ゲノム~失われた大陸の秘密~

Deckbrush0408

文字の大きさ
上 下
76 / 164
第三章【パシフィス王国編】

迎え

しおりを挟む
「そろそろ午後のイベントも終わるころか..てかお前まだ帰らないのか..」
と彼は少し呆れた口調で尋ねた。

「いいじゃないー客も来ないんだし」
ケイラはソファに腰掛けながらリラックスした様子で応じた。

「まぁ..今日は休業日だからな..いつまでいてもらっても構わないぞ..」
という声が背後から聞こえた。
ケラプがいつの間にか彼女の背後に現れていた。
ケイラはその突然の声に驚き、振り返ると、ケラプが穏やかに微笑んでいた。

ケイラは少し狼狽え
「ちょ..びっくりさせないでよ!てか私が起きた後からどこに行ってたの?」
と質問した。

ケラプは
「いや..寝ていた....昨日の疲れがちょっとな..」
と、彼女の声には疲労が滲み出ていた。

「あぁ..いや、私のせいね。ごめんなさい..」
とケイラは少し落ち込んだ様子で謝罪した。

「あれはこちらから仕掛けた喧嘩だから気にするなと言ったろう..それに、久しぶりに体を動かせて楽しかった..」
とケラプがさらりと返す。

「そう..それならよかった?でいいのかしら..」
とケイラが疑問形で応じると、彼女の声にはまだ不安が残っているように聞こえた。

「よし、そしたら俺はそろそろ行こうかな。ケラプさん、色々とお世話になりました。また来ます」
と村田が立ち上がり、ケラプに礼を言った。

「じゃあ私も。またアップルパイ食べにくるわ、今度は客としてね」
とケイラも感謝の言葉を述べ、二人はカフェを後にした。

村田はイベント会場である中央広場に向かいながら、ふと同じ方向に歩いてくるケイラに
「なんで付いてくるんだよ..」
と苦笑いを浮かべた。

「いや家そっちだから仕方ないでしょ」
とケイラが答え、彼らの間には少しの間の和やかな空気が流れた。

「あぁそうか。そうだ、ライトに君のことは話しておく、さっきも言ったがこのイベントが終わるまでライトに接触するなよ..」
と、彼は厳しい口調で言い、ケイラに警告した。

ケイラは軽く首を傾げてから胸元から小瓶をいくつか取り出し、
「いやわかってるわよ..それにストックもあるし大丈夫」
と応えた。
その小瓶には紫色の液体が入っており、
彼女の興奮した様子から、それがライトの血液であることが明らかだった。

「なんとなくわかるが、それは..?」
と村田が尋ねると、ケイラは
「もちろん彼の血液よ!今日はこっち、明日は..これを使おうかしら。あー楽しみだわー」
と、興奮しながら答えた。

彼女の目が赤く輝いているのを見て、村田は
「あぁ、まぁ大丈夫か....他人のそういう事情にとやかく言うつもりはないが..」
と言い、若干の後悔を感じつつも、彼女の選択を尊重することにした。

広場に近づくと、遠目にライトらしき姿が見え、
「もうすぐ広場だ。あ、あれかな」
と村田は指をさし、ケイラに伝えた。

そして、ケイラが
「じゃあ私はおさらばするわ。さっきの件悪いけどお願いね」
と別れを告げると、村田は頷いて了承し、二人はその場で別れた。
村田は広場へと向かい、ライトの元へと進んでいった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

処理中です...