう。マルクスさんからハーブティーの利益分は硬貨でもらってる。ただ、それが妹にバレた場合、また居場所を奪いに来るだろう。いたちごっこになってしまう。
いっそ隣国へにげようか。
村がある方はわたしが生まれた国、グロリアだが反対側に行くとアルメリア国がある。そちらにいけばなんとかなるかもしれない。ただ、馬で休みながら歩いて二日かかると言っていた。歩いていくとどのくらいかかるのかしら……
休みながらで三、四日くらいかな。
食べ物は軽いものはたくさん持っていって、種も持っていこう。水は水筒を持って行けばなんとかなるわね。あとは寝るところだけど……
軽い荷車がそういえばあったわね。あれに寝袋とテントを積んで引っ張っていこう。
よし、なんとかなりそう。
決めたら行動が早いセリーヌは早速準備を整えた。
あ、手紙を書いておかなくちゃ。きっと彼とマルクスさんは家がなくなってしまってから来ることになるかもしれないけれど、一応知らせておかなくちゃ。心配をかけてしまうわ。
次の日、夜が明ける頃に準備万端で出掛けた。家を出た時、草むらが少し揺れたような気がしたけど気のせいだろう。
荷車を引きながら山を登っていく。案外重くて思ったより進まないけれど、念のためたくさん食料を持ってきたから時間がかかっても大丈夫だろう。
休憩しながらせっせとのぼる。
いつの間にか比が高く登っていることに気づき、昼食を取ることにした。
今日のお昼はサンドウイッチだ。日持ちしない食材を先に食べてしまおうと、パンに挟んで食べる。
運動した後の食事はひときわ美味しい。それに植物も木もたくさんで空気も美味しい。やっぱり自然は好きだ。黙々と食べていると、1匹の犬が近寄ってくる。
汚れてしまって黒ずんでいるがおそらく白い毛の犬だろう。もふもふでかわいい。
お腹が空いているのかクンクンと鼻を鳴らしている。サンドウイッチを分けてあげると、勢いよくかぶりつく。
かわいいなぁなんて思いながら見ていると体を擦り寄せてくる。思わず撫でてあげると尻尾をぶんぶん振って喜んでくれているみたいだった。
「あなた、一人なの?一緒に来る?」
声をかけてみると、その言葉に応えるように再び尻尾をぶんぶん振っていた。
1匹のお供を連れて再び歩き出す。わたしの横にピッタリくっついて歩く犬を見てなんだか嬉しくなった。
動物なんて今まで関わったこともなくて、かわいいなと思っていたけど飼うことはできなかった。
生き物を飼うということは責任が生じる。どうせ飼うなら、わたしが飼い主でよかったって思ってもらいたいのだ。そんな理由で飼ったことはなかったがやっぱりいいものだ。
一気に気分が明るくなったセリーナはせっせと山道を歩いた。
日が暮れ始めてきたので、近場に水場があるところで野宿することにした。
近くの木を集めて火を起こす。ちなみに白い犬も木の枝を咥えて持って来てくれて、手伝ってくれた。
「あなた賢いのね。名前はある?」
応えるはずもないが、一応聞いてみる。
「わたしがつけてもいい?」
その言葉に応えるように元気よくわん!と吠えた。なんだか人の言葉を理解しているみたい。思わずクスッと笑ってしまった。
ちなみに名前はクレバーにした。賢いって意味でそのままつけたけど、気に入ってもらえたようだから良しとしよう。
テントを張り、寝袋を準備する。テントの作り方はマルクスさんから教えてもらった。
なんでこんなものを? という顔をされたけど、何事も経験だからと言って誤魔化していた。人生何があるかわからないから準備しておいて損をすることはない。
試しに釣りをしてみたけど1匹も釣れず、諦めてパンを食べた。
夜になり、問題が発生する。野営は獣よけに火を焚いておかないといけないんだけど、それだとわたしが眠れない。困っているとクレバーがわん! と吠えた。
「もしかして火の番してくれるの?」
わん! と元気な返事をしてくれる。ちょっとかわいそうだけど、交代しながらならいいかな?
そう思ってクレバーに火の番をまかせて寝袋に入り、眠った。
クレバーのおかげで安心してぐっすり眠ることができた。火もちょうどよく消えたので、テントを片付けて出発する。
二日目ともなれば少し疲れも出てくる。ちょっと足元がふらついていたが、せっせと歩く。
隣のクレバーも目尻を下げて心配そうにみているけれど、あまり時間をかけるのもよくない。野営はできればあまりしたくないのだ。
急いだことがよくなかったのだろう。
荷車の車輪が道を踏み外しバランスを崩した。
そしてそのまま、崖下へ落ちてしまった……
となれば、選択肢は一つしかない。ここから出ていくことしかないのだが、問題が発生する。
わたしの力があれば、村でもすぐに生活できるだろう。マルクスさんからハーブティーの利益分は硬貨でもらってる。ただ、それが妹にバレた場合、また居場所を奪いに来るだろう。いたちごっこになってしまう。
いっそ隣国へにげようか。
村がある方はわたしが生まれた国、グロリアだが反対側に行くとアルメリア国がある。そちらにいけばなんとかなるかもしれない。ただ、馬で休みながら歩いて二日かかると言っていた。歩いていくとどのくらいかかるのかしら……
休みながらで三、四日くらいかな。
食べ物は軽いものはたくさん持っていって、種も持っていこう。水は水筒を持って行けばなんとかなるわね。あとは寝るところだけど……
軽い荷車がそういえばあったわね。あれに寝袋とテントを積んで引っ張っていこう。
よし、なんとかなりそう。
決めたら行動が早いセリーヌは早速準備を整えた。
あ、手紙を書いておかなくちゃ。きっと彼とマルクスさんは家がなくなってしまってから来ることになるかもしれないけれど、一応知らせておかなくちゃ。心配をかけてしまうわ。
次の日、夜が明ける頃に準備万端で出掛けた。家を出た時、草むらが少し揺れたような気がしたけど気のせいだろう。
荷車を引きながら山を登っていく。案外重くて思ったより進まないけれど、念のためたくさん食料を持ってきたから時間がかかっても大丈夫だろう。
休憩しながらせっせとのぼる。
いつの間にか比が高く登っていることに気づき、昼食を取ることにした。
今日のお昼はサンドウイッチだ。日持ちしない食材を先に食べてしまおうと、パンに挟んで食べる。
運動した後の食事はひときわ美味しい。それに植物も木もたくさんで空気も美味しい。やっぱり自然は好きだ。黙々と食べていると、1匹の犬が近寄ってくる。
汚れてしまって黒ずんでいるがおそらく白い毛の犬だろう。もふもふでかわいい。
お腹が空いているのかクンクンと鼻を鳴らしている。サンドウイッチを分けてあげると、勢いよくかぶりつく。
かわいいなぁなんて思いながら見ていると体を擦り寄せてくる。思わず撫でてあげると尻尾をぶんぶん振って喜んでくれているみたいだった。
「あなた、一人なの?一緒に来る?」
声をかけてみると、その言葉に応えるように再び尻尾をぶんぶん振っていた。
1匹のお供を連れて再び歩き出す。わたしの横にピッタリくっついて歩く犬を見てなんだか嬉しくなった。
動物なんて今まで関わったこともなくて、かわいいなと思っていたけど飼うことはできなかった。
生き物を飼うということは責任が生じる。どうせ飼うなら、わたしが飼い主でよかったって思ってもらいたいのだ。そんな理由で飼ったことはなかったがやっぱりいいものだ。
一気に気分が明るくなったセリーナはせっせと山道を歩いた。
日が暮れ始めてきたので、近場に水場があるところで野宿することにした。
近くの木を集めて火を起こす。ちなみに白い犬も木の枝を咥えて持って来てくれて、手伝ってくれた。
「あなた賢いのね。名前はある?」
応えるはずもないが、一応聞いてみる。
「わたしがつけてもいい?」
その言葉に応えるように元気よくわん!と吠えた。なんだか人の言葉を理解しているみたい。思わずクスッと笑ってしまった。
ちなみに名前はクレバーにした。賢いって意味でそのままつけたけど、気に入ってもらえたようだから良しとしよう。
テントを張り、寝袋を準備する。テントの作り方はマルクスさんから教えてもらった。
なんでこんなものを? という顔をされたけど、何事も経験だからと言って誤魔化していた。人生何があるかわからないから準備しておいて損をすることはない。
試しに釣りをしてみたけど1匹も釣れず、諦めてパンを食べた。
夜になり、問題が発生する。野営は獣よけに火を焚いておかないといけないんだけど、それだとわたしが眠れない。困っているとクレバーがわん! と吠えた。
「もしかして火の番してくれるの?」
わん! と元気な返事をしてくれる。ちょっとかわいそうだけど、交代しながらならいいかな?
そう思ってクレバーに火の番をまかせて寝袋に入り、眠った。
クレバーのおかげで安心してぐっすり眠ることができた。火もちょうどよく消えたので、テントを片付けて出発する。
二日目ともなれば少し疲れも出てくる。ちょっと足元がふらついていたが、せっせと歩く。
隣のクレバーも目尻を下げて心配そうにみているけれど、あまり時間をかけるのもよくない。野営はできればあまりしたくないのだ。
急いだことがよくなかったのだろう。
荷車の車輪が道を踏み外しバランスを崩した。
そしてそのまま、崖下へ落ちてしまった……
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