ゲノム~失われた大陸の秘密~

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第四章【メガラニア王国編】

彼女

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三人は石造りの階段をゆっくりと降りていく。
暗く、冷たい空気が下から漂い、異様な臭いが鼻を突いた。
階段の終わりにある重い鉄の扉が、彼らの前に不吉な影を落としている。

村田が扉をゆっくりと開くと、部屋の中から腐敗した肉の臭いが一層強く漂い、全員の胃が反応する。
部屋に足を踏み入れると、薄暗い照明が照らす光景に、三人は言葉を失った。

部屋の中央に置かれた机には解体された人体が無造作に積み上げられており、
血液が床に広がり、乾いたものと新しいものが入り混じっている。
壁には様々な器具が並び、その中には血まみれの鋭い刃物が見える。
全てが、ここで行われた無数の凶行を物語っていた。

しかし、彼らの視線が部屋の一角に固定されるのに時間はかからなかった。
木製の椅子にもたれかかる「女性らしきもの」が、異様な存在感を放っていた。

複数の異なる女性の遺体が繋ぎ合わされ、腕や足、胸、
そして顔までもが別々の肉体から取り出されているように見える。
だが、不可解なことに、彼女の肌色だけは統一されていた。
繋ぎ目には縫合された痕跡があり、その不自然な繋がりは生々しく痛々しい。

「何なの、あれ....」
ケイラは声を絞り出すように言った。

「酷い匂いだな..」
村田も言葉に詰まり、目を伏せる。

「うっ....うぇえ..」
ライトは顔を青ざめさせ、膝から崩れ落ちるとその場で吐き出した。
目の前の光景が彼の精神を圧倒し、体が限界を迎えたのだ。

村田はライトの背中をさすりながら、必死に彼を慰めた。
「すまん、辛いよな..そうだ、ちょっと待ってろよ」
彼は救急箱を開け、中を探り始めた。

「メンソールだ、スースーするだろ?」
村田はライトの鼻の下に軟膏を塗り、軽く笑いかける。
その香りがライトの吐き気を和らげ、彼の顔色が少し戻ってきた。

「うん..少し楽になった..」
ライトは感謝の気持ちを込めて、弱々しくも笑顔を見せた。

「どうかな?僕の彼女は、美しいだろう?」
その声が静かに響き渡り、三人は凍りついたように動きを止めた。
声の主は、女性らしきものの後ろからゆっくりと姿を現した。

ケイラはすぐに斬りかかれるよう、無意識に体重をやや前にかけ、マチェーテを握り直した。
彼女の目は鋭く光り、相手を睨みつけるように凝視していた。

「それがあんたの彼女?美しいって..あんたイカれてるんじゃないの?」
彼女の声には冷徹さがこもり、相手に対する激しい嫌悪感が隠せなかった。

「んー..そっか。まぁ実を言うと僕も完璧な美しさを持っているとは思っていない」
彼はゆっくりとした動作で女性らしきものに手を触れ、
まるでそれが愛おしいものだと言わんばかりに撫でた。

「だが、今ここで、完璧なる彼女を手に入れられる!!それは..そちらの少女だ!!」
その瞬間、彼の声は突然興奮に満ち、笑い声が部屋に響き渡った。
彼の視線がゆっくりとライトに向けられ、その目には何か異常なものが潜んでいた。
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